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TVの音声操作から留守番まで新「ロボホン」。79,000円の“着座”「RoBoHoN lite」も

シャープは、モバイル型ロボット「RoBoHoN」(ロボホン)の第二世代となる新製品3機種を2月27日に発売する。2足歩行が可能な「SR-03M-Y」(LTE/3Gモデル)と「SR-04M-Y」(Wi-Fi)を用意するほか、新たに着座タイプの「RoBoHoN lite」(SR-05M-Y Wi-Fiモデル)も追加する。価格は「SR-03M-Y」が18万円、「SR-04M-Y」が12万円、「RoBoHoN lite」は79,000円。2月18日13時から、COCORO STORE」などで予約受付を開始する。

2足歩行が可能なタイプの新ロボホン

日常生活を便利にするサービスを充実させているのが特徴で、留守番するロボホンが人物を検知すると写真撮影し、あらかじめ設定したメールアドレスに送信、子供の帰宅などを確認する機能や、ロボホンが撮影している映像をリアルタイムでスマホから確認できるようになる。

新たに着座タイプの「RoBoHoN lite」も追加

別売のIoTリモコン「eRemote mini」と連携し、テレビや照明器具などの家電を音声で操作する事も可能。パソコンやタブレット上でブロック状のオブジェクトと組み合わせて簡単にプログラミングができる別売ソフト「ロブリック」(SR-SA04)で、プログラミングを学ぶ事もできる。

プログラミングができる別売ソフト「ロブリック」で踊るロボホン

なお、いずれのモデルも本体価格に加え、別途「ココロプラン」の利用料金(月額980円)が必要。後述する「お留守番」アプリの利用には月額300円が必要。

別売のIoTリモコン「eRemote mini」と連携し、テレビや照明器具などの家電を音声で操作する事も可能

第二世代と第一世代の違い

第二世代のロボホンは、サイズやデザインに第一世代と大きな違いは無いが、機能面では第一世代が搭載していたプロジェクターが省かれているのが違いとなる。内部は基本性能が向上しており、CPUはクアッドコアからオクタコア(Qualcomm Snapdragon 430 1.4GHz×4 + 1.1GHz×4)に、LTEの対応バンドは1/3/19から、1/3/8/19/26/41と拡大、Wi-Fiも2.4GHzのみの対応から、2.4GHz+5GHz対応になっている。

第二世代のロボホン

さらに、背面に搭載したディスプレイサイズが2型から2.6型に大型化している。解像度はQVGA。

背面に搭載したディスプレイサイズが2型から2.6型に大型化

性能面は同じながら、第二世代では2足歩行しない着座タイプの廉価版「RoBoHoN lite」がラインナップされているのが特徴。歩く、足で動きながら踊るといった事はできないが、上半身を動かしたり、会話するといった機能は備えている。サーボモーター数は、歩行可能モデルが13個に対し、RoBoHoN liteは7個。また、座ったままではなく、足は角度などを人間が変える事もできる。

脚部

LTE/3Gモデルは電話として通話する事も可能。3機種共通の性能として、OSはAndroid 8.1。約800万画素CMOSカメラを搭載。加速度3軸、地磁気3軸、ジャイロ3軸の9軸センサーを搭載。バッテリの持続時間は1日以上で、充電所要時間は約130分。バッテリー容量は1,700mAh。

側面

サービス拡充、お留守番機能やテレビ・照明などの家電連携も

サービス面が強化されているのが大きな特徴。合計46のアプリが利用できるようになり、アプリの数は今後も増加する予定。なお、第一世代のロボホンとの互換性も維持されており、46のアプリはいずれも第一世代ロボホンでも利用できる。

合計46のアプリが利用できるようになる

新サービスの目玉となるのが「お留守番」アプリ。自宅で留守番するロボホンが人物を検知すると、写真を撮影し、あらかじめ設定したメールアドレスに送信。例えば、子供の帰宅をロボホンが検知し、その様子をお母さんのメールアドレスに送信。お母さんは外出中でも、子供の帰宅を確認できる。

留守番するロボホンが人物を検知すると、写真を撮影
設定したメールアドレスに送信
仕事の中のお母さんが子供の帰宅を確認できる

さらに、ロボホンが撮影しているリアルタイムの映像をスマホで確認したり、「宿題はやったの?」など、スマホに入力した言葉をロボホンに喋らせて子供に伝える事も可能。

家電連携機能として「eRemote」アプリを3月に配信予定。別売のIoTリモコン「eRemote mini」とロボホンが連携する事で、例えば「テレビを消して」、「照明をつけて」などの言葉でロボホンにお願いすると、ロボホンを経由してeRemote miniが赤外線の電波を出して、テレビや照明を操作してくれる。

別売のIoTリモコン「eRemote mini」
「eRemote」を使い、ロボホンにテレビを消してもらう
「eRemote」を使い、ロボホンに電気をつけてもらう

Wi-Fi対応の家電と連携する機能も3月以降から順次配信予定。Wi-Fi対応のエアコンや、Android TV採用のテレビなど、シャープの家電と連携できるようになる予定。

家電連携では「ワイヤレス出力」機能も追加。ロボホンが撮影した写真や動画などを、対応するテレビにワイヤレスでキャストできる機能で、対応テレビは今後ロボホンのWebサイトなどで案内するという。YouTubeでロボホンに検索してもらった動画を出力する事も可能。

