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ソニー、イメージセンサーなど半導体事業は独立せず保有継続へ

ソニーは17日、株主やステークホルダーに向けた「CEOレター」を発信。その中で、イメージセンサーを中心とした半導体事業について、ソニーから独立させず今後も保有する方針を改めて示し、株主らに理解を求めている。

経営陣は、ソニーのアイデンティティを「テクノロジーに裏打ちされたクリエイティブエンタテインメントカンパニー」と定義。「イメージング&センシング技術は、ソニーのテクノロジーの象徴であり、ソニーの長期的な企業価値向上の観点からも最も重要な技術」と位置付けている。

7月30日に発表した第1四半期の決算発表からは、従来「半導体分野」としていたセグメントの名称を、「イメージング&センシング・ソリューション分野」に変更。「ソニーの半導体事業の売上に占めるイメージセンサーの割合が年々増加しており、当年度には約85%に達し、今後さらに高まる見通し」としている。

同事業への投資については「速いスピードでプロセスの微細化が進み、頻繁な製造設備の更新により商品競争力を保つ必要のあるロジックLSIやメモリーと異なり、イメージセンサーは同じ設備を使いながら性能改善や新しい機能による差異化が可能であり、相対的には、膨大なプロセス開発費や設備投資負担を定常的に必要とはしない事業」と説明。

引き続き、イメージセンサーへの投資は行なうものの「今後は、当事業の設備投資負担はより平準化していくと計画しており、中長期的にはこの投資はイメージセンサー事業が創出するキャッシュフローで賄うことが出来る」と予測。「機能・性能で差異化されたカスタム品中心の事業であり、過去数年間で大きく広げた顧客ベースと高い市場シェアにより、いわゆるシリコンサイクルと呼ばれる市況変動の影響を受けにくい事業構造」としている。

ソニー株主の米サードポイントからは、半導体事業の分離・上場に加え、ソニーが保有している上場株式の売却、バランスシートの柔軟性向上に向けた資本政策に関する提案もあったという。

ソニーは内外部の財務専門家と分析を実施した結果として「I&SS事業をソニーから独立させ上場企業として運営する場合には、上場にかかる時間に加え、特許ライセンス費用の負担増、人材採用面でのマイナス、上場企業としてのコストとマネジメントリソース、税務面での機会損失など、相当規模のディスシナジーが生じる」と試算している。