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iFi audio、DAC+ストリーマ+ヘッドフォンアンプの1台3役「iDSD Phantom」日本投入
2026年4月2日 10:00
エミライは、英iFi audioのDAC内蔵ヘッドフォンアンプの最上位モデル「iDSD Phantom」のスペシャルイベントを開催した。イベントにはブランド共同創業者のVincent Luk氏やアジア太平洋地域のセールスダイレクター、Duncan Fuk氏が登壇し、投入する新製品の特長を語った。
iDSD Phantom
iDSD Phantomは、DACとストリーマー、ヘッドフォンアンプを統合しつつ、コンパクトな筐体も両立したフラッグシップモデル。アクティブスピーカーとのペアリングやプリアンプとしての利用にも最適という。国内では春頃発売予定で、価格は未定。海外での予価は税別4,499ドル。
世界初を謳う業界最高峰のDSD 2048リマスタリングを実現したほか、JVCケンウッドの「K2テクノロジー/K2 HDテクノロジー」も採用している。
内部にはバーブラウン製DACチップ「DSD1793」4基をインターリーブ構成で搭載。さらに真空管「NOS GE5670」も採用する。動作モードはソリッドステート/Tube(真空管のみ)/Tube+(ソリッドステートと真空管の同時利用)をリアルタイムで切り替えられる。ソリッドステートと真空管は、単なるパス切り替えではなく、それぞれの回路が独立した設計となっている。
ヘッドフォンアンプとしては最大出力7,747mWの純A級ディスクリートアンプを搭載。「市場のあらゆるハイインピーダンスヘッドフォンを駆動できる」(Fuk氏)とする。
ストリーマーとしてはTIDAL、Qobuz、Spotify、Roon、Apple AirPlay 2に対応。DLNAやUPnPも利用できる。
音質調整機能として、アナログ信号処理で低域を強化する「XBass Pro」と、同じくアナログ処理で音場を効果的に広げる「XSapce Pro」を搭載。さらに音の質感を微調整できる5種類の追加デジタルフィルターも備えた。
デジタル入力はUSB-B(3.0)、USB-A(Host)×2、USB-C(Host)、同軸デジタル、AES3、RJ45、M12、光デジタル(SC)、BNC(Clock in)fを搭載。ヘッドフォン出力は3.5mmステレオミニ、4.4mmバランス、4ピンXLR、3ピンXLR×2、6.3mm標準(正相/逆相)を備える。
外形寸法は約256×185×120mm、重さは約3.6kg。
NEOシリーズの新作も
またiFi audioではミドルレンジとなる「NEOシリーズ」より、ヘッドフォンアンプ内蔵D/Aコンバーター「NEO iDSD 3」と、ネットワークストリーマー「NEO Stream 3」の国内投入も予告された。いずれも今春発売予定で、価格は未定。海外での予価はどちらも税別999ドル。
NEO iDSD 3は、新たにK2/K2 HDテクノロジーに対応し、圧縮された倍音成分を復元し、本来のマスター音源を表現するというモデル。バーブラウン製チップをベースとしたカスタムDACを搭載し、PCM 768kHz/DSD 512のビットパーフェクト再生ができる。
ヘッドフォンアンプは、既存の「iDSD Diablo 2」の増幅段に改良を加えたものを搭載しており、最大5,551mWの高出力を実現した。
入力ではBluetoothとUSB-B、光デジタル、同軸デジタル、RCAアナログとBNCクロック入力に対応。BluetoothコーデックではaptX Losslessをサポートし、CD品質のオーディオをロスレスでBluetooth伝送できる。
そのほかコーデックはaptX Adaptive、aptX、LDAC、LHDC/HWA、AAC、SBCもサポートする。出力はヘッドフォン出力が4.4mmバランスと6.3mm標準。ライン出力がXLRバランスとシングルRCA。外形寸法は約214×158×41mmで、重さは約916g。
NEO Stream 3は、最大PCM 768kHzとDSD 512のネットワーク再生に対応したストリーマー。こちらもK2/K2 HDテクノロジーに対応し、本来のマスター音源を再現するという。
iFi audioの姉妹ブランドであるSilentPower製品由来のANC IIやiPurification、光ガルバニック絶縁など、徹底したノイズアイソレーションも採用。イーサネット接続ではRJ45に加え、M12-X、光LAN接続にも対応し、より高精度な伝送方式を選択できる。OSはVolumio 3で、対応アプリは「Nexis」に変更されている。
出力はUSB-A×2、光デジタル、同軸デジタル、AES/EBU、I2S、アナログRCA、4.4mmバランス。外形寸法は約214×151×41mm、重さは約1kg。
iDSD Phantomは高級車ロールス・ロイスからインスパイア
