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iZotope、持ち運べる簡単8trレコーダ「SPIRE STUDIO」。小岩井ことり生歌も高音質で
2018年6月13日 07:30
米iZotopeとタックシステムは、iPhoneとワイヤレス接続して簡単に本格的なレコーディングができるポータブルレコーダ「SPIRE STUDIO」を6月末に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は45,000円前後。
SPIRE STUDIOは「いつでもどこでも、シンプルに最高のレコーディングを」というコンセプトで開発された製品。Ozoneなどの音楽制作用ソフトウェアで知られるiZotopeにとって初のハードウェアとなる。
8トラックのオーバーダビングが行なえ、iPhoneで編集、エフェクト追加し、アップロード/共有できる。アーティストのデモ音源作成や、「歌ってみた」などの投稿のほか、ポッドキャストやYouTubeのナレーション用などの音声も、専門知識や配線不要で本格的に録音できるという点が特徴。
外形寸法11.07×8.74×12.29cm(幅×奥行き×高さ)、重量0.62kgの本体に無線LANやメモリ、バッテリなどを内蔵。48kHz/24bitのリニアPCMで本体メモリ内に録音。iPhoneへ無線LAN(IEEE 802.11b/g/n)で伝送し、そこからYouTubeやSNSなどにアップロード可能。本体メモリには約6時間分の保存ができ、内蔵バッテリで最大4時間の連続使用が可能。
前面にカスタムメイドの無指向性コンデンサマイクを内蔵。背面にはXLR/TSコンボジャック×2を搭載。48Vファンタム電源搭載のグレースデザイン製マイクプリアンプを備え、高音質で録音可能。そこからスマホへWi-FiでPCMのまま伝送するため、Bluetoothに比べ高音質で伝送できる。
iZotope製のサウンドプロセッサーを備え、リバーブやディレイ、アンプシミュレータなどのエフェクトも搭載。iPhoneアプリ「Spire Music Recorder」とSPIRE STUDIOだけで編集やミックスも行なえる。
録音した音源は、トラックごとにボリュームや左右のパンを調整可能。アプリ画面上に8つのトラックが点で表示され、目的のトラックを上下にスワイプするとボリューム、左右でパンの調整ができる。
録音する前に、既に録ってある音との音量バランスを自動調整する「サウンドチェック」機能も利用可能。次に録りたい楽器を10秒間演奏すると、録音時のレベルを自動調整できる。
別売で専用バッグ「Spire bag」(8,000円)も発売。さらに、同バッグとオーディオテクニカ製ヘッドフォン「ATH-M30」がセットになった「Spire Road Warrior Bundle」(59,900円)も用意する。
声優・小岩井ことりのオリジナル楽曲がその場で完成。作曲家としても評価
音楽制作ソフトだけでなく、映画やテレビ番組などの音声にも技術を提供しているiZotopeによれば、音楽以外にも様々な用途があるという。例えば声優が録音した声をディレクターなどがチェックする際にも有効とのことで、本格的なレコーディングができない環境でサンプル音声を録って送る場合、iPhoneなどで録ると部屋のノイズが重なったり、低域部分や質感が十分に録れていない問題があるという。しかし、高音質で録れるSPIRE STUDIOを使用することで、「スタジオと変わらない音がどこでも録れて、ジャッジがしやすい」とのこと。また、映画などで、冷蔵庫をバタンと閉めた時の効果音も録音でき、バッテリ内蔵なので冷蔵庫の内側で聞こえる音も録りやすいという。
ゲストとして声優の小岩井ことりさんも来場し、オリジナルの歌をレコーディングするデモを行なった。あらかじめ用意されたトラックに、まずはギタリストが演奏してSPIRE STUDIOで録音、さらに小岩井さんのボーカルを録音、オリジナル楽曲がその場で完成した。
MIDI検定1級を持つ“DTM声優”としても知られ、実際に楽曲提供も行なう小岩井さんは、「ノイズを消したり、トリム的な機能が手軽にできますね。リアルタイムでミックスを変えたりということを、これまでやったことがない人でも直感的に触ってできます。作曲の仕事では、今までフレーズをケータイで録って終わっていたものでも、(SPIRE STUDIOを使うと)ある程度形にすることで、この状態でデモとして送れると思います」と高く評価した。