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シャープ、CEATEC出展品を公開。次世代AQUOSは「鋭意開発中」

開発中のミニLED次世代ディスプレイ

シャープは14日、オンラインで開催される技術展示会「CEATEC 2021 ONLINE」(10月19~22日)に先駆け、出展品が体感できるプレス向け内覧会を実施した。会場では、現在開発中のミニLED次世代ディスプレイや、触れずに操作できる静電ホバータッチディスプレイ、窓口業務用マイク搭載スピーカーシステム、耳あな型補聴器「メディカルリスニングプラグ」など、同社の最新技術や各種ソリューションが数多く展示されていた。

既報の通り、同社は「NewNormalを加速する、シャープのソリューション」をテーマに、「ニューノーマルソリューションズ」「ニューノーマル社会を支える要素技術・デバイス」「ニューノーマル時代のデジタルまちづくり」の3カテゴリーにおける取り組みを紹介することになっている。CEATEC 2021 ONLINEの開催時間は、2021年10月19日~22日で、毎日午前10時~午後5時まで。会場内には24時間入場可能。入場には登録が必要。

AV関連では、ミニLEDバックライトを搭載した「ミニLED次世代ディスプレイ」の展示が最大の目玉。

ミニLEDで"液晶モンスターAQUOS”誕生!? シャープ次世代ディスプレイを見た

同ディスプレイは、従来の液晶テレビよりも、輝度やコントラストを飛躍的に向上させる新しいディスプレイ技術を採用。従来機比約1/10サイズのミニLED素子を8,000個以上、液晶直下に敷き詰め、1,000以上のエリアに分割して明るさを高精度にコントロールすることで、液晶テレビのさらなる高画質化を目指す。

会場には、ミニLED次世代ディスプレイの65型試作機と、「4T-C65CH1」(2020年モデル)を横並びで展示。C65CH1が数年前の古いテレビと勘違いしてしまいそうになるほど、次世代ディスプレイはこれまでの液晶テレビでは比較にならない、深く鮮烈なコントラストと明るさが表現されていた。

65型試作機(左)と、4T-C65CH1

フレーム部に印字されたアクオス(AQUOS)ロゴなど、展示されている次世代ディスプレイはすでに完成品に近い印象を受けたが「発売日などの詳細はまだお話しできないが、なるべくはやくお届けできるように鋭意開発を進めている。もう少し、待っていただければ」(説明員)とのこと。なお価格については「購入可能な、現実的なラインを目指している」という。

フレーム部に印字された「AQUOS」ロゴ。外観はすでに完成品に近い印象

「メディカルリスニングプラグ」(MH-L1-B)は、軽度・中等度の難聴者向けに開発した完全ワイヤレスイヤフォンスタイルの耳あな型補聴器。9月中旬より同社オンラインショップや一部量販店で販売中。価格は99,800円(非課税)。

補聴器としての性能・品質・安全性を備えながら、リーズナブルな価格を実現。また従来の補聴器にありがちな外観ではなく、「アクティブシニアも装着に抵抗がないをデザイン性を目指した」(説明員)という。スマートフォンと連携し、プロがリモートかつワンストップでサポート。聞こえ具合の微調整など、フィッティング等のアフターサービスをオンラインで完結できるのも強みとしている。

メディカルリスニングプラグ
PC画面に表示されているのが、認定補聴器技能者や言語聴覚士の資格を持つフィッター(調整者)や専門フィッティングスタッフが操作するイコライジング画面。ユーザは、スマホアプリで音量調整、簡易的な高音低音調整が行なえる

先日発表されたばかりの「静電ホバータッチディスプレイ」も展示。ディスプレイ表面から5cm程度離れた距離からでも人間の指を感知し、ディスプレイに触れることなく操作できる。

「ディスプレイ周囲に検知用のカメラを仕込んだ赤外線方式よりも、静電方式はスマートでシンプルな外観が可能。また静電の感度を高めることで、1~2cm程度が限界だった非接触検知を約5cmまで拡大させた」とのこと。飲食店のセルフオーダー端末や、公共・商業施設の受付・案内サイネージなど、非接触ニーズの高いシーンでの展開を見込む。

静電ホバータッチディスプレイ
約5cm離れた距離からでも操作可能。ディスプレイに触れた場合でも操作できる

昨年のCEATECでも披露された、透過率約60%を誇る「透明ディスプレイパーティション」は、今年商品化が決定。広島にあるサイネージ関連企業・タテイシ広美社とSDTC(シャープディスプレイテクノロジー)と共同で、2022年4月1日から順次グローバル販売を開始する。商品名は「SURŪ(スルー)」。価格はオープンプライス。

'22年4月から発売予定の「SURŪ」。木目と曲線を活かしたフレームデザインに、透明ディスプレイを組み込んだ

マスク着用、またパーティション越しでも相手の声がよりクリアに聞こえる窓口業務用「マイク搭載スピーカーシステム」も参考出展。発話者の声のみを拾い、周囲の雑音をキャンセルする音声処理を施すことで、聞き取りやすさを実現しているという。

マイク搭載スピーカーシステム。衛生面を考慮したデザインを採用。市販のアルコール除菌シートでも拭き取りやすいという

会場では、静電ホバータッチディスプレイ、透明ディスプレイパーティション、そしてマイク搭載スピーカーシステムを組み合わせた、独自の「タッチレス・コンタクトレスソリューション」も設置されていた。

静電ホバータッチ、透明ディスプレイ、マイク搭載スピーカーを組み合わせた「タッチレス・コンタクトレスソリューション」。「組み合わせはあくまで一例。市場の要望などを鑑みながら、シャープ独自のソリューションを提案したい」とのこと

このほかにも、業界最大級の業務用120型8Kディスプレイ「8M-B120C」や32型8Kカラーマネージメントディスプレイ「8M-B32C1」の展示ほか、8Kの高精細映像から各種メンテナンスやインフラ検査・補修などに役立つ情報を画像処理で検出するBtoB向け8Kソリューションが提案されていた。

業界最大級の業務用120型8Kディスプレイ「8M-B120C」。想定売価は1,450万円(税抜)
32型8Kディスプレイ「8M-B32C1」と、Dynabook「8K映像編集PCシステム」との組み合わせ例
8M-B32C1の高精細表示を活かした、細胞研究・病理分野での活用も見込む
細胞を広範かつ詳細に観察できるのもメリットという
8Kカメラを搭載したドローンを利用し、上空からの撮影・検査を可能とした「ドローン検査ソリューション」。「8K映像を画像処理・解析することで、検査の効率化やこれまで検出できなかった部分の検出が可能」という
シャープ製の8Kカメラを搭載したドローン