ミニレビュー
中身が変わって音質もアップした「AirPods Max 2」
2026年3月31日 22:00
4月初旬から販売が開始される「AirPods Max 2」のレビューをお届けする。
AirPods Maxは2020年12月に発売された。今回は発売から6年弱が経過しての「第二世代」となる。
正確には2024年9月にインターフェースをUSB-Cに変更した「AirPods Max(USB-C)」が発売されており、都合3モデル目だが、詳細は後ほど述べる。
発売から6年が経過したが、デザインにほとんど変更はない。変化は主に内部、搭載しているプロセッサーが「Apple H1」から「H2」に変わったことにある。
ではそれが製品にどう影響したのか、その点を見ていこう。
デザインはそのまま。メリットとデメリットは双方あり
冒頭で述べたように、AirPods Maxは「3モデル発売し、今回で第2世代」ということになる。
2024年のAirPods Max(USB-C)は、インターフェースをLightningからUSB-Cに変更したことが主な違いではある。
だが、実際にはそれに伴ってハードウェアに変更が行なわれており、「AirPods Max (USB-C)からしか使えない機能」があった。
カラーもAirPods Max(USB-C)発売のタイミングで変わっている。初代モデルはスペースグレイ・シルバー・スカイブルー・グリーン・ピンクだったのだが、USB-C版より、ミッドナイト・スターライト・ブルー・パープル・オレンジになっている。
AirPods Max 2のカラーリングはUSB-C版を引き継いでおり、ミッドナイト・スターライト・ブルー・パープル・オレンジで変更はない。
そして、サイズなどにもまったく変化がない。同じ色の製品だったら、USB-CとAirPods Max 2を見分けるのは難しいだろう。
今回は、筆者私物のAirPods Max(USB-C)(ブルー)と区別する意味もあって、AirPods Max 2はスターライトのモデルを借りている。
サイズも同じ・デザインも同じなので、操作関連にも変化はない。少なくとも感じることはできない。
持ち歩く時などは付属のケースに入れる。これは本体の保護だけでなく本体をスリープさせる役割も持っている。この構造も変わらない。
デザインの変更がないことは、若干落胆要素でもある。他社製品は折りたたみも可能にし、コンパクトに収納して持ち運ぶことを重視するようになっている。それに対してAirPods Max 2は、あいかわらず重くてかさばる。
他方で、変わらない良さもある。
それは操作性だ。
回せば音量が変わり、押せば一時停止になる「Magic Crown」の操作は、ミスも戸惑いもないという意味で快適だ。ボタンを押すとノイズキャンセルの設定が変わっていくことも、同様にシンプルで迷わない。
イヤフォン・ヘッドフォンは操作性に問題を抱えやすい。小さなボディに操作系を搭載すること、その複雑性がどんどん増していることから、今後さらに問題は悪化するだろう。
そこでタッチセンサーを使う製品は多い。アップルのAirPodsも、音量調整や再生操作をタッチセンサーに頼っている。比較的迷いづらいものだが、物理ボタンに比べれば正確性は劣る。
AirPods Maxの良さは「Magic Crownとボタンによるシンプルで迷いのない操作」にある。その点は、AirPods Pro Max 2でも変わらない。
もう1つ変わらない良さがあるとすれば、結果的にだが、イヤーカップやケースなどのデザインが「変わっていない」ことだ。変わらなかったことで市場に多数あるアクセサリ類をそのまま使える。もちろん、アップル純正の補修部品も同様だ。
汚れやすいイヤーパッドの予備を用意したり、傷が気になりやすいアルミボディの保護ケースを探したりするのは簡単で、これは「同じデザインである利点」。メジャーかつ長く世界的に販売されている製品だからこその部分ではある。
ただし、スリープを専用ケースに頼っている点は、個人的にはマイナスだと思う。
「いま動作中かそうでないか」を判断するのが(あいかわらず)わかりにくい。動作中を示すLEDを見逃さないようにしよう。
H2になってノイズキャンセルなどが向上
冒頭で述べたように、AirPods Max 2の変化は中身にある。
もっとも大きな変更は、ワイヤレス関連機能を制御するプロセッサーが「H2」に変わったことだ。
これによってアップルは「前世代に比べ、ノイズキャンセル性能が1.5倍になった」としている。
この差は体感できるものなのだろうか?
