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ハイスペックPC以外でも使える「Windows MR」。フォト/ビデオなどWindows 10強化
2017年10月18日 20:41
マイクロソフトは、Windows 10の大型アップデート「Fall Creators Update(FCU)」を10月17日より提供開始した。Windows Mixed Reality(複合現実)に正式対応したほか、写真/動画に3D効果を簡単に加えるなど、コンテンツ作りに使える機能を採用。ゲーム、セキュリティ、アクセシビリティにも機能強化を行なった。これらの進化点を紹介するプレス向け説明会が18日に開催された。
Windows 10 Fall Creators Update(FCU)は「すべてのユーザーの創造力を刺激することを目指して設計された」という最新のアップデート。機能追加や改善点などについては、既に西田宗千佳氏の記事でまとめられている。
「一般的なPCで動く」Windows MR。店頭体験強化も
日本マイクロソフト 業務執行役員 Windows&デバイス本部長の三上智子氏は、「クリエイティブな職業の方だけWindow 10ではない」とし、幅広い人が使うフォトやパワーポイントなどのアプリにおいて“人の創造性を助ける”機能を追加したことを強調。「日々のアイディアの形を刺激して、可能性を最大限に引き出す。そこにまつわる感情にも寄り添っていきたいというのが今後のWindowsの方向性」と述べた。
アップデート項目の中でも注目は、専用ゴーグルやコントローラと連携して複合現実体験ができるWindows MRで、既にデルやHPなど複数のメーカーから対応PCやMRヘッドマウントディスプレイ(HMD)などが発表されている。
「MR」は、ゲームのようにデジタル世界へ没入する「VR」から、現実世界に近い「AR」まで幅広く包含するものと位置付けられている。「Windows MR対応」のHMD製品には、VR用も、AR用もあり、両方に対応していなくても、いずれかをカバーしていればMR対応とされる。
マイクロソフトが法人や開発者向けに販売している「Hololens」のほか、他社からもPC接続のVR対応HMDは販売されているが、今回のアップデートによるMRの特徴は「ハイスペックなPCでなくても体験できる」という点。
部屋にセンサーなどを置く必要がなく、HMDだけで6軸の検出ができるため、部屋移動などで使う場所を変えてもすぐ設定できる。ワイヤレスコントローラで操作でき、PCとHMDの接続はHDMIとUSB。
映像でリアルな体験をするには、PCに高いグラフィック性能を必要とするが、Windows MRでは「ハードウェア要求を一般的なPCの内蔵グラフィック機能まで下げた。現時点で出荷されているPCの4割が合致する」(執行役員 コンシューマー & デバイス事業本部 デバイスパートナー営業統括本部長 梅田成二氏)という。
なお、自分のPCがWindows MRの要件を満たしているかどうかが分からない場合は、無料配布されているソフト「Windows Mixed Reality PC Check」を使って、CPUやメモリ、ストレージ容量などが快適に動くかどうかなどを判定できる。
MR対応HMDは、デル「Dell Visor」やエイサー「AH101」が発売されたほか、富士通が11月、レノボが年内に発売予定。マイクロソフトのストア内でも、18日時点で40以上のMR関連アプリが提供されており、HMDを購入してすぐ体験可能としている。
そのほかにも、「DMM MR動画プレイヤー」や、朝日新聞の「ニュースVR」などが年内に提供予定。マインクラフトや、GoPro、Hulu、SkypeなどもMRに対応するという。
11月18日からは、店頭などでMRの体験ができるコーナーを展開。マイクロソフト主導で22店舗、OEMメーカーなどによる協力を含め400店舗を予定しており、この規模はアメリカよりも多いほどだという。
MR対応アプリとして、ゲームの「TITAN SLAYER」を、レノボのヘッドセットで体験した。目の前に立ちはだかる巨人の攻撃をよけながら、銃で攻撃。細かい説明を受ける前にゲームが始まり、最初は両手のコントローラでどうやって動かすのかと思ったが、巨人が振る剣をよけるには、しゃがんだり体を横に移動するなど、単純に自分が動けばいい。特にチュートリアルがなくても、やりながら覚えることができ、初めてのゲームでも爽快感があった。
フォトアプリやEdgeなども強化
フォトアプリは、複数の写真を選ぶと自動でBGM付きスライドショーを作成するもの。音楽は自動で付与されるが、雰囲気に合わなければ変更したり、個別の写真をどれくらいの時間表示するかといった細かな指定も可能。各写真にフィルタを掛けることもできる。
さらに、フォトアプリ内でビデオ編集も可能。前後の不要な部分をトリミングできるほか、動画に3Dエフェクトを加えられ、例えば試合中のテニスボールを爆発させるといった効果を付けたい場合、炎などを拡大/縮小できるほか、回転によって好きな向きにできる。
作成したファイルはSNSへの投稿や、メール送付が可能。よく連絡する家族や友人などは、「People」アプリに登録しておけば、すぐにメールなどが送れて、メールには絵文字も使用できる。
WebブラウザのEdgeは、EPUBやPDFの表示にも対応しているが、新たにPDFへのペン描きこみや、フォームへの入力に対応。フルスクリーンモードにも対応した。タスクバーのWebサイトのピン留めにも対応している。PC版だけでなくiOS/Android版もリリースされる。
PCだけでなく、Xbox OneにもFall Updateを提供。ホーム画面のパーソナライズなど、ユーザーインターフェイスの改善を行なっている。なお、現時点でXboxがMR対応になる予定はないという。