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ケンウッド、LDACでワイヤレスもハイレゾ相当のAVナビ「TYPE-M」。前後W録画ドラレコも

 JVCケンウッドは、ケンウッドブランド「彩速ナビ」のミドルクラス新シリーズ「TYPE M」3モデルを10月中旬に発売する。いずれもハイレゾ再生に対応し、価格はオープンプライス。店頭予想価格は、8型ディスプレイの「MDV-M805L」が11万円前後、7型で200mmワイド対応の「MDV-M705W」と7型「MDV-M705」が各9万円前後。

8型の「MDV-M805L」

 旧ケンウッドの設立70周年を迎えて以来、最初に発売するTYPE-M(Master)は記念モデルと位置付けられており、既発売の上位モデルTYPE-Zの多くの機能も搭載。さらに、新たなINFOウィンドウの採用や、Bluetoothの高音質コーデックのLDACに対応したことなどが進化点。また、新たにBluetoothテザリングにも対応し、スマートフォンなどを接続して、モバイルネットワークを介したナビのインターネット接続も可能になっている。

4日に発表会を開催し、デモカーを披露
新モデルのラインナップ

Blutoothでもハイレゾ相当のLDAC対応。定額配信SMART USEN連携も

 地デジチューナやDVD/CDプレーヤーのほか、SD/USBなどの再生に対応したAVナビ。USBメモリやSDカードに収めた最高192kHz/24bitのWAVやFLACのハイレゾ音源も再生可能。なお、上位モデルのTYPE Zとは異なり、DSD再生には対応しない。

7型で200mmワイド仕様の「MDV-M705W」

 3機種の主な違いはディスプレイのサイズで、「MDV-M805L」は8型、「MDV-M705W」は7型で200mmワイド対応、「MDV-M705」は7型。解像度はいずれも800×480ドット。ナビ/AV機能は3モデルほぼ共通で、内蔵メモリは16GB。既存モデルのTYPE Zはディスプレイ表面が光沢仕上げだが、TYPE Mは非光沢となっている。

ハイレゾ再生に対応

 ハイレゾではない音源や、テレビ音声を含む全ての音声は192kHz/32bitにアップコンバートして内部処理。旭化成エレクトロニクス(AKM)のトリプルコア浮動小数点演算DSPによって、高音質を維持したまま正確かつ効率的にデータ処理するという。また、VELVET SOUNDテクノロジーにより開発されたAKM製の32bit DACによってアナログ変換され、音楽だけでなく動画の音声も高音質で楽しめるとしている。

 独自の「K2テクノロジー」も搭載。ビット拡張、周波数帯域拡張、波形補正を行ない、非ハイレゾ楽曲を含むすべての音源をハイレゾ相当に高音質化できるという。音楽CDの再生にも対応し、SACDもCD層を再生できる。CDからSDカードへの4倍速リッピングに対応し、音質は標準/高音質の2種類から選べる。

 そのほかにも、車特有の電源の揺れに対応し、安定した信号伝達を実現する「新・独立中点回路システム」や、高精度のクロック、サンプリングレートコンバーター(SRC)を搭載している。

 ナビ筐体の天板部分にはクロス構造を採用。車の振動によるナビ筐体の共振を抑え、音質向上を図っている。

 Bluetoothでスマートフォンなどの音楽をワイヤレスで受信可能で、新たに高音質コーデックのLDACに対応。ワイヤレスでもハイレゾ相当の高音質を車内で楽しめるという。その他の対応コーデックはAACとSBC。

手持ちのウォークマンA30とLDACで接続して再生
接続中は画面下に「LDAC」表示

 スマートフォンの定額音楽配信サービス「SMART USEN」(月額490円~)とも連携。Bluetooth経由でスマホと接続し、1,000以上のチャンネルから選んで音楽を聴ける。スマホからの操作だけでなく、ナビ画面からも楽曲選択やアルバムアート表示などができる。

高音質関連の特徴
SMART USENと連携
Bluetooth接続とは別にSMART USENアイコンを用意
新たなINFOウィンドウ

 3機種とも、高速レスポンスの「ジェットレスポンスエンジンIII」を搭載。ナビ内蔵メモリ、SDカード、USBメモリなどに収録されている全楽曲/動画を横断的にアーティスト名やアルバム名などで検索できる「マルチAVブラウザ」を搭載。ソース切り替えの手間がなく、スピーディーに選択/再生可能としている。

AVソース選択画面
トップメニュー画面

 そのほか、ルート案内時に目的地に近づくと、自動で音楽再生などの音量を下げるゴールオートボリュームを搭載。Bluetoothまたはケーブルで接続したままスマホを車内に置き忘れたときの警告機能も新たに搭載している。

 8型の「MDV-M805L」は、地デジやDVD、地図なども大画面で表示可能としており、専用エスカッションとトヨタ開口パネル対応エスカッション「KIT8-18T」(別売)を利用することで、様々な車種に取り付け可能。

