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Androidウォークマン再び、ストリーミングも高音質の「ZX500」。初のUSB-C

ソニーは、Android OS搭載のウォークマン「NW-ZX500シリーズ」を11月2日に発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は8万円前後。ストレージは64GBで、型番はNW-ZX507。カラーはブラックとシルバーの2色。

NW-ZX500

OSにAndroid 9.0を搭載し、ストレージ内の楽曲だけでなくSpotifyやYouTube Music、Apple Music、Google Play Musicなどのストリーミング音楽も聴けるウォークマン。AI技術搭載のDSEE HXにより、曲のタイプに応じて最適なアップスケーリングを行ない、ストリーミング楽曲も高音質で楽しめるという。接続端子を従来のWM-PORTからUSB Type-C端子に変更したのも特徴。ヘッドフォン出力は従来モデルNW-ZX300と同様にステレオミニと4.4mmバランスの2系統を備える。

シルバーモデル
ブラックモデル。OSはAndroid 9.0

Android搭載で音楽配信も高音質再生

ストリーミング音楽配信の利用者が増えていることなどを背景に、再びAndroid搭載のウォークマンを製品化。Google Playからアプリをダウンロードして、音楽配信サービスやラジオなども楽しめる。

シルバー(左)とブラック(右)

圧縮音源も自動的に“ハイレゾ級”高音質にアップスケーリングするというDSEE HXや、長年培ってきた高音質技術を搭載したデジタルアンプS-Master HXを搭載。CDやダウンロード購入した曲、ストリーミング楽曲などあらゆる音楽を1台でハイレゾ級高音質で楽しめるモデルとしてアピールしている。

DSEE HX搭載により、ハイレゾでない曲も、最大192kHz/32bit相当まで拡張。DSEE HXにAI技術を搭載し、ディープ・ニューラル・ネットワーク(DNN)により、再生中の曲のタイプをリアルタイムで解析。自動的に最適なアップスケーリングを行なうという。従来のDSEE HXが持つ、音の広がり感や奥行き感の補間効果に加え、曲のダイナミクスをきれいに再現できるようになり、音の“高さ感”の補間能力がアップしたという。DNNの構築には、大量の音源を用いた学習と、その評価が重要なため、音楽レーベルを擁するソニーグループの強みが活かされ、DSEE HXは「膨大な楽曲に出会えるストリーミング音楽で真価を発揮する」としている。

再生対応フォーマットはZX300から変更はなく、DSDは最大11.2MHz、WAV 384kHz/32bit(float/Integer)、FLACは384kHz/24bit。MQAやApple Losslessなどもサポートする。

なお、音楽専用機として高音質再生するために、通常のAndroid端末とは異なるボリュームの仕組みを採用。通常のAndroid端末は設定画面の「メディアの音量」で音量が決まるが、ZX500では、メディアの音量と、再生アプリの「Master Volume」の掛け合わせで音量を決定。Master Volumeは120段階の細かな音量調整ができる。

従来通り、パソコンでCDリッピングまたはダウンロードした楽曲はMusic Center for PCでウォークマンの本体またはmicroSDに転送可能。なお、Macとの接続は、そのままつなぐと機器認識しない仕様となっており、検証済みアプリのAndroid file transferを使って接続するよう案内される。

ZX500発売に合わせ、アイ・オー・データ製のCDレコーダー「CDレコ」がソニー公認製品となった。ウォークマンに接続してスマホの「CDレコアプリ」からの操作でCD楽曲を直接転送できるため、パソコンなしでもCD楽曲を取り込める。CDから転送した楽曲のジャケットや情報は、インターネット経由で自動取得。対応するCDレコの型番は、CDRI-LU24IXA、CDRI-W24AI2シリーズ。

端子はWM-PORTからUSB Type-Cに変更。アナログ電源強化などで高音質に

Signatureシリーズのプレーヤー「DMP-Z1」(95万円)で採用した高分子コンデンサー「FT CAP2」を4基搭載。設計者が試聴を繰り返して再チューニングを実施。内部構造の改良により、ボーカルや楽器の伸び、透明感の向上、締まりのある力強い低域などを実現したという。

また、銅切削ブロックの搭載によりデジタルグランドを強化。楽器が同時に音を出した時の音の安定感を向上するために、プレートではなく“銅のかたまり”を配置。電気回路の基準となるグランドが安定し、しっかりした低域を再生可能になるとしている。

