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「Cubase 10」発売。スマートコントロールで音楽制作を効率化、音のVRも

ヤマハミュージックジャパンは、独Steinberg Media Technologies製の音楽制作用ソフト最新版「Cubase 10」を11月14日より順次発売する。価格はオープンプライスで、直販価格は最上位の「Cubase Pro 10」が56,160円、「Cubase Artist 10」が29,160円、「Cubase Elements 10」が12,960円。対応OSはWindows 7/8.1/10と、macOS 10.12/10.13。

左からCubase Pro 10、Cubase Artist 10、Cubase Elements 10

「Cubase 10」は、作曲、アレンジ、レコーディング、波形編集、ミキシングなどに対応する総合音楽制作ソフト。最新版では、ワークフローの改善やエフェクトの追加、プラグインの再設計、ユーザビリティの向上などを行なっている。新たに高解像度HiDPIをサポートし、macOSの高解像度ディスプレイ表示にも対応。なお、Windows 10では限定対応となる。

いずれも64bitのオーディオエンジンを搭載し、最大サンプリングレートは192kHz。Proはオーディオトラック数が無制限で、Artistは64、Elementsは48。そのほか、搭載エフェクトの種類などに違いがある。

フラッグシップの「Cubase Pro 10」は、ボーカル編集/ピッチ修正機能の「VariAudio 3」を搭載。各セグメント上のドットを操作するスマートコントロールによって、全パラメーターを直接制御できる。また、各セグメントのボリューム調整や、自然なトーンにするためのフォルマント・シフト調整も利用できる。

VariAudio 3

チャンネルストリップは、モジュールごとにメーターを備え、直感的な操作が可能。各モジュールの順番も入れ替えが行なえ、大幅に視認性や操作性を改善したという。

チャンネルストリップ

Pro版は、ミキサーの「MixConsole」にスナップショット機能を搭載。プロジェクト内で行なった別のミックスを記録して、すばやく結果を比較できる。MixConsole内にスナップショットタブが用意され、保存したミックスをすぐに呼び出せる。さらに、各スナップショットへのノートの追加や、EQ設定のみの呼び出し、個々のトラックの設定呼び出しも可能。オーディオアライメントも搭載。リードボーカルのダブリングや多重録音のスタッキングなどが行なえる。

MixConsoleのスナップショット機能

Pro/Artistにおいて、基本的なベースのポンピング・エフェクトの作成、キック・ドラムや効果音のためのミックス内でのスペースの作成などを行なうサイドチェーン設定を簡略化。数回のクリックで目的のルーティングを作成できるようにした。FXプラグインでサイドチェーンを有効にしてトラックリストからソースを選択すると準備できる。

また、ドラム音源として「Groove Agent SE 5」を搭載。アコースティックドラム音源「The Kit SE」や、20種類のエレクトロミュージック用ドラム音源が追加されている。独自制作のサウンドとループも備え、深みのあるアナログテクノのライブラリから、実験音コレクションまで、5GBのサウンドとループが付属している。

Groove Agent SE 5

プラグインの追加/再設計を行ない、操作性も改善。エフェクトプラグインをトラックに直接割り当てたり、VSTインストゥルメントプラグインをプロジェクトに直接ドラッグしてインストゥルメントトラックを作成することが可能になった。全てのプラグインは、各ユーザーインターフェイスを表すタイルとして表示される。サードパーティのプラグインタイルは、プラグインヘッダーをクリックして簡単に作成できる。また、既存の「Cubase」プラグインのデザインを刷新して使いやすさを高めている。

Pro/Artistには歪み系の新エフェクト「Distroyer」を搭載。ミックス全体に微妙なアナログの暖かさを加えたり、キック・ドラムを激しいサウンドにするなど、サウンドに倍音の付加やキャラクターを追加できる。

エフェクト「REVerence」を再設計して拡張。カスタムインパルスレスポンスやプレビューワークフローの管理が効率化され、ビンテージアナログとデジタルリバーブの20種類の新たなインパルスレスポンスをファクトリライブラリに追加している。

表現の幅を広げるための機能向上として、「MixConsole」の新しいチャンネルレイテンシーセクションに、エフェクトチェーン内の各プラグインのレイテンシーとレイテンシーの合計を表示可能。Pro/Artistは、MPE(MIDI Polyphonic Expression)コントローラを正式サポートしている。

MPEコントローラ

Proには、VR制作ツールセットの「Steinberg Virtual Realityプロダクションスイート」も搭載。3次Ambisonicsバス、ヘッドトラッキング用HMDコネクタ、VST Multipannerに含まれている完全統合型バイノライザー、VRパンニングデバイスなどのプラグインとシームレスに統合されている。