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MrSpeakers初の静電型ヘッドフォン「ETHER ES」は'18年前半に登場

 エミライは、MrSpeakersの静電型ヘッドフォン「ETHER ES」を発表した。2018年の第1四半期(1~3月)に出荷開始予定で、価格は未定だが、「合理性のある価格に設定するよう心がけていく」(MrSpeakers創立者のDan Clark氏)という。

MrSpeakers初の静電型ヘッドフォン「ETHER ES」は'18年前半に登場 MrSpeakersの静電型ヘッドフォン「ETHER ES」。写真はいずれも試作機のもの
MrSpeakersの静電型ヘッドフォン「ETHER ES」。写真はいずれも試作機のもの

 静電型ヘッドフォンで一般的に弱いとされる、“低域再生におけるレンジ感と量感の改善”をテーマの1つとして開発されている。88mmと大口径な自社開発静電型ドライバユニットを採用。円形で、金属製のステーターを採用している。

MrSpeakers初の静電型ヘッドフォン「ETHER ES」は'18年前半に登場 MrSpeakers創立者のDan Clark氏
MrSpeakers創立者のDan Clark氏

 Dan氏は、「静電型でも、沈み込むような低域が欲しいと考え、開発した。静電型は音に一切の味付けをしない再生が可能。一方で、ヘッドフォンの評価軸では“静電型でどれだけ低域が出るか”や“音場の広さ”という点に注目されるが、そこだけにフォーカスし過ぎていると、音楽のジャンルによっては、音が変に聴こえてしまう事もわかった。そうした点もクリアしながら、音のディテール、透明感、精密さといった、音質で理想とするポイントを具現化した」と言う。

 従来から開発を表明している製品だが、「振動板が大きい事もあり、ザザッというノイズが出やすかった。そういった大きさゆえの問題の解決に時間がかかっていた」という。

MrSpeakers初の静電型ヘッドフォン「ETHER ES」は'18年前半に登場
MrSpeakers初の静電型ヘッドフォン「ETHER ES」は'18年前半に登場

 なお、静電型では振動板にホコリなどが付着しやすくなるため、それを防ぐために、高性能な粉塵除去フィルタも搭載している。

 ケーブルは着脱可能だが、端子は独自のものを新たに開発して採用。ケーブル自体は、しなやかさも備え、取り回しのしやすいものになっているという。

MrSpeakers初の静電型ヘッドフォン「ETHER ES」は'18年前半に登場 端子は独自のものを新たに開発して採用
端子は独自のものを新たに開発して採用

 なお、MrSpeakersとしてコンデンサ型ヘッドフォンをドライブするアンプを開発する予定は現時点ではなく、他のアンプメーカーと連携・協力しながら進めていく方針。

 協力メーカーとしてDan氏は、David Berning氏という伝説的設計者を中心に、ZOTL技術を用いてアンプを開発しているLinear Tube Audioや、通常のヘッドフォンアンプやスピーカー用のプリメインアンプで静電型ヘッドフォンを駆動できるようにする「エナジャイザー」を発売しているiFIなどの名前を挙げた。

音を聴いてみる

 ヴァイオリンの弦など、中高域のゾクゾクするほど繊細な描写は“まさに静電型”だが、中低域は密閉の大口径ダイナミック型ヘッドフォンで聴いているのではないかと思えるほど量感が豊かで、ズシンと芯のある低音が沈み込み、驚かされる。

 同時にその低音は中高域に負けないほど繊細で細かな描写も併せ持っており、さらにハイスピードな描写でキレも良い。貫禄のある迫力と、非常に機敏なスピードを兼ね備えた中低音は、今までのヘッドフォンで聴いたことがないような領域であり、「ETHER ES」の特徴と言えるだろう。

 例えば、真空管を使い、濃厚な中低域を楽しませてくれるようなヘッドフォンアンプと組み合わせても、その“旨味”を存分に発揮しながら、なおかつシャープかつ繊細さも味わわせてくれるヘッドフォンになりそうだ。