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世界初本格8Kイメージビデオ、キュー・テックが次世代映像機器向けに

キュー・テックは、8Kなど次世代映像機器の開発に利用できる評価用コンテンツ「アンティークの館へようこそ(QT-8260D)」を製作。デモンストレーションを兼ねた発表会を都内で開催した。会場では、ソニーの8Kディスプレイ「Z9G」(参考出品)ほか、アストロデザインやキヤノン、EIZO、池上通信機などの業務用ディスプレイを使ったコンテンツの上映も行なわれた。

評価用8K/HDRコンテンツ「アンティークの館へようこそ(QT-8260D)」

ポストプロダクションのキュー・テックでは、8Kコンテンツ「ぶらっと江ノ電の旅」や8K/120pのフルCGコンテンツ「ころころ」などの主観評価用標準動画像シリーズを展開。解像度や広色域空間再現、暗部階調表現、ハイライト階調表現、スキントーンディテール、視野角、動画解像度、圧縮画質といった様々な映像評価に用いることができ、テレビやディスプレイメーカー、デバイスメーカーなどは製品開発時の画質評価や改善のための指標として利用できる。「アンティークの館へようこそ」は同シリーズにおける新作コンテンツとなる。

「アンティークの館へようこそ」は、中性ヨーロッパのアンティーク家具を収集した館を舞台に、アンティーク家具や中世をイメージしたドレス姿の女性を、8K/60pの非圧縮ファイルで撮影した映像作品。「ハイダイナミックレンジと広色域フォーマットの特徴を余すところなく記録した、世界初の本格的8Kイメージビデオ」(キュー・テック小池氏)としている。

本編時間は約5分。8K/60pのDPXファイルでの販売となり、ガンマと色域の異なる3種類(PQ/BT.2020、HLG/BT.2020、SDR/BT.709)を用意する。あくまでテレビやプレーヤーといった8K対応機器の開発・評価での利用を想定した映像コンテンツとなり、一般販売はしないという。

「アンティークの館へようこそ(QT-8260D)」

発表会では、今回発表された「アンティークの館へようこそ」のほか、'17年製作の8Kコンテンツ「ぶらっと江ノ電の旅(QT-825D)」や「ころころ(QT-8101)」、RAWデータから8K生成した’15年製作の「8K京都ダイジェスト(QT-8210D)」の4作品を上映。

表示モニターには、ソニーの85型8K液晶ディスプレイ「85Z9G(参考展示)」と、アストロデザインの55型8K液晶ディスプレイ「DM-3815-A」を用意し、計測技術研究所の非圧縮レコーダー「UDR-XL40」から非圧縮のマスターファイル再生や、Blackmagicdesignの圧縮レコーダー「HyperDeck Extreme 8K HDR」でのProRes再生を行なった。

アストロデザイン「DM-3815-A」(写真左)とソニー「85Z9G(参考展示)」(右)に、非圧縮のマスターファイルを表示
北米や中国で発売中のソニー8Kディスプレイ「85Z9G」も参考展示されていた

会場後方では、アストロデザイン、キヤノン、池上通信機、POSTIUM、ソニー、SWIT、TVLOGICの計8社14機種の業務用4K/HDRディスプレイを陳列。アストロデザインのワークステーション「AW-8800」やBlackmagicdesignの12Gルーター、CANAREの12G-SDIケーブルなどを用いて、キュー・テックの評価用4Kコンテンツ「QT-4000シリーズ」(非圧縮ファイル)を分配し、全機種に表示。

デバイスの違いや、輝度感や色合い、視野角、動画性能、暗部の見え方など、各ディスプレイの表示性能の差が来場者に分かるようになっていた。

写真奥からPOSTIUM「OBM-X310」、TVLOGIC「LUM-310X」、池上「HQLM-3125X」、EIZO「CG3145-BS」。いずれの製品も、2重液晶セルを用いた31型4Kディスプレイ
写真左からソニーの「BVM-HX310」、4K有機ELマスターモニター「BVM-X300」、キヤノン「DP-V3120」

発表会に先立ち、キュー・テックの古迫智典社長が登壇。

「我々キュー・テックは、パイオニアの子会社“レーザーディスク株式会社”の編集部門が独立・誕生した企業。今年'19年は、その設立から30年の節目を迎える。我々は早くから4K、そして8Kの評価用映像の制作に着手して業界におけるサポートを目指すと共に、8K撮影やグレーディングといったノウハウを蓄積してきた。新しい評価用映像は、8K/HDRイメージビデオとして制作した意欲作。8K関連機器の開発を促進する1コンテンツとして広く利用されることを望むと共に、今回の上映会が映像制作における情報共有の場になればと嬉しい」と語った。

発表会では、マルチメディア評論家の麻倉怜士氏によるセミナーも開催。評価用映像の「QT-8000」「QT-4000」シリーズの見所やチェックポイントなどを解説した。

キュー・テックの古迫智典社長
マルチメディア評論家の麻倉怜士氏
8Kディスプレイを使い、イメージビデオの見所を解説した