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番組音声をオブジェクトベースかつライブで。NHKが世界初・OBA音声卓

OBAのライブ制作に対応した音声卓

NHK放送技術研究所は、次世代の音声サービス技術としてオブジェクトベースの音響方式(OBA)を研究。新たに、OBAのライブ制作に対応した音声卓を世界で初めて開発した。

OBAでは、番組音声を構成する音声素材と、ナレーションや音楽などの音声素材の組合せや再生位置、音量などの付属情報であるメタデータを放送。受信機で番組音声を再構成(レンダリング)することで、視聴者の好みや視聴環境に合わせて番組音声をカスタマイズできる。

従来のOBA制作機器では、メタデータをファイル形式で出力するだけだったが、今回開発した音声卓では、メタデータをストリーム形式で出力。ライブ制作に対応できるようになった。

さらに、受信機で再構成される音声をリアルタイムにモニターできるレンダリング機能と、既存のデジタル音声回線でメタデータを伝送できる機能も開発。これらの機能により、従来の番組制作における品質管理や設備、ワークフローに大きな影響を与えずに、OBAの番組を制作できるという。

音声卓のスペックは、入力音声信号チャンネル数が最大192、入力音響メタデータはADM。伝送用音声信号出力は最大64チャンネル(音響メタデータ込み)。モニター用音声信号出力は最大24チャンネル(22.2マルチチャンネル音響対応)。音響メタデータ信号出力はS-ADM。

開発した音声卓に用いたメタデータのストリーム形式や伝送方式は、技研の提案を基に国際標準化されたという。技研では今後も、OBAを用いた次世代の音声サービスの実現に向けて研究を進めるという。