スペシャルイベントに登壇したアジア太平洋地域のセールスダイレクター・Fuk氏は、フラッグシップモデルとなるiDSD Phantomについて、コンパクト性を重視した理由を紹介。「日本でも世界でも、若い世代の人々は一軒家ではなく、よりコンパクトなスペースで生活しており、いかにコンパクトにHi-Fiの音楽体験を提供できるかが、大きな需要となっている」とした。
「この製品のデザインは、ロールス・ロイスの『ファントム』という高級車からインスパイアを受けています。ファントムというクルマは、威厳さや余裕のある強さを醸し出しており、そこに影響を受けてデザインしています。見た目は非常にコンパクトで紳士的ですが、中身には情熱が籠っています。オーディオ製品にとっては音がもっとも重要な要素ですが、外観も影響要素のひとつだと考えています」
「サウンド面では、DSD 2048に対応したカスタムスタジオグレードのリマスタリングエンジンを搭載しています。我々を除いて、ここまでの水準にたどり着いているメーカーはないと自負しています。JVCケンウッドとのパートナシップもそのひとつで、K2/K2 HDテクノロジーを搭載しています」
そのほか、DACと真空管をそれぞれ独立した回路で搭載し切り替え可能なこと、最大出力7,747mWの純A級アンプ搭載でハイインピーダンスのヘッドフォンも駆動できることを紹介し「いろいろな“美味しいところ”をひとつの筐体に詰め込んだ製品で、1台でさまざまな体験ができる」とした。
ブランド共同創業者のLuk氏は、iFi audioがイギリス・サウスプールに拠点を構えるブランドであること、その前身は2006年創業で、主にウルトラハイエンドのオーディオ製品を展開していたAMR(Abbingdon Music Research)であること、日本では2013年に発売したDSD対応ポータブルUSB DAC/ヘッドフォンアンプの「nano iDSD」は日本のみならず、全世界的に大成功を収めた製品であることなどを紹介した。
また競合他社は、採用しているDACや真空管、それらのスペックばかりをPRしていると指摘。「我々も以前はそういった取り組みをしていたが、それだけでは十分ではない」とiFi audioとしてのブランド哲学を紹介した。
「例えば、海は浅瀬からマリアナ海溝のようなところまで、幅広い深さがあります。我々もただ表面的にスペックをなぞるのではなく、提供するサウンド体験や使うコンポーネントをさらに深堀りして、海の一番深いところにたどり着くことを哲学としてきました」
「私たちはロボットではなく人間であり、音楽を聴いて楽しむとドーパミンやオキシトシン、セロトニン、エンドルフィンといった“幸せホルモン”が放出されます。また音楽を聴きながらトレーニングしていると、いわゆる“ゾーン”に入れるのに、音楽がないと何か物足りなさを感じることもあると思います。音楽は“心流(没頭状態)”を作り出すための“案内人”なのです」
「プロダクト設計やブランド戦略上、スペックが重要であることは分かっていますが、究極の目標は“いかに人間の脳を楽しませられるか”ということ。それが私たちに課された課題です」
また2024年からiFi audioブランドの輸入代理業務を務めているエミライの島幸太郎取締役も、iFi audioは「新しい技術をいち早く採り入れ、それをオーディオという場で、実際の音の価値としてどう成立させるかという課題に、オーディオマインド溢れる人々が真剣に取り組んでいるブランド」だと説明した。
「個々で重要なのは最新の部品を採用すること、それ自体が目的ではありません。DACチップやSoC、各種のデジタルデバイスは非常に高度化しています。しかし、優れた製品をそのままリファレンスデザインどおりに使えば、優れた製品になるわけではありません。本当に差が出るのは、そのデバイスが持っている本来の性能や可能性をどこまで深く理解し、どこまで使いこなせるかという部分です」
「iFi audioは、まさにこの部分に強みがあります。デバイスを表面的に使うのではなく、その内部の挙動や設計思想まで踏み込んで電源信号、処理、アナログ回路、クロックノイズ対策を含めて丁寧に追い込んで、最終的に音楽体験として意味のある形に仕上げていく。つまり技術の真価を引き出すことに力を注いでいるメーカーだと考えています」
このスペシャルイベントには、在日英国商業会議所(BCCJ)のセーラ・バックレイ(Sarah Backley)専務理事も出席。iFi audioがBCCJに加盟したことを明かすとともに、「iFi audioは、細部へのこだわりと職人技、そして深く根付いたリスニング文化で知られる英国のオーディオ文化の伝統を継承している存在で、英国のHi-Fiの遺産が世界において、今も重要な価値があることを示している」とした。
「現在、日英関係はかつてないほど強固な時期です。英国のイノベーションと日本の専門技術を融合させた今回の製品は、その勢いを具現化する代表例とも言えるでしょう」















