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ソニーセミコン×山本光学のスマートグラスなど最新デバイス登場。ウェアラブルEXPO
2019年1月16日 21:50
スマートグラスなど、最新のウェアラブルデバイスが一堂に会する「第5回 ウェアラブルEXPO」が、1月16日に東京ビッグサイトで開幕した。会期は1月18日まで。商談向けの展示会となっており、招待券が無い場合の入場料は5,000円。
ソニーセミコン×山本光学の新スマートグラス「Versatile」
山本光学は、既報のメガネフレームと光学ユニットを着脱可能なスマートグラス「Versatile(バーサタイル)」を出展。工場などの現場作業や、エンターテインメント施設などでの利用を想定し、6月発売予定。
片眼の前にシースルーで情報を映し出す光学ユニット「VT-001」を、軽量フレームの「VT-850」や、保護メガネ「VT-770」に差し込んで使う、デタッチャブル式のスマートグラス。
VT-001には、ソニーセミコンダクタソリューションズのホログラム導光板ディスプレイモジュール「SED-100A」を採用しており、光学エンジンとシースルーのホログラム導光板を一体化。レンズは薄さ1mmで、最大輝度は2,000nit、シースルー透過率は85%。
装着者の通常の視界を確保し、ハンズフリーで作業しながらでも光学ユニットに映し出された作業指示などの情報が見られる。保護メガネやゴーグルを手がける山本光学独自の、長時間着用しても負担にならない重さやバランスを考慮した装着感の高さも特徴とする。
光学ユニットとフレーム/保護メガネを着脱可能としたことで、多人数で光学ユニットを使い回したり、光学ユニットやフレームが壊れても一体型と違ってパーツ単位で取り替えでき、保守性を高めた。
具体的な活用方法として、倉庫など保護メガネが必要な現場や、博物館のガイダンスや映画での字幕表示などを想定。ブースでは、Versatileと連携するシステムとして、シェアードシステムが提供する現場作業向けアプリケーション「HaiSurf 3」や、ソニービジネスソリューションのスマホ向け顔認証・インカムアプリを用いた警備・接客システム、エヴィクサーの劇場向け音響通信ソリューション「Another Track」などが紹介されていた。
血圧を測れるオムロン製スマートウォッチ「HeartGuide」
M-aidとオムロン ヘルスケアの共同出展ブースでは、オムロン ヘルスケアが血圧を測れるスマートウォッチ「HeartGuide」を参考出展していた。米国でFDA(アメリカ食品医薬品局)の認可を受け、’18年末に発売しており、価格は499ドル。国内では’19年内か来年の年初にかけて発売を予定しているという。
オシロメトリック法による血圧測定が行なえ、ベルトの下に一般的な血圧計と同様の腕帯を備える。また、時計機能のほか、歩数(活動量)や睡眠チェックなどの機能を備えており、スマートフォンと連携して測定データを管理できる。
スマートフォンの着信やメールなどの通知表示も可能。ただしHeartGuideからメッセージの内容を見たり返信はできないという。外形寸法は48×14mm(直径×厚み)、重量は約115g。
BoCoのネックバンド型ワイヤレスイヤフォン「FIT BT-1」
BoCoは、骨伝導イヤフォン「earsopen」シリーズの新製品として、エクササイズ時の音楽リスニング向けワイヤレスイヤフォン「FIT BT-1」を展示。実際に音を聴くこともできた。4月中旬の発売を目指しており、想定売価は17,880円前後。
ランニングやエクササイズなど、スポーツ時でもズレないようフィット感を高めたネックバンド型Bluetoothイヤフォンで、IP55相当の防水防塵性能を備え、雨や汗にも耐える仕様。
耳を塞がずに音楽を聴ける骨伝導イヤフォンの技術を応用し、10mm径の骨伝導デバイスと最新のイコライジング技術を採用、「高域から低音まで音域が拡がり、臨場感ある音を実現する」という。操作ボタンも備える。
