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53時間再生の薄型ハイレゾプレーヤー「PLENUE J」、4.4mmバランス出力「AR-M200」
2017年11月3日 20:10
東京・中野にあるAV機器の専門店フジヤエービックのデジタルスタイルショップが主催する「秋のヘッドフォン祭 2017」が、11月3日と4日の2日間、東京・中野の中野サンプラザで開催されている。入場は無料。ここではCOWONやJVCケンウッド、ゼンハイザーなどのブースをレポートする。
COWON
COWONブースでは、新ハイレゾプレーヤー「PLENUE J」を参考展示している。そう遠くない時期に発売を予定しており、価格は3万円台前半をイメージしているという。
64GBのストレージメモリを備え、microSDカードスロットも用意。とてもスリムな筐体が特徴で、筐体には高強度のメタルボディを使っている。ディスプレイはタッチパネルタイプ。
192kHz/24bitのPCMが再生でき、24bit DACを搭載。JetEffect 5やBBE+といった、サウンドカスタマイズ機能を豊富に備えているのも特徴。音楽再生時間は53時間とスタミナ仕様になっている。
オンキヨー&パイオニア
オンキヨーのコンパクトなハイレゾ対応ポータブルプレーヤー「rubato」の音質を、さらに強化したという新機種「DP-S1A」が展示されている。12月中旬発売で、価格はオープンプライス。店頭予想価格は56,000円前後。
16GBのストレージと2つのmicroSDカードスロットを備え、最大528GBまで拡張可能。音質アップグレードの内容は、既発売の上位モデルDP-X1からDP-X1Aへの進化と同じ考え方で、オンキヨーのサウンドエンジニアによるオーディオチューニングの見直しも行なわれている。
大容量の導電性高分子チップコンデンサを新たに搭載。全体で電源静電容量を2倍に拡大。無線LANやBluetoothのワイヤレス動作で発生する高周波ノイズを低減。筐体のバッテリシールドを厚さ3倍にしたほか、ヘッドフォン端子と周辺の信号接点部の固定力も向上。ボリュームノブのシャフト周辺パーツも新設計して回転精度を改善。こうした細かな改良の積み重ねにより、音質の大幅向上を実現している。
パイオニアブランドのバランス対応ハイレゾヘッドフォン「SE-MHR5」と、アニメ「響け! ユーフォニアム」のコラボレーションモデルも展示。直販サイト「ONKYO DIRECT」で予約販売しているもので、予約期間は11月13日15時まで。製品発送は2018年1月下旬の予定。価格は27,000円(税込)。。
楽器のユーフォニウムなど同作をイメージしたデザインをハウジング部のアクリル製プレートにレーザー加工し、さらにミラー仕上げとするなど、同社のコラボモデルとしては材質を含め初の加工技術を採用。パッケージには京都アニメーション描き下ろしイラストになっている。
他にも、パイオニアのイヤフォン「SE-CH9」向けに、リモコンのないアンバランスケーブルや、MMCX接続のイヤフォンにおいて、イヤフォンとケーブル不必要に回転したり、汗などがMMCX端子に入らないように保護する「コネクタシールド」などを紹介。コネクタシールドはSE-CH9Tに付属するものだが、問い合わせも多く、シールドだけでの販売も検討されている。
フロンティアファクトリー
フロンティアファクトリーブースでは、米Acoustic Research(AR)のハイレゾプレーヤー「AR-M200」が注目を集めている。11月24日発売で、価格は54,800円。
アルミ筐体を採用したスリムなハイレゾプレーヤーで、最大の特徴はヘッドフォン出力が3.5mmのアンバランスに加え、4.4mm 5極のPentaconnバランス出力を備えている事。内蔵ストレージメモリは32GB、256GBまでのカードが利用できるmicroSDXCカードスロットも装備する。ディスプレイは2.5型。
独自のOSを採用し、プロセッサはDual Cortex-M3。DACは旭化成エレクトロニクスの「AKM AK4490」を採用。クラスAのフルバイアス・シングルエンド・ヘッドフォンアンプを搭載。プリ部にはOPA2134を2基、パワー部には「TPA6120A2」を使っている。
Bluetooth 4.2にも対応し、コーデックはSBC、aptX、aptX HDに対応。ユニークな機能として、Bluetoothのレシーバーモードを用意。プレーヤーからBluetoothヘッドフォンなどにワイヤレスで音楽を送信するだけでなく、受信ができるもので、例えばスマートフォンとM200をBluetoothで接続、スマホから音楽を再生し、M200で受信。M200に有線ヘッドフォンを接続し、M200のDACやクラスAヘッドフォンアンプを使って高音質化して音楽を聴く事ができる。
