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ソニー、スマートウォッチ「wena wrist pro」。バンドに有機EL、小型化。GPS内蔵activeも
2017年12月7日 13:54
ソニーは、腕時計のバンド部分にスマートウォッチの機能を内蔵した「wena wrist(ウェナリスト)」の新機種として、新たに有機ELディスプレイをバンド側に備えた「wena wrist pro」と「wena wrist active」を12月21日より順次発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格はproのシルバーが35,000円前後、プレミアムブラックが37,000円前後。activeはブラックのみで、30,000円前後。発売日は、wena wrist activeのみ'18年3月上旬で、それ以外は'17年12月21日。
シリーズ初となる機械式とソーラー式のヘッドも別売で用意する。機械式は54,000円前後~、ソーラー式は33,000円前後~。また、7月に発表したレザーバンドの「wena wrist leather」は当初12月下旬発売予定としていたが、発売日が12月21日に決定した。
wena wristは、ソニーの新規事業創出プログラム「Seed Acceleration Program」(SAP)から生まれたwena projectの製品。非接触ICカード技術のFeliCaを活用した電子マネー機能を、時計のヘッドではなくバンドに装備。手首をかざしておサイフケータイ対応サービスを利用可能。スマホと連携し、電話やメールの着信、SNSなどの更新も通知できる。
新モデルのwena wrist pro/ativeは、従来の7色LEDと振動に加え、新たに有機ELディスプレイを装備。通知、活動ログ、電子マネー残量などをバンド(手首の内側)だけでも確認しやすくした。電話やメール着信、SNS更新において、メッセージの送り手やタイトルの文字もディスプレイで確認可能。表示は大きめの文字の場合1行、小さめの文字では2行の切り替えが可能。文字はスクロールする。
電子マネーのFeliCaにより、コンビニエンスストアやドラッグストアなど、全国45万店舗以上でバンドをかざして買い物が可能。残高を有機ELディスプレイから確認できる。なお、wena wrist pro/activeの電子マネー利用には、初期設定時のみiOS端末が必要。
活動ログとして、1日の歩数や消費カロリー、睡眠の状態などをスマートフォンの専用アプリから確認することも可能。連携するスマホの対応OSはiOS 8.0以上とAndroid 5.0以上。
ヘッド取り付け部のバンド幅は22mmで、専用ヘッド部のほか、サポート外にはなるが手持ちの時計も装着できる。20mmや18mmのヘッドを取り付けるためのエンドピースも別売で用意する。バッテリの連続使用時間は、両機種とも約1週間(常時スマホと接続状態)。
製品ラインナップと店頭予想価格
wena wrist pro(バンド部)
WB-11A/S(シルバー) 35,000円前後
WB-11A/B(プレミアムブラック)37,000円前後
wena wrist active(バンド部)
WA-01A/B(ブラック) 30,000円前後
wena wrist Mechanical head(ヘッド部/機械式)
WH-TM01/W(ホワイト) 54,000円前後
WH-TM01/S(シルバー) 54,000円前後
WH-TM01/B(ブラック) 55,000円前後
wena wrist Solar head(ヘッド部/ソーラー式)
・スリーハンズ
WH-TS01/S(シルバー) 33,000円前後
WH-TS01/B(ブラック) 34,000円前後
・クロノグラフ
WH-CS01/S(シルバー) 43,000円前後
WH-CS01/B(ブラック) 44,000円前後
時計本来の質感を重視したwena wrist pro
wena wrist proは、初代モデルの流れを汲み、時計本来の質感や高級感などを追求しながら有機ELディスプレイなどの新機能を備えたモデル。従来比25%の小型化をしたほか、防水機能も5気圧に向上(従来はIPX5/7相当)。
バンド内部の電子部品を、外装の曲線に沿わせるように基板上に実装することで、薄さを追求。従来モデルから幅を約2mm小さくし、体積比で約25%小型化した。
側面は鏡面仕上げで、角に丸みを持たせたデザインにより手触りを滑らかにした。また、ヘアライン仕上げや、バックルの付け外し音など腕時計としての質感も重視。高級腕時計でも使用されているステンレス材のSUS316Lを採用している。外観だけでなく、内部の基板や配線、リサイクルマークまでモノトーンで統一。見えない部分への美しさも追求したという。バンドのコマ長さを約11mmと小さいサイズで統一。シンメトリーなデザインを実現し、サイズの微調整もしやすくなった。
ランニングにも使えて、スマートバンドにもなるwena wrist active
