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8Kカメラ映像から4つのHD映像を切り出す新システムなど、パナソニックNAB出展

パナソニックは、米ラスベガスで現地時間8日から開催される国際放送機器展「2019 NAB Show」への出展概要を発表。1台の8Kカメラの映像から最大4枠のHD映像を切り出す新システムなど、放送・制作向けの8K/4K対応技術や、AWSクラウド上で展開する新ワークフローシステムなどをアピールする。

パナソニックの「8K ROI(Region of Interest)カメラシステム」。8Kカメラ「AK-SHB800GJ」とイメージプロセッシングユニット「AK-SHU800」で構成する

8Kカメラ映像からHD映像×4を出力。ライブ収録やスポーツ中継を省力化

8Kカメラを用いた高精細・広画角の8K映像から最大4枠のHD映像を切り出せる、「8K ROI(Region of Interest)カメラシステム」。ライブイベントの収録や、スポーツ中継の効率化・省力化を目指しており、7月から受注生産での発売を予定している。

8K ROI(Region of Interest)カメラシステムの利用イメージ

8K ROIカメラシステムでは、8KフルサイズCMOSイメージセンサーを搭載し、EFレンズマウントを採用したボックスタイプの8Kマルチパーパスカメラ「AK-SHB800GJ」に、イメージプロセッシングユニット「AK-SHU800」、フレーミング制御ソフトウェア(別売のソフトウェアキー「AK-SFC101G」が必要)をインストールしたPCを組み合わせて構成。

8K映像に最大4つの枠(クロップエリア)を設定し、それぞれHD映像として切り出して出力できる。切り出した4つの映像は、個別にフレーミング(パン・チルト・ズーム操作)することもできる。ロングとアップを連動して操作することも可能で、1台のカメラを4台のHDカメラとして運用可能。

レンズの中心から離れた周辺部を切り出す場合、広角歪みをリアルタイムで自動補正して、より自然な映像を出力できる機能も備える。

8Kマルチパーパスカメラで捉えた映像の広角歪み自動補正機能の補正イメージ

さらに、最大8台の8Kマルチパーパスカメラをシステム接続し、1台のカメラのフレーミング操作に他のカメラのフレーミングを自動追従させることも可能。

一例として、3台の8Kマルチパーパスカメラのアップ/ロング2画面の切り出し映像を連携させて、メインフレームのフレーミング操作(パン・チルト・ズーム)に、6つの切出し映像のフレーミングを連動できる。

このシステムにより、「ライブイベント収録やスポーツ中継などにおいて撮影の効率化と省力化が図れ、設置・移設・輸送コストの削減につながる。また、複数カメラの設置でふさいでいた観客席を生かせる」としている。

複数の8Kカメラのフレーミングを連動させたマルチカメラ運用も可能

4K/IP伝送対応の放送用スイッチャー、AWSクラウド上で展開する新ワークフロー

4K映像とIP伝送に対応した新しい放送用スイッチャーシステムシリーズ「LPS(Live Production Suite)」を開発。10月より順次商品化を予定する。

新システムは、MoIP(IP接続による映像伝送技術)を採用し、IP接続設備とインターネットのITインフラを活用することで伝送距離の制約を無くせるとする。

これにより、放送局からは中継車などのローカルスタジオを使用せず放送局からリモート運用でき、オペレーションコストを削減できるとしている。システム構築の柔軟性・拡張性を備えることでSDI/IPの両方が混在する入出力にも対応する。

放送用スイッチャーシステムシリーズ「LPS」のシステム構成例

既存の報道向けP2ワークフロー「P2 Cast」を、AWS(アマゾンウェブサービス)のクラウド上で展開する新サービス「P2 Cast on AWS」も発表。

現行のP2 CastはP2 Castクラウドサーバーにアクセスし、局サーバーにコンテンツをダウンロードして運用する方式だが、P2 Cast on AWSでは編集から配信までをクラウド上で一括して行なえるという。

AWS上でグラスバレーのEDIUS Cloudと連携したテスト運用を始めており、2019年内に提供開始する。