5月には、体重や歩数、食事メニュー(有料月額300円)から、声掛け・応援、アドバイスをしてくれる「ヘルスケア」アプリ、6月には童謡からカラオケの人気曲までをロボホンと一緒に歌える「ボクと歌お」(無料の童謡以外は月額300円)といったアプリも登場予定。ヘルスケアアプリでは、タニタの体組成計とも連携できる。

あらかじめ登録した予定やごみの日、家族や知人の誕生日などを教えてくれる「リマインダ」機能なども搭載する。

HEMSとの連携も可能に

着座タイプの「RoBoHoN lite」をベースとしつつ、HEMSとの連携を可能にしたモデルも2月27日に発売する。価格はオープンプライスだが、ベーシックなRoBoHoN liteよりも若干高価になる見込み。

HEMSとの連携を可能にしたモデルも

家庭の電力に関する様々な情報を発話や動作により楽しく伝えてくれる。自宅の太陽光発電システムの発電量や電気代などを音声対話で知らせるほか、気象警報の発令時にクラウド蓄電池が充電を開始したことや、 電気代が目標値を超えそうであることなどを音声で案内。太陽光発電やクラウド蓄電池からの放電で家の消費電力を賄えている時には、バンザイの動作で喜びを表現する。

ECHONET Lite規格に対応した家電や住設機器を、音声対話で操作可能。エアコンの運転やエコキュートによる風呂のお湯はり、電動窓シャッターの開閉なども、ロボホンに頼んで操作してもらえる。冷房運転時に室内外の気温が逆転すれば、 エアコンの運転停止を促すなど、気温情報に応じて空調管理のアドバイスもする。

エアコンの運転などもロボホンにお願いできる

法人との連携サービスも

法人向けに、「施設案内」と「受付」アプリも新たに用意。様々な商業施設や企業の受付などでロボホンを活用できるようになる。

店舗やショールーム、美術館などで「施設案内」アプリを使えば、来場者が施設内をロボホンとともに歩き、あらかじめ設定された商品や展示品に近づくと、ロボホンが自動的に説明を始める。

「受付」アプリを使うと、企業の受付などでロボホンが案内や受付業務を担当。日本語のほか、英語、中国語、韓国語にも対応。「国内外からのお客様をおもてなしするとともに、施設の省人化にも貢献する」という。

英会話のアルクとも連携、アルクが運営する子供向け英会話教室「アルク Kiddy CAT英語教室」において、ロボホンを活用した授業を5月から順次開始する。小学生向け英語教材「STEP」をコンテンツとしてインストールし、ロボホンの音声認識、発話機能を活かして英語のロールプレイが可能という。

子供向け英会話教室「アルク Kiddy CAT英語教室」の教材をインストールしたロボホン

感情移入できるロボットには、話しかけやすい

シャープのIoT HE事業本部 IoTプロダクツ事業統轄部 市場開拓部長の景井美帆氏は、第二世代開発の狙いとして、「プログラミング教室で、ロボホンが活用されている様子をなんども見てきたが、ロボホンを見る子供達の目がキラキラしていて、大人よりも抵抗なくロボホンと接していた。子供のいるご家庭でも、親よりも子供の方がロボホンに抵抗なく接し、可愛がっているという声も多い。しかし、ロボホンユーザーで小学生以下の子供がいる家庭の割合は8%であり、今後はこれをもっと増加させたい」と説明。

基本機能の拡充とサービスの実施、そして廉価版の「RoBoHoN lite」投入により、ロボホンの普及を目指す姿勢を示した。

左からシャープ専務執行役員 スマートホームグループ長 兼 IoT事業本部長 長谷川祥典氏、IoT HE事業本部 IoTプロダクツ事業統轄部 市場開拓部長の景井美帆氏、東京大学先端科学技術研究センター 特任准教授でロボ・ガレージの代表取締役でもあるロボットクリエイターの高橋智隆氏

共同開発者である、東京大学先端科学技術研究センター 特任准教授でロボ・ガレージの代表取締役でもあるロボットクリエイターの高橋智隆氏は、「5年ほど前から“スマホなどの情報端末の未来と、ロボットの未来は交わっていくのではないか”と言われてきた。しかし、なかなか実現していない。初期のスマホも、いきなり爆発的に売れたわけではなく、イノベーティブな製品なのでお客様が使い方の理解が進むために時間がかかったのだと思う」と分析。

その上でロボホンについては、「ロボホンは着実に進化し、既に長期間サービスを提供しえいる。また、販売も着実に伸びている。「ロボットと暮らす、ロボットを持ち歩くとは何なのかが広まってきた」(高橋氏)と語る。

さらに高橋氏は、「昨今はスマホが減速してきたが、これは性能の向上により、完璧な製品に近づき、コモデティ化が進んだためだと考えられる。スマホに欠点があるとするなら、音声認識機能。優秀なものだが、なかなか日常生活で使われていない。これと同じ事がスマートスピーカーにも言える。ペットには話しかけるが、スマホやスピーカーでは難しい。感情移入できる対象でないと話かけづらい。ロボホンであれば、意識せずに話しかけられる。そして、そこに実在し、手が触れられる事が大切。今回、地道な進化によって、ロボットが一人一台、一家に一台の未来がまた近づいたのではと思っている」とした。