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5G技術で8K映像12チャンネル/1GbpsをMMT安定伝送。ドコモとシャープ共同実験

 NTTドコモとシャープは、第5世代移動通信方式(5G)を活用した8K映像の12チャンネルMMT(MPEG Media Transport)伝送の共同実験を11月1日に行ない、成功したと発表した。将来的に、高精細スポーツ観戦映像や、高精細監視カメラ映像などへの応用が期待できるという。

5G技術で8K映像12チャンネル/1GbpsをMMT安定伝送。ドコモとシャープ共同実験 今回の実験のシステム構成
今回の実験のシステム構成

 超高精細な8K映像伝送は、H.265/HEVC圧縮を行なっても1チャンネルあたり平均80Mbpsのデータレートが必要となるため、伝送速度の観点から、LTEでは安定して複数チャンネルの8K映像伝送を実現することは困難とされている。

 ドコモR&Dセンタ(神奈川県横須賀市)で行なわれた今回の実験では、5Gの特徴の1つである高速/大容量の通信を活用することで、合計約1Gbpsを必要とする12チャンネルの8K映像伝送を安定して実現。

 無線区間におけるスループットから12チャンネルの疎通を確認し、うち4チャンネルについては設置した4台のディスプレイに同時表示した。残りの8チャンネルのデータについても、5G端末に接続されたルータ上で受信できていることを確認したという。

5G技術で8K映像12チャンネル/1GbpsをMMT安定伝送。ドコモとシャープ共同実験 8Kマルチチャンネル送受信を実験中のシステム
8Kマルチチャンネル送受信を実験中のシステム

 無線通信のための電波は、建物や樹木、地形の起伏など障害物や反射物の影響を受けるため、無線区間の伝送誤りによる受信データの抜けやエラーの発生は完全には避けられない。データの抜けやエラーによる映像伝送品質の低下を防ぐためには、送信側において映像信号に対応するデータに追加データを付与して伝送し、受信側では受信データの抜けやエラーを検知・訂正する誤り訂正制御が必要となる。

 実験では、5G無線装置における無線レイヤの誤り訂正制御に加え、誤り訂正制御を実装した8K映像受信装置を用いて受信データのエラーを検知/訂正。無線区間の伝送誤りの影響を大幅に低減した乱れの少ない映像を再現し、8Kディスプレイに表示できたという。

5G技術で8K映像12チャンネル/1GbpsをMMT安定伝送。ドコモとシャープ共同実験 8K映像受信装置(4チャンネル分)
8K映像受信装置(4チャンネル分)
5G技術で8K映像12チャンネル/1GbpsをMMT安定伝送。ドコモとシャープ共同実験 誤り訂正制御を実装した8K映像受信品質
誤り訂正制御を実装した8K映像受信品質

 ドコモは今回の実験で5G無線通信の実験装置や環境を提供。シャープは8K映像コンテンツの送出装置、8K映像デコード、MMT伝送のための8K映像受信装置や8Kディスプレイなど8K映像伝送の実験装置や環境を用意した。8K映像エンコードとMMTエンコードはNHKが協力している。

 今回の成果は、11月9日~11日まで日本未来科学館で開催されるイベント「見えてきた、“ちょっと先”の未来~5Gが創る未来のライフスタイル~」にて展示予定。今後もドコモとシャープは、5Gを活用した8K映像アプリケーション・サービスの実証実験を進めていくという。

5G技術で8K映像12チャンネル/1GbpsをMMT安定伝送。ドコモとシャープ共同実験 将来の8K映像活用例
将来の8K映像活用例