結論から言えば「わかる」。電車に乗っている時なら、騒音のうち特に高音にかけての部分が小さくなった、という感じだ。全然別物、というほどではないものの、音楽が流れている時に混ざって耳に聞こえやすいノイズが減った……というのが筆者の印象だ。
H2になったことで、多数の機能が追加されたのも大きい。
別の言葉を話す人と対話するための「ライブ翻訳」、こちらに向けて誰かが話し始めると音楽をミュートする「会話感知」、周囲のうるささや人の話し声に合わせて外部音と音楽をミックスする「適応型」の外音取り込みなどが挙げられる。
これらの機能はH2を搭載したアップルのイヤフォン、その中でも最新のものである「AirPods Pro 3」にある機能そのものだ。アップルによれば「ソフトウェア的な改善はなされている」とのことで、AirPods Max 2のものが最新版、という話にはなる。そういえば、特に外音取り込み機能などの自然さが増している印象は受ける。ただし、機能的に大きな違いがあるわけではない。
普段からAirPods Pro 3を使っている筆者としては、これらの機能に意外と依存しており、AirPods Maxにも搭載される方がありがたい。
意外に大きいのは「パーソナライズされた音量」への対応だ。
これは周囲のうるささなどに合わせて音量を快適になるようコントロールするもの。ヘッドフォンの音を大きくしすぎなくていい、という効果がある。実はH2搭載のAirPodsでしか使えない機能だ。愛用していることもあり、AirPods Max 2に搭載されるのは望ましいことだ。
なお、本来はアップル製品とのワイヤレス通信時にワイヤレスオーディオのレイテンシーを低減する機能も搭載されている。
だが、日本ではこの機能が使えない。アップルは「日本の電波法上の制約」と説明している。
この機能は2.4GHz帯でなく5GHz帯を使って通信を行ない、遅延を短くするものだ。日本の場合屋外での5GHz帯利用に制限があるため、ヘッドホンとしては使用に制限をかけているということのようだ。
なお、AirPods Pro とApple Vision Proを組み合わせた場合にも同様の低遅延通信機能があるのだが、こちらも日本では、同じ理由から利用できない。AirPods Max 2を組み合わせた場合も同様だ。
音質は着実な変化、ただし「劇的」ではない。初代モデルとの違いは「ロスレス」
音質変化はどうだろう?
AirPods Max 2には新しいハイダイナミックアンプが搭載されている。また、オーディオアルゴリズムの見直しも行なわれた。
結論から言えば、こちらも「ノイズキャンセルと同じように、変化はわかる」。
ハイダイナミックアンプの効果により、中域音の抑揚が改善されたという印象だ。音の立ち上がりも良い。
ただ、比べると変わったな……という感覚であり、片方だけを渡されて明確な違いを感じるか、というと難しい。むしろ、H2になった結果、外音を透過しながら音楽を聴いた時の自然さが上がっている点の方が有用だ。
また、空間オーディオについては音のつながりが自然になった。これもおそらくはH2とソフトウェアチューニングの効果と思われる。
全体的に味付けがわかりやすくなり、聴感はよくなったというところだろうか。
ただ、これだけでUSB-C版から買い替える価値があるかというと、なかなか難しいところはある。H2での機能アップがあるから意味はあるのだが。
むしろおすすめは、Lightning版の初代モデルからの買い替えだ。
実はUSB-C版以降、AirPods Maxには有線での「ロスレス接続」が可能になっている。USB Type-CケーブルでMacやiPhoneと接続した場合、最大48kHz/24bitのロスレスオーディオに対応する。また遅延もワイヤレス接続よりも短くなるため、楽器を演奏しつつ使ったり、ゲームをしながら使ったりするにはプラスである。
機能は以前詳しくチェックしているので、そちらも併読いただきたい。実はWindows PCやAndroidとつないだ時にもロスレス低遅延になる。
この機能、同じH1搭載でもLightning版では使えなかった。
この点も加味すると、すでにロスレスが可能だったUSB-C版はともかく、 Lightning版については「デザインは変わらないが、6年ぶりに買い替える」という判断はアリだ。

