内蔵バッテリーで連続約6時間動作し、充電時間は約1.5時間。重量は約34g。
狭額縁の小型有機ELディスプレイに注目
東北パイオニアは、小型・パッシブタイプの有機ELディスプレイを多数出展。「透明」「超薄型」「狭額縁・異形形状」「高輝度」の4つのテーマで、様々な製品活用を提案。パネル外形いっぱいまでRGBフルカラー表示できる、外周四辺が各0.68mmの狭額縁有機ELディスプレイ「4辺超狭額縁OLED」を出展していた。
4辺超狭額縁OLEDは、高精度部材の採用とパネル製造技術の高度化、ワイヤボンディング技術の組み合わせにより、従来のパネル上にあったシール領域と配線領域を狭小化。パネル全体を表示用に使え、フルカラー映像のフチが目立たず、「従来のPM-OLEDの常識を大きく超え洗練した印象を与える」とアピール。複数個をタイル上に並べたり、表示面に高低差を持たせるなど、自由なレイアウトができるのも特徴とする。
また、小型のディスプレイを搭載した製品の多様化で、コーナーカットや円形といった特殊形状ディスプレイのニーズが高まっていることから、新たに「異形形状OLED」を用意。
矩形形状以外にも対応したガラスカット設備と、長年培ってきたカスタムディスプレイモジュールの設計技術を組み合わせることで、ドーナツ型や多角形など、企業の要望に応じた形状の透過型有機ELディスプレイを作れることをアピールしていた。
マルチカラー表示できる透過型有機ELディスプレイの展示では、車の走行イメージに透明ディスプレイを重ねて、速度表示などを行なうデモを実施。背景の視認性を損なわずに様々な情報を背景に重ねて表示でき、透過型液晶ディスプレイでは難しかったマルチカラー(多色)表示が可能。鮮やかな自発光表示や非表示時の透明性の高さも特徴とする。
フォントワークスの極小画面デバイス向け新フォント
フォントワークスは、ウェアラブル機器など極小画面デバイス向けの新しいフォント「Type-D UD角ゴ_スモール-M」の提供を開始。ブースではウェアラブルデバイスを模した画面に新フォントと、小型デバイスでの表示を想定していないフリーフォントを比較表示するデモを行なっていた。
新フォント「Type-D UD角ゴ_スモール-M」は、UD角ゴシック体をベースに開発。濁点や半濁点、英数字のアキや字面を大きく設計するなど、極小画面向けに最適化している。OpenTypeとTrueTypeの2フォーマットを用意しており、ウエイトはMのみ。既存の組込機器向けフォント「Fontworks Embed Types」に提供する。
画面が小さなデバイスでは、濃度(ウエイトの違いによる全体的な黒み)や、各文字の大きさなど物理的な特徴が、フォントの可読性や視認性に大きな影響を与える。フォントワークスは九州大学との共同研究で実験を行なった結果、新フォントの高い可読性が実証され、「スマートウォッチなどの極小デバイスへの表示用フォントに最適」と説明している。
“通常のメガネと変わらない”スマートグラス実現へ
メガネ生産地・福井県の企業であるケイ・エス・ティ・ワールドと福井大学の共同出展ブースでは、“通常のメガネと変わらない”スマートグラスの実現に向けて開発した、網膜走査型ディスプレイの光学基幹部品(「超小型光学エンジン」)のデモを行なっていた。
超小型光学エンジンは、3原色のレーザー発光が可能なパーツ。RGBそれぞれのレーザーを、合波器で1本にまとめて網膜上に映像を形成するのが基本的な仕組みで、光源モジュール(光源と合波器)と光走査ミラーをワンチップ化し、従来品との体積比を1/100以下とすることに成功した。
構想しているスマートグラスは、一般的なメガネフレームのツルの部分に超小型光学エンジンを埋め込み、光ビームをメガネのレンズに相当する場所に配置したホログラフィック反射板に向けて発射。その光情報を反射させて目の瞳孔へ入射し、網膜内に映像を投影するというもの。早ければ年内にも、超小型光学エンジンを用いたテストを行ないたいとしている。