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レーザー搭載スマートグラス進化、骨伝導の完全ワイヤレスなど「ウェアラブルEXPO」

「第6回ウェアラブル EXPO」が2月12日に東京ビッグサイトで開幕した。スマートグラスやスマートウォッチなどのウェアラブル機器や、それらに採用される新たなデバイス、素材などが出展されている。開催時間は10時~18時(最終日のみ17時まで)で、期間は2月14日まで。業界関係者向けの展示となっており、一般の入場はできない。

東京ビッグサイトで開幕したウェアラブル EXPO

レーザー網膜走査型など、スマートグラスの画質や装着性がさらに進化

QDレーザは、3月より出荷予定の網膜走査型「RETISSA Display II」を展示。眼鏡店などで一般向けに販売され、価格はオープンプライスだが、店頭予想価格は25万円前後。

QDレーザ「RETISSA Display II」

微弱なRGBレーザー光と高速振動デバイス(MEMSミラー)により、網膜上を走査して映像を投影する「VISIRIUM(ビジリウム) テクノロジ」を搭載した単眼用ディスプレイの第2世代モデル。'18年発売モデル(598,000円)を改良し、低価格化した。

網膜上に直接投射するため、ピント合わせの必要が無く、近視や遠視、乱視、老眼などの人もメガネなどの矯正が不要で使える。単眼用で左右どちらへの装着も可能だが、反対の目で風景を見た時にも人間がピント調整する必要がないことから、疲れにくい点も特徴だという。

第2世代モデルでは、ソフトウェアとハードウェアの改良により、網膜上でのビーム品質をチューニングして解像感を向上。有効表示画素数は720p相当だが、前世代と比べて約半分の文字サイズまで判読できるようになったという。色再現性は256階調。

メガネ部分のプロジェクタ本体は重量が約40g、3,880mAhのバッテリーも搭載したコントローラBOXは約260g。HDMI入力を備え、スマホなど様々なデバイスの映像を入力できる。駆動時間は約200分(外部給電時約136分)。

ディスプレイ部

【訂正】初出時、メガネ部とコントローラBOXの重量が誤っていたため修正しました(2月14日更新)

レーザー走査型ディスプレイの小型化に取り組んでいる福井大学は、超小型のフルカラーレーザーモジュールのパッケージを展示。RGBの三原色合成波器と半導体レーザーを集積化した光源モジュールをパッケージ化したもので、第1次モデルに比べて小型化した第2次モデルを披露した。

福井大学の超小型レーザーモジュールを搭載したスマートグラスのデザインイメージ

超小型の光学エンジンとして、12×4.5×3.6mmというサイズのプロトタイプも開発。これらを活用して、“装着していることさえ気にならない”新しい構成のメガネ型レーザーディスプレイの実現を目指すという。メガネフレームやレンズ、MEMS、半導体など、地元福井県を含む企業と連携して開発を進めている。

レーザーモジュール部のプロトタイプ
メガネ型以外にも、スマホに搭載する超小型プロジェクターや、カーナビへの応用など、様々な用途を提案

カラーリンク・ジャパンは、5G時代の動画ストリーミング普及に向けて開発したという薄さ12mmのディスプレイモジュールを展示。従来のヘッドセットに比べて小さく軽量なメガネ型で映像を楽しめるという。

カラーリンク・ジャパンによる薄型の有機ELディスプレイモジュール

デバイスは有機ELで、0.5型/解像度1,600×1,200ドット。レンズはオールプラスチックの採用で小型軽量化した。視野角56度で、2m先に80型スクリーン相当で表示できる。

現行モデルのディスプレイモジュール
メガネ型など、軽量なVRヘッドセットを実現可能としている

山本光学は、昨年も展示していたスマートグラス「Versatile」を展示。改良を加えたモデルや、使用シーンごとに新たに開発したアプリケーションを搭載した例を紹介している。

山本光学のVersatile

片眼の前にシースルーで情報を映し出す光学ユニットを、軽量フレーム「VT-850」または、保護メガネ「VT-770」に差し込んで使う、デタッチャブル式のスマートグラス。どちらもメガネの上に掛けられる。光学ユニット「VT-001」は、ソニーセミコンダクタソリューションズのホログラム導光板ディスプレイを採用。

今回の展示では、遠隔作業をサポートするための新たなデバイスとして、カメラやバッテリー部分を肩掛けできるユニットを展示。試作機を装着して体験できる。

カメラで撮影した映像を遠隔地の担当者へ送信しながら、ハンズフリーで作業の指示を受けられるもので、ヘルメットにカメラを装着する形などに比べてブレを抑えて安定した撮影ができるという。

肩掛けタイプのカメラ搭載ユニットを開発(写真はデザインイメージ)
装着者が見た映像を、遠隔地に送信して共有しながら作業できる

VUZIXは、作業支援向けのスマートグラス「Mシリーズ」などを展示。有機ELの「M400」(199,000円)や、液晶の「M300」(90,000円)、「M300XL」(150,000円)など販売中のモデルを紹介している。

VUZIXのスマートグラスMシリーズ

BoCoの骨伝導完全ワイヤレスが4月に一般販売

骨伝導イヤフォンを手掛けるBoCoが開発した世界初の完全ワイヤレスモデル「earsopen PEACE」(TW-1)が登場。クラウドファンディングのGREEN FUNDINGで1.6億円以上を集めた製品が、ついに4月より一般販売予定。価格は21,800円。

BoCoの完全ワイヤレス骨伝導イヤフォン「earsopen PEACE」

骨伝導のため耳を塞がずに音楽と周りの音が聞こえる「ながら聞き」が可能。Bluetooth 5.0対応で、連続使用時間は約5時間。重量は片側9.5g。充電用のクレードルも付属する。IPX7防水仕様。

同じく骨伝導の完全ワイヤレスで、耳の聞こえに不安がある人向けの音楽・会話用モデル「TWHA-1」も発売予定。外観は上記の音楽向けTW-1と同等だが、マイクで周りの音を集めるため、テレビや会話などを聞こえやすくできるのが特徴。左右独立の音量ボタンを備え、聞こえにくい耳だけボリュームアップすることもできる。

装着例
イヤフォン本体と充電ケース

フィットビットは、'19年9月より発売中のスマートウォッチ「Fitbit Versa 2」などの最新モデルを展示している。フィットビット初となるAmazon Alexa対応も特徴で、ロボット掃除機やサーキュレーターなどの家電を、声で操作できるというデモを行なっていた。

Fitbit Versa 2
家電を声で操作