さらに、11月24日にはイヤフォンも発売。ケーブル交換が可能で、4.4mmバランスケーブルや、Bluetoothケーブルまで同梱しているのが特徴。価格は、ハイブリッドドライバの「AR-E10」が34,800円、ダイナミック型のみの「AR-E100」が19,800円。直販サイトではAR-M200とE10をセットにした「AR-M200 × E10 Pentaconn SET」も24日に79,800円で発売する。
ブースにはARから、「AR-M200」を開発したAlex Li氏が来日。4.4mmバランス接続を積極的に採用した理由は、「現在は2.5mmなどと比べると対応製品数も少ないが、将来的には4.4mmが広まる事を信じて開発した。また、4.4mmは接続の安定性も高く、音質面でも利点がある事も決め手になった」という。
ユニークなBluetoothレシーバモードについては、スマホとポータブルアンプを短いケーブルで接続しているユーザーの姿を見て、「ワイヤレス化する事で、より便利に使えるのではないかと考えた」と、開発の背景を語ってくれた。
フェンダーミュージック
フェンダーミュージック(FENDER)のブースでは、モニターイヤフォンの最上位モデルとして、11月下旬より発売する「FXA11」(FXA11-TUNGSTEN)を聴く事ができる。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は15万8,000円前後。
ダイナミック型1基とバランスド・アーマチュア(BA)型4基のハイブリッド構成。北米で特許を持つハイブリッド・イヤーモニター・テクノロジーも採用している。
新開発のダイナミック型ドライバは、FXAシリーズで最大の14.2mm径。エッジと振動板が個別の素材から作られ、エッジがしっかりと振動板を支え、レスポンスを向上。BAドライバもハイブリッド向けに新開発されており、高域2基、中域2基を搭載した。
ハウジングは「3Dデジタル・ハイブリット・プリンター」で作られ、高い密閉性を確保。フィット感が高い特許出願中のイヤーピースと組み合わせて最大で23dBの遮音性を持ち、音楽にフォーカスできるという。ケーブルは着脱式で、コネクタは2ピン。強固で外れにくく、激しいステージパフォーマンスにも耐えるという。
JVCケンウッド
JVCのコーナーでは、新ハイレゾイヤフォン「SOLIDEGE」シリーズが注目を集めている。11月下旬発売で、店頭予想価格は「SOLIDEGE 01 inner」(HA-FD01)が4万円前後、「SOLIDEGE 02 inner」(HA-FD02)が28,000円前後。
どちらのモデルも、新たな「D3ドライバーユニット」を搭載。口径は11mm。基本的にはダイナミック型ドライバだが、振動板中央ドーム部分に高分子ポリマーのPENを採用。その表面に、アモルファスカーボンの一種であるDLC(ダイヤモンドライクカーボン)をコーティングし、剛性を高めてる。
この中央ドーム部分の外周部には、強度を持ちつつも、しなやかさを備えた素材として、PETを採用。PETの表面には、アモルファスカーボンの一種であるCBをコーティングしている。こうして素材を組み合わせる事で、高精細ながら、聴きやすいサウンドを実現しているのが特徴。
さらに、上位モデル「01」は、筐体のノズル部分が交換できる「Jマウントノズル交換システム」を採用。標準でステンレスのノズルが装着されているが、チタン製のもの、真鍮製のノズルを同梱。その3種類をユーザーが付け替えて、好みの音を追求できるようになっている。
また、01、02のどちらのモデルにも、ファインアジャスト機構を採用。ノズルが飛び出ているイヤフォン前方の部分が、クルクルと回るようになっており、ノズルの向きを変えられる。
ゼンハイザー
ゼンハイザーブースも注目の新製品が多数展示されている。フラッグシップイヤフォン「IE 800 S」は、11月中旬に発売で、店頭予想価格は12万円前後。この製品のために特別に開発したという、改良版のエクストラワイドバンド(XWB)ドライバを搭載。バランス接続可能な2本含む、計3本のケーブルを同梱する。
10月から発売がスタートした「IE 80 S」(実売40,000円前後)は、ユーザーが周波数特性を変更できる独自のマニュアルサウンド調整機能を備えたイヤフォン。
ネックバンド型のBluetoothイヤフォン「Momentum Free」は11月中旬に発売で、店頭予想価格は24,000円前後。プレミアムシリーズ「MOMENTUM」のBluetooth対応モデル。小型化と高級感にこだわっている。