ZX500に搭載した高音質パーツ

さらに、アナログ電源系統も強化。POS-CAPの容量を現行機NW-ZX300から2倍以上にアップ。これにより、アンバランス(シングルエンド)出力が47μFから2倍以上の100μFに向上した。体積は8.2倍。アンバランス時も低域の再生能力の向上とスケール感が拡大したという。ヘッドフォン出力(ハイゲイン出力時)は、バランスが200mW×2ch、アンバランスが50mW×2ch。

バランス/アンバランスのヘッドフォン端子部

DMP-Z1で新開発した高音質はんだも新たに使用。既存のNW-A100シリーズでは最も音質に影響があるバッテリーと接続部のみに使用したが、ZX500ではヘッドフォン出力、バッテリー、電気二重層キャパシターのはんだ付け部にこの高音質はんだを使用。設計者が試聴を繰り返しチューニングを行ない、「よりダイナミックでゴージャス感のある音質を実現する」という。

本体デザインも進化。ディスプレイはZX300の3.1型から、ZX500では3.6型に16%拡大し、1,280×720ドットに高解像度化した。なお、表面はZX300の非光沢から、Androidの基準に合わせて光沢タイプに変更されている。

なお、Androidスマホとの主な違いとして、SIMを搭載しないためネット接続はWi-Fiを使用。また、カメラやスピーカーも内蔵しない。

ディスプレイをZX300(左)より大型化

さらに、要望が多かったというUSB Type-C端子を採用。充電や楽曲転送などにWM-PORTケーブルを使う必要がなくなった。microSD/SDHC/SDXCカードスロットも装備。外形寸法は、約122.6×57.9×14.8mm(縦×横×厚さ)で、ZX300(約120.4×57.7×14.9mm/同)に比べてわずかに大きくなっている。重量は約164g(ZX300は約157g)。

USB Type-C端子を側面に装備
microSDカードスロット。新たにトレイ式になった

Bluetooth 5.0搭載で、プロファイルはA2DP/AVRCP/SPP/OPP/DIDに対応。送信コーデックはSBC、AAC、LDAC、aptX、aptX HDに対応。新たにWi-Fiも搭載。IEEE 802.11a/b/g/n/ac対応で2.4GHz/5GHzのデュアルバンド。加速度センサーやモノラルマイクも内蔵する。

連続再生時間は、FLAC 96kHz/24bitでバランスが約18時間、アンバランスが約17時間。BluetoothはSBCで約11時間(MP3 128kbps)、LDACで約8.5時間(FLAC 96kHz/24bit)。USB Type-Cケーブルなどが付属する。

背面。NFCも搭載する。底面にはストラップホール
付属のUSB Type-Cケーブル

2つのオリジナルアプリ。カセットテープ風の画面も

Android搭載にあたり、再生アプリの「W.ミュージック」に加え、新たに「音質設定アプリ」も開発。DSEE HXなどウォークマンの高音質化機能を各音楽配信アプリなどにも適用/調整できる。

再生アプリW.ミュージック画面

W.ミュージックは、音楽再生に特化したZX300など現行モデルの操作性を維持しながら快適に音楽を聴けるように開発された。

通常の再生画面に加え、初代ウォークマンをイメージしたカセットテープ風のスクリーンセーバーも用意。再生画面で一定時間無操作の状態で移行。再生中にテープのハブが回転するビジュアルに加え、曲名やアーティスト名も表示される。

このスクリーンセーバーは、再生している音楽ファイルの再生品質によって表示するカセットテープが変化。CDクオリティ未満の場合は、フォーマットや音質に合わせてノーマルポジションのCHF(MP3/AAC/WMA 128kbps以下)や、BHF(同160kbps以下)、AHF(同256kbps以下)、ハイポジのJHF(MP3/AAC/WMA 320kbps以下)を表示。

CDクオリティの場合は、ハイポジのUCX(FLAC/ALAC/APE/MQA)、UCX-S(AIFF)、ふぇりクロームのDUAD(PCM)、ハイレゾの場合は初代メタルテープのMETAL(FLAC/MQA/ALAC/PCM/AIFF/APE)、最高級メタルテープMETAL Master(DSD)を表示する。

カセットテープ風のスクリーンセーバー画面例
再生アプリW.ミュージック画面