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シャープ、8K体感&商談を兼ねた「8K Labクリエイティブスタジオ」

シャープは19日、8Kソリューションを創出するBtoB向けの商談スペース「8K Labクリエイティブスタジオ」を芝浦にある東京ビルにオープンした。撮影・IP伝送・編集が体感できるシステムを常設し、8Kビジネスの開発を加速するという。スタジオは予約制で、一般には開放しない。

オフィスフロアの一角にスタジオを設置

8K Labは'18年12月14日に発足した、同社の8K技術開発、8Kビジネスの関連組織からなる組織横断型プロジェクト。「インフラ保守」「セキュリティサービス」「スマート会議」「ゲーム・エンターテイメント」「遠隔医療・手術支援」「運転サポート」「教育支援」「スマートホーム」の8つの事業分野で、パートナー企業と共にソリューションを開発し、社会に普及させていくことを目的としている。

クリエイティブスタジオのメンバーは、各要素技術を持つ研究所の精鋭で構成されており「技術者が顧客の要望・意見を直にキャッチアップすることで、迅速にソリューションの開発や提案に反映できる。プロダクトアウトではできない、マーケットインの強みを最大限に発揮する」という。

組織横断型のプロジェクト「SHARP 8K Lab」。シャープの持つ技術とパートナー企業の連携で様々な8Kビジネスを展開する

スタジオには商談スペースのほか、8K映像制作を体験できる「8Kカメラの撮影エリア」や、8K映像データを公衆インターネット回線経由で伝送させる「8K映像のIP伝送エリア」、8K映像の編集を可能にする「8K映像の編集エリア」を常設する。

撮影・IP伝送・編集が体感できるシステムを常設した8K Labクリエイティブスタジオ

撮影エリアには、シャープ製の8Kカムコーダー「8C-B60P」が設置され、屋外の撮影も可能。エンコード、デコードを経てライブ映像を8Kテレビ「LC-70X500」に表示するデモが体感できる。

奥はIP伝送エリアになっており、堺事業所に設置されたクラウドサーバーと接続し、8K映像を通常のネット回線経由でストリーミング伝送するデモ展示を行なう。「8K映像でネックとなるのが伝送。ケーブル本数を簡略化し、将来的には5G回線で高速・無線伝送できれば、利便性は飛躍的に改善する」という。

8Kカムコーダー「8C-B60A」
IP伝送システム。テーブル上がソシオネクスト製のエンコーダーで、テーブル下にあるのがデコーダー
開発中のクラウドAPIを使ったアップコンバート技術。ダウンコン4K→AI 8K化は、現在高性能PCを使用しても、1枚生成に要する時間は数分かかるという

編集エリアには、ブラックマジックデザインDavinci Resolveの編集設備と、プレビュー環境を用意。8K映像編集をすぐに触れて試せる環境にしたという。

編集用のPCディスプレイは、シャープ製のPN-K321。プレビュー用ディスプレイは、シャープ製の8T-C60AW1

同スタジオのエグゼクティブディレクターを務める吉田茂人氏は「顧客の要望は様々。8Kで何ができるのか知りたい・見たいという企業もあれば、具体的に課題・目的があり機材のレンタルを希望する企業もある。一般的なショールームと違い、機材レンタルや技術支援、導入まで、要望次第で踏み込んだコンサルティングやサービスが用意できる」とし、「スタジオの内覧会には業種の異なる14の企業が参加し、評判も上々だった。早速機材レンタルの話を頂戴し、来週は実証実験のため機材をすべて貸し出す事になっている。のべ200社/年を目標に、このスタジオが開発の起点になれば嬉しい」と話す。

またディレクターの吉田育弘氏は「数多くの要素技術や8Kに関する特許を持っていること、そして様々なパートナー企業と共に幅広い8Kソリューションが用意できることが我々の強み。8Kには大きな可能性があり、放送だけでなく、今後はゲーミング、医療、セキュリティ、インフラ保守に広がってゆく技術だ。このラボを通じて8Kソリューションの開発を加速させ、様々な企業とともに生活を向上させるための8Kを普及していく」と意気込みを語った。

サービス展開のイメージ
8K Labのクラウドサービス