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「NHK技研公開2021」はオンライン。未来の没入型VRなど

(C)NHK

NHK放送技術研究所は、放送にまつわる最新の研究成果を一般公開する「技研公開2021」を、6月1日から30日までの1カ月間、オンライン開催する。世田谷区・砧にあるNHK放送技術研究所内での展示やイベントは行なわない。

同イベントは例年開催され、NHK放送研究所の研究活動と成果を視聴者に公開してきたが、2020年は開催されなかった。

'21年のテーマは「究める技術、高まる体感」で、よりリアルで没入型あふれるコンテンツ体験を実現する「イマーシブメディア」や、あらゆる人々に多様なデバイスを活用してコンテンツを届ける「ユニバーサルサービス」、未来のための基礎研究「フロンティアサイエンス」に関する17項目の研究開発成果などを、ホームページ上でわかりやすく紹介する。

ホームページ上では見どころのひとつとして、離れた場所にいる人と、あたかも同じ空間で同じコンテンツを視聴できるように感じられる「空間共有コンテンツ視聴システム」が挙げられており、VRとAR技術を活用した新しい視聴スタイルとして、カメラ付きのヘッドマウントディスプレーを使って、文化財をテーマにしたコンテンツを、離れた場所にいるふたりが一緒に楽しんでいる様子が紹介されるという。

そのほか、未来の没入型VRディスプレイとして、見ている人物の前方約180度の視界を囲むフレキシブルディスプレイと、映像、音にあわせて振動する椅子を組み合わせたVRディスプレイも紹介予定。会期中はオランダ・アムステルダムを走るトラムの運転席に座っているような体感を楽しむ様子がチェックできるという。

視覚・聴覚障害者などあらゆる人々に多様な情報提示デバイスを活用してコンテンツをわかりやすく届けるメディア・アクセシビリティー技術研究では、番組のシーンに合わせて振動する触覚デバイスや、47都道府県に対応した気象情報手話CG自動生成システムなどが紹介される。

そのほか、同研究所の三谷公二所長による基調講演や技研職員による研究発表「ラボトーク」、慶應義塾大学の脇田玲環境情報学部長による特別プログラムなども公開予定。

紹介する項目

イマーシブメディア

・空間共有コンテンツ視聴システム
・AR技術を活用した新たなコンテンツ
・シーン記述による360度映像と3次元映像の合成技術
・高精細な光線再生型3次元映像システム
・未来の没入型VRディスプレー
・地上放送高度化技術
・放送通信融合技術による新たな地上放送サービス

ユニバーサルサービス

・多様な視聴環境に対応するWebベースのメディア技術
・音声合成技術
・手話CG制作技術
・触覚情報提示技術
・共にテレビを視聴するコミュニケーションロボット

フロンティアサイエンス

・コンピュテーショナルフォトグラフィー
・色純度の高い量子ドット発光素子
・3次元映像の奥行き表現技術
・発話者情報を付与できる書き起こしシステム
・ニュースを対象とした日英機械翻訳システム

関連展示

・制作現場での放送技術
・NHK技術の活用と実用化開発

講演、研究発表など

・基調講演:2件
「Future Vision 2030-2040」
NHK 放送技術研究所長 三谷 公二

「Future media technologies that will change our world !」
Head of Standards and Industry, BBC R&D/ Chair of the Technical Committee, EBU
Judy Parnall 氏

ラボトーク:3件
技研職員が、最新の研究内容をわかりやすく紹介。

特別プログラム:2件
「体感と知覚 ~可視化・可聴化によるエクスペリエンスの可能性~」
慶応義塾大学環境情報学部長 脇田 玲 氏

「公共メディアNHKにおける研究について」
NHK 放送文化研究所長 大里 智之
放送技術研究所長 三谷 公二