wena wrist activeは、ウェアラブル端末としての機能を高めたのが特徴。加速度センサーによる歩数や消費カロリーの算出に加え、GPSや光学式心拍センサーも備え、ランニング中にスマートフォンを携帯しなくても移動した経路や平均速度、心拍数などを計測できる。計測できるのは、移動距離、平均速度、歩数、心拍数など。
また、時計のヘッド部を取り外すことで、睡眠時やランニング時などにシンプルなスマートバンドとしても利用できる。
睡眠状態の計測も可能。眠りの状態に合わせてアラームが動作する「スマートアラーム機能」も備え、快適な目覚めを手助けするという。防水性能は3気圧で、ランニング中の急な雨にも耐える。なお、水泳での利用には対応しない。電子マネー機能により、ランニング中に喉が乾いたら、財布や小銭を持っていなくても飲み物を購入することなどができる。
バッテリの使用時間は前述した通り約1週間だが、これは「アクティブモード」を合計1時間使用、心拍センサー設定をアクティブモード時のみとした場合の最大動作時間。アクティブモードのみでの連続動作は最大8時間となる。また、GPSの電波状況などで動作時間が短くなる場合がある。
機械式とソーラー式の新ヘッドも
新バンドのwena wrist pro/activeや、従来モデルのwena wristなどと組み合わせて使えるヘッド部(時計部分)として、シリーズ初となる機械式モデル「wena wrist Mechanical head」を3種類、ソーラー式「wena wrist Solar head」2モデル4種類を発売。機械式はwena wrist proに、ソーラー式はwena wrist activeに合わせてデザインされた。
wena wrist Mechanical headは、前面の風防には衝撃や傷に強い球面サファイアガラスを、背面には機械式ムーブメントの動きを確認できるシースルーバックを採用した。キャリバーは、高品質な機械式ムーブメント「90S5」(シチズン/MIYOTA)で、錘にはwenaロゴ入り。重心を低くすることで腕にフィットしやすくした。
ソーラー式モデル 「wena wrist Solar head」の連続動作時間(ヘッド部のみ)は約6カ月。前面の風防には衝撃や傷に強い球面サファイアガラスを採用。片面無反射コーティングを施し、照り返しの強い日差しの下でも時間を確認しやすい視認性を確保している。5気圧防水に対応。文字板は旭光の表面処理後、何重も塗装を施し、太陽光を透過させながらも、高級感のある輝きを両立したという。クロノグラフと、シンプルなスリーハンズ(三針)の2種類を用意する。
為末大氏や、時計ジャーナリスト広田氏も評価
7日に発表会を行ない、スポーツとテクノロジーに深い理解を持つことでも知られる元陸上選手の為末大氏がビデオメッセージで登場。また、時計ジャーナリストの広田雅将氏を招いたトークセッションを行なった。
ソニーの新規事業部門新規事業創出部wena事業室 統括課長 對馬哲平氏は、初代の思想を受け継いで進化したwena wrist proを「本流」、新しい方向を示したwena wrist proや、wena wrist leatherを「分流」として紹介。proについては機能を強化しながらバンド幅やサイズを抑えたことを説明した。
proの小型化については、「厚みが0.1mm違うだけで装着感が変わるため、0.1mm薄くすることに、全力を注いた。バンドのカーブしている部分に合わせて、基板の実装の配置を3次元的にコントロールして高密度に実装した」と説明した。
心拍計やGPSなどを備え「ガジェットライクに、機能性にフォーカスした」というactiveは、スポーツなどの時に腕時計部分を外せることを一番の特徴として紹介。取り付け部分のエンドピースの機構なども新規設計し、特許出願中としている。
ビデオメッセージで登場した為末大氏は、wena wrist activeについて「時計部分が外れるのが合理的」と評価。これからのウェアラブル端末について「人間には、新しく何かを身に着ける余白はもうそんなにないのでは。wenaのように、普段つけている時計が、スッと気づかれないうちに置き換わるようなことが必要なのでは」とした。
時計ジャーナリストの広田雅将氏は、スマートウォッチとしてではなく“良い時計とは”という視点から「道具として一番大事なのは、着け心地いがいいこと。最初のモデルは(proより)厚く重かったが、部品をブレスレット全体に散らしたことで重さを分散し、骨格がもともと良かった。着け心地のいい時計の条件である、重さを散らすことにプラスして、新モデルでは体積が小さくなり、結果として“気に障らない”時計ができたのでは」とした。
また、ヘッド部分について「ケースの構造がすり鉢状の構造になっている」ことにも着目。「装着感のもう一つの条件は、重心を下げること。ヘッドの部分が腕に近ければ近いほど装着感が改善されるので、最近は時計メーカーが取り組んでいる。まさかソニーがやるとは思わなかった」と高く評価した。