AV/ナビの同時表示
ナビ画面

 7型で200mmワイド対応の「MDV-M705W」は、フルフラットパネルを搭載し、操作キーを画面に浮かび上がるように表示するという。

 FM/AMラジオを搭載し、ワイドFMにも対応。内蔵アンプはMOS-FETで、最大出力は50W×4ch。

ハイレゾ対応カースピーカーの既発売モデル「KFC-XS1703」との組み合わせを提案
ゴールオートボリュームなど、ナビ関連の機能

ドライブレコーダでフロント/リアのダブル録画

 新たにフロント/リア用ナビ連携型ドライブレコーダとの接続にも対応し、フロントとリアの同時録画が可能。

 フロント/リア用ナビ連携対応ドライブレコーダの新モデルとして、フロント用「DRV-N530」と、リア用「DRV-R530」を10月中旬に発売。前後同時に取り付けることにより、前方と後方の映像のダブル録画が可能。ナビ画面上で録画などの操作ができる。価格はオープンプライスで、店頭予想価格はフロント用が22,000円前後、リア用が27,000円前後。

フロント用「DRV-N530」(下)と、リア用「DRV-R530」(上)
前後の同時録画が可能
ナビからドライブレコーダを操作

 また、リアウィンドウが小さい車などで、ルームミラーでの後方確認が難しい場合にも、ナビ画面にリアビュー映像(対角128度)を表示する「バーチャルルームミラー」に対応。リアビューカメラの代用や、リアビューカメラ装着車のサブカメラとしても利用できる。

 動画の解像度は2,304×1,296ドットで、フレームレートは27fps。常時録画/手動録画/イベント記録/駐車監視録画に対応。露出を変えた複数の撮影画像を合成し、白飛びや黒つぶれを抑えるHDR撮影も可能。

 ナビ画面で、前後のドライブレコーダの録画済み映像を切り替えて再生できるシンクロ再生にも対応。ナビの地図画面上のPinP(子画面表示)も可能で、地図を見ながらリアルタイムの走行動画が確認できる。地上デジタル放送電波への干渉を低減するノイズ低減設計も採用する。

 より高解像度なWQHDモデル「DRV-830」、「DRV-W630」、「DRV-630」も発売。いずれも2,560×1,440ドット記録に対応し、上位モデルのDRV-830は、3型ワイド液晶に加え、ダブルスロット搭載によるリレー録画や、低フレームレート記録モードによる長時間録画が可能。DRV-W630は、新たに無線LAN機能を搭載し、スマートフォンと連携できるのが特徴。これら3モデルは、ナビ連携ではなく単体の利用を想定し、前述のバーチャルルームミラーなどの機能は搭載しない。

 価格はオープンプライスで、店頭予想価格と発売時期は、DRV-830とDRV-W630が各29,000円前後、DRV-630が25,000円前後。発売時期はDRV-830が11月中旬、DRV-W630/630が10月下旬。

高解像度のドライブレコーダ「DRV-830」、「DRV-W630」、「DRV-630」

ナビ+ドラレコの「スマート連携」訴求

 JVCケンウッドの常務執行役員 オートモーティブ分野 市販事業部長の新井卓也氏は国内市場動向について、新車/中古車販売の回復に伴いカーナビ出荷も回復基調にあることを説明。その中で、「ディーラーオプションが増えており、市販カーナビが相対的に減少傾向にある。ポータブルナビなどの低価格モデルが減少し、AV一体型は前年並みをほぼキープしている。単価アップを図れる魅力ある商品開発が求められている」とした。

JVCケンウッドの新井卓也氏
カーナビ国内市場動向

 そうした中で、昨今のニュース報道などでも映像が使用されているドライブレコーダのニーズに対応。カーナビ単品購入から、ドライブレコーダなどを含めたシステム購入へのシフトを図り、今回のドライブレコーダ連携対応ナビを「スマート連携」というキーワードで訴求し、新たな付加価値として提案する方針を示した。

 同事業部 商品企画の渋谷英治氏は、'11年に最初の彩速ナビを発売してから現在までを振り返り、市販ナビ全体では台数が頭打ち傾向となる中で、同社シェアは増加している点を紹介。今回の新モデルは「市場変化に対応するための回答の一つ」として紹介。「渋滞情報などの通信を活用したコンテンツのほか、(ドライブレコーダ映像などの)運転状況に関する領域を加え、これまでの画一的なナビの案内ではでなく、運転状況に合った最適な案内、運転に必要な最適な情報、その状況に最適なAV車室内空間が重要。安全/安心、快適なドライビング空間を実現することこそ、次の新たな付加価値領域」とした。

渋谷英治氏
新たな付加価値領域へ取り組んだ新モデルを提案