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ソニー、95万円の究極プレーヤー「DMP-Z1」。バッテリ動作でAK4497×2基

ソニーは、オーディオ技術を結集した「Signature Series」の第2弾製品として、強力な駆動力を持つヘッドフォンアンプも搭載した、デジタルミュージックプレーヤー「DMP-Z1」を12月8日に発売する。価格は95万円。

DMP-Z1

外形寸法138×278.7×68.1mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約2.4kgのプレーヤー。サイズや重さは“据え置き機”のそれだが、高品位な電源供給を目的としてバッテリーを搭載。AC電源が無くても動作する。ポケットに入るサイズではないが、ポータブルプレーヤーとして使う事もでき、室内でリビング、書斎と違う部屋に移動して使用したり、カフェで使うといった使用法も想定されている。持ち運び用にキャリングケースも同梱する。

256GBのストレージメモリを搭載するほか、microSDカードスロット×2基を搭載。搭載したハイレゾファイルを再生するプレーヤーとして使えるほか、USB DACとしてPCと接続する事も可能。Bluetooth受信も可能で、ワイヤレスでスマホなどから音楽を再生する事もできる。なお、アナログ出力はヘッドフォン出力のみで、ライン出力は無く、単体DACとして使うことはできない。

側面にmicroSDカードスロット×2基を搭載

ヘッドフォン出力は、アンバランスのステレオミニ、4.4mmのバランス出力を装備する。最大出力は16Ω時で、ステレオミニが570mW×2ch、4.4mmが1,500mW×2ch。

ヘッドフォン出力は、アンバランスのステレオミニ、4.4mmのバランス出力を装備

アナログとデジタルの高音質技術を組み合わせ、高品位なヘッドフォンサウンドが楽しめるプレーヤーとして開発された。ソニーでは、デジタルアンプのS-Master HXを搭載し、高品質な電源供給が可能なバッテリ駆動のウォークマン「NW-WM1」シリーズを手がける一方で、デジタルとアナログ技術を組み合わせた「D.A.ハイブリッドアンプ」を搭載した高出力の据え置き型ヘッドフォンアンプ「TA-ZH1ES」も発売している。これら2つのハイエンド製品の利点を結集、「バッテリ駆動による高音質設計」、「高出力を実現するアナログ出力」、「厳選した高音質パーツ」を具現化したのが「DMP-Z1」となる。

最大の特徴として、大容量のバッテリーを搭載する。AC電源にはノイズが多いため、ピュアオーディオ機器では、ACからクリーンなDC電源を作り出すために、整流回路や巨大な電源ブロックを採用するのが一般的。さらにこだわる場合は、単体のクリーン電源システムを導入したり、電柱や配電盤そのものをオーディオ用に用意するといったユーザーもいる。

Z1では、AC電源で充電する大容量バッテリーを搭載。5つのバッテリーで構成しており、1つはデジタル用、残りの4つはアナログ用とし、相互の影響を排除。アナログは、正/負電源のそれぞれに、2つのセルを割り当てている。

内部。こちらはアナログ側で、左に白く見えているのがアナログ系用のバッテリ
反対側はデジタル側。デジタル系用のバッテリが見える

このバッテリーを活かすために、AC駆動モードと、バッテリー駆動モードの2つのモードを搭載。メーカーとしてはより高音質なバッテリー駆動を推奨するため、起動時に自動でバッテリー駆動優先起動となり、AC接続時であっても充電開始から15分経過すると自動的にバッテリーからの供給へと切り替わる。電池の持続時間は、FLACの192kHz/24bitのバランス駆動で約8時間、MP3 128kbpsのバランス駆動では約10時間。バッテリの充電時間は約4時間。

アナログ系用のバッテリ

DACは、旭化成エレクトロニクスの「AK4497EQ」を、左右チャンネル個別に搭載したデュアルDAC構成。高情報量、高解像度かつ、チャンネルセパレーションに優れた再生ができるという。

旭化成エレクトロニクスの「AK4497EQ」を、左右チャンネル個別に搭載したデュアルDAC構成

本体中央を貫くように、アルプス電気の「RK501」という4連ボリュームのソニー専用カスタム品を搭載。真鍮ケースに銅メッキと金メッキを施し、接触抵抗を低くすることで高音質化を実現。デリケートな音楽信号の流れをそのままに、艶のあるボーカルや低域の重厚感を再現したという。アナログアンプICは、TIの「TPA6120A2」を採用している。

金色のパーツがアルプス電気の「RK501」という4連ボリュームのソニー専用カスタム品

マスタークロック用に、超低位相ノイズ水晶発振器を、44.1kHz系と48kHz系で2個搭載する。

プレーヤー機能は、ウォークマンの上位機種「NW-WM1」シリーズで使っているプログラムとほぼ同じものを採用。ディスプレイは3.1型のカラー液晶。

プレーヤー機能は、ウォークマンの上位機種「NW-WM1」シリーズで使っているプログラムとほぼ同じ
再生画面
「バイナルプロセッサー」利用画面

音楽ファイルはMP3/WMA/ATRAC/ATRAC Advanced Lossless/FLAC/WAV/AAC/HE-AAC/Apple Lossless/AIFF/APEに対応。PCMは384kHz/32bitまでサポート。MQAにも対応する。DSDは11.2MHzまでのネイティブ再生が可能。

USB DAC利用時は、背面のUSB-C端子を使い、PCと接続する。USB-Cは、Z1のメモリへPCから楽曲を転送する時にも使えるほか、USB-Cから他のDAC機器へと、USBデジタル出力する事もできる。

BluetoothのプロファイルはA2DP、AVRCPをサポート。送受信が可能で、送信はSBC、LDAC,、aptX、aptX HD。受信はSBC、LDAC、AACに対応する。

ウォークマンが搭載している新機能の「バイナルプロセッサー」も搭載。アナログレコード特有の音響現象をDSPで再現するもので、デジタル音源をヘッドフォンで聴く場合でも、駆動系の初動感度特性の向上と、空間フィードバックを再現する事で、豊かな音が再生できるという。

DSEE HXも装備。ハイレゾ以外のファイルを再生する際も、ハイレゾ相当へと、高音域を補完し、サンプリング周波数やビットレートを高めて再生するもの。最新のDSEE HXとして、AI技術も使われており、再生している曲を自動で判別し、高域の補完性能をさらに高めている。

入力された全てのPCM音源を、5.6MHzのDSD信号に変換して再生する「DSDリマスタリングエンジン」も備えている。

筐体は新開発の「H型アルミシャーシ」を採用。アンプ基板とメイン基板をH型シャーシの上下面で物理的に分離し、ノイズを低減。音質に影響するアンプ基板へのノイズの影響を抑えているほか、各基板表面に十分な接触面積をとり、シャーシに設置する事でグラウンドを強化している。

筐体は新開発の「H型アルミシャーシ」

他にも高音質パーツとして、抵抗値を低減し、デジタル部のグランド安定性を向上させるために、金メッキを施した無酸素銅プレートを投入。電力供給能力を高める電気二重層キャパシタ、音質的に重要な接点に、金入りの新開発高音質はんだも投入。アンプ基板からヘッドフォン出力までの内部配線には、キンバーケーブルと協力して開発したケーブルを採用。ソニーではヘッドフォン向けとして、キンバーケーブル製のオプションケーブルも発売しているが、それと組み合わせる事で、内部配線からも含めてキンバーで統一できる。

アンプ基板からヘッドフォン出力までの内部配線には、キンバーケーブルと協力して開発したケーブルを採用
横から見たところ
脚部