オープン型ヘッドフォン「HD 660 S」は、11月中旬発売で店頭予想価格は55,000円前後。既発売のヘッドフォン「HD 650」の後継機種で、音響設計の改善を図り、振動板の輪郭に合わせた特製のステンレス製部材で振動板の制御を向上。トランスデューサーは全面改良し、軽量なアルミ製ボイスコイルを採用。高調波歪みを大幅に低減。左右の許容差(±1dB)は正確に一致させ、精度を維持したという。
FitEar
須山歯研のブースでは、ハイブリッド型カスタムイヤフォン「FitEar Air2」を紹介し、ヘッドフォン祭での先行販売も行なっている。2015年に発表した「FitEar Air」の特長を継承しながら、「さらに深化したサウンドを実現した」という新機種で、Airの後継ではなく、独立したモデルとして併売する。
フォステクスの9mmダイナミック型ドライバと、その良さを損なわぬよう設定されたBAを組み合わせ、独自のエアフロー制御も導入している。
形状にも特徴があり、従来のカスタムイヤーモニターと比較して耳穴に納まる部分が短い「ショートレッグシェル」デザインを採用。耳穴内の空気容積を大きく取り、耳穴内の気圧変化幅を最小限に抑え、ダイナミックドライバ振動板の動作規制を解消している。フジヤエービックの先行販売価格は164,900円(税込)
ティアック
USB DAC/ヘッドフォンアンプの新モデル「UD-505」と、USB DAC搭載のネットワークオーディオプレーヤー「NT-505」を出展。どちらも2018年の1月27日発売予定で、価格はオープンプライス。店頭予想価格は「UD-505」が148,000円前後、「NT-505」が168,000円前後。
「UD-505」は、従来モデルのUD-501やUD-503と同様に、ステレオ信号をピュアな状態で処理するデュアルモノラル構成を採用。新たに、旭化成エレクトロニクスのフラッグシップDAC「VERITA AK4497」を左右に1基ずつ搭載。各DACをモノラルモードで使用することにより高S/Nを獲得し、DSD 22.5MHzやPCM 768kHz/32bitのネイティブ再生も対応するなどアップグレードされた。4種類の転送モードによる音質の変化を楽しめる、インターフェイス株式会社によるUSB伝送技術「Bulk Pet」も採用している。
「NT-505」も、「VERITA AK4497」を左右に各1基備えたデュアルモノラル構成で高音質化。DSD 22.5MHzやPCM 768kHz/32bitのネイティブ再生にも対応している。
LAN端子を備え、ネットワーク再生の新機能としてRoonに対応予定(Roon Ready)のほか、日本では未サービスのTIDALやQobuzの高音質定額音楽配信にも対応する。さらに、MQAデコーダも搭載し、MQAのストリーミングにも対応予定。このモデルも、USB伝送技術「Bulk Pet」を採用している。
ナイコム
ナイコムは、英RHAのエントリーイヤフォン2製品を展示。11月15日発売で、価格は、小型筐体の「S500 Universal」が4,800円、独自のAerophonicデザインを採用した「MA390 Universal」が3,480円。
S500 Universalは、既発売のイヤフォン「S500」、「S500i」の後継機種。小型のアルミニウム筐体と、モデル140.1と名付けられたマイクロダイナミック型ドライバを採用しているのが特徴。
MA390 Universalは、既発売「MA350」の上位機種で、Aerophonicデザインのアルミ筐体に新設計のダイナミックドライバ「130.8」を搭載。「没入感をもたらす臨場感に優れ、深みあるパワフルなサウンドが特徴」とする。
ラトック
ラトックのブースでは、Raspberry Pi Audio用の拡張基板キットとして、「S/PDIF, I2S マスターククロック生成基板」(RAL-SRC4392P)と、「DC+5V/3A リニアレギュレータ電源基板」(RAL-KPS0503)を参考展示。価格はオープンだが、マスタークロック生成基板が2万円台後半、リニアレギュレータ電源基板が15,000円前後をイメージしているという。
これらの基板と、発売済のRaspberry Pi オーディオ機器組込用マザーボードと組み合わせ、実際にケースに配置した作例を展示している。
マスタークロック生成基板は、DAC用マスタークロック信号がなく、ソフトウェアで合成されているRaspberry piオリジナルの I2S(LRCLK,BCK,SDOUT)出力信号を元に、マスタークロックとそれに同期したI2S信号、S/PDIF信号を生成するもの。基板上に2系統(44.1k/22.5792MHz、および48k/24.576MHz)の独立した低雑音水晶発振モジュールを実装し、マスタークロックを生成。それに同期した64fsフォーマットの標準I2S信号を生成している。