ニュース

オルトフォン“究極のMCカートリッジ”。同社初のダイヤモンドカンチレバー採用

 オルトフォンは、創業100周年の記念モデルとして、同社初のダイヤモンド・カンチレバーを採用した“究極のMCカートリッジ”を謳う「MC Century」を8月20日に発売する。価格は126万円で、世界限定100個。

「MC Century」使用イメージ

 最大の特徴は、無垢単結晶ダイヤモンド・カンチレバーを採用した事。硬い素材であることを活かし、素材に力が加わった際に変形を起こしにくく、素材内部での音の伝達速度が他の素材に比べて非常に速いことからトランジェント特性にも優れている。

 レコード再生時にスタイラスチップやカンチレバーが盤溝をトレースした際の動きが極めて正確にムービングコイルに伝わり、カンチレバー部分で盤に刻まれた微細な信号が減衰されることもない。速い伝達速度により、カンチレバーの素材に起因するサウンドの癖や立ち上がり・立ち下がりの曖昧さも排除。「ダイヤモンド・カンチレバーはレコード盤に刻まれた情報の純粋な伝送に最もふさわしい、Centuryとオルトフォンの哲学に必要不可欠な存在」だという。

 カンチレバー先端に取り付けられるスタイラスチップは、ダイヤモンドスタイラス、オルトフォン・レプリカント100を使用。レコード盤のマスターとなるラッカー原盤の溝を刻む際に使用するカッティング・ヘッドの針先形状に一番近く、盤溝との接触面積も多く、細かな信号も逃さず読み取れるという。カンチレバーとスタイラスの素材が共通である事から、音色の純化にも寄与するとしている。

 筐体のハウジングは、チタン素材の中で最も硬いものを採用。切削加工が困難だが、SLMテクノロジーを用いてチタン粉末をレーザー焼結で三次元的に立体成型することで、軽量かつ剛性に優れ、全ての不要共振を遮断する理想のモノコックボディを実現したという。

 ボディ下部にはTPE素材を専用に成形したダンピングボトムカバーを装着。異種素材の組み合わせによる複合防振となっている。

 ムービングコイルには、フラッグシップモデルのMC Annaで実用化されたものをベースとしつつ再設計を行なった専用の空芯コイルを採用。ムービングコイルの線を巻き付けるアーマチュア(巻芯)が非磁性体で、鉄芯に比べマグネットからの影響を受けずにコイルやカンチレバーを動作させられる。これにより、サウンドはより繊細かつフラットとなるという。

 しかし、鉄芯を使用しないため出力電圧が低いという弱点もある。そこで、チーフエンジニアのライフ・ヨハンセン博士は、自社成形の精密な非磁性体アーマチュアを使用し、カートリッジに組み込まれた強力なネオジウムマグネットから出る磁力線を理想的な流れになるようコントロール。一か所に集中させることで空芯のまま出力電圧レベルを上げることに成功した。

 出力電圧(1kHz, 5cm/sec.)は0.2mV、チャンネルバランス(1kHz)は0.5dB、チャンネルセパレーション(1kHz)は25dB、チャンネルセパレーション(15kHz)は22dB。周波数特性は20Hz~20kHz +/-1.5dB。適正針圧は2.4g、内部インピーダンスは6Ω、推奨負荷インピーダンスは10Ω以上。重量は15g。