ニュース

シャープ、1,450万円の120型8Kディスプレイ披露。31.5型は来春118万円

'21年春の発売を目指す、31.5型8K IGZO液晶ディスプレイ

シャープは2日、コア事業の1つとして推進する8K+5Gエコシステムの展示会を開催。今年秋に発売開始した120型8K液晶ディスプレイ「8M-B120C」や、2021年春の発売を目指す31.5型8K IGZO液晶ディスプレイなど、様々な8K関連機器を披露した。

同社が掲げる“8K+5Gエコシステム”は、シャープの8K技術や、8K映像が持つ高解像・高精細をデータとして利用することで、様々なインフラやシステムを進化させ、産業の発展を促すことを目的とした事業。他の企業とも積極的に協力をはかり、放送・映像分野のほか、医療やセキュリティ、検査システム、インフラ保守など、様々な領域で8K技術を活用。新産業の創出や、大きなイノベーションの実現を目指している。

今回の展示会は、「CEATEC 2020 ONLINE」にも出展した8K関連機器や、今後投入を予定する製品、ソリューションを、メディア・業界関係者向けに公開したものとなる。

1,450万円の120型8K液晶ディスプレイ。1号機購入は一般人

「8M-B120C」は、9月に発売した業務用8Kディスプレイ。想定価格は1,450万円。

業務用8Kディスプレイ「8M-B120C」

横幅約2.71m、高さ約1.56mという“業界最大クラス”の120型サイズが特徴で、堺工場で製造したUV2A技術搭載の最新液晶パネルを採用。

解像度は7,680×4,320ドット。直下型LEDバックライトを採用し、輝度は600cd/m2(200V電源時)。2,048分割のローカルディミングにより、明暗の高い表現力を備え、高コントラストな映像描写を実現した。コントラスト比は3,500対1(標準時)で、対応フレームレートは60Hz。

HDR10、HLGのHDR規格もサポート。インターフェイスは4系統のHDMI 2.0ほか、HDMI 2.1も1系統装備し、HDMIケーブル1本で8K/60pや4K/120p映像の入力に対応する。フロアスタンド込みの重量は約206kg。

2,048分割のローカルディミングで高コントラストを実現する
フロアスタンド

「主に、8Kコンテンツのパブリックビューイングや、商業施設でのデジタルサイネージ、車やバイクのデザインレビューといった利用を想定している。8Kの精細感と広いダイナミックレンジ、10億色の広い色再現など画質もすこぶる好評で、現在様々な場で商談を進めている」と説明員。

既に数台が出荷済みというが、購入第1号は「一般の方だった」とのこと。「弊社の8Kチューナーと合わせ、主に8K放送を視聴する“テレビ”としてご利用いただいている」という。

なお、上記想定価格に輸送・設置費は含まれない。「ケースバイケースだが、それなりに輸送費はかかる。事前に相談いただきたい」とのことだった。

8K/60p信号をケーブル1本で伝送できるHDMI 2.1に対応。HDCP 2.2もサポートしており、8Kチューナーと接続し、放送やBDなどのコンテンツを表示することもできる

IGZOの31.5型8Kディスプレイ。21年春投入で約118万円

2021年春の投入を目指し開発を進めている、31.5型の業務用8Kディスプレイも披露された。想定価格は約118万円。

スマートフォンなどにも使われる独自のIGZO液晶パネルを採用したのが特徴。パネル解像度は7,680×4,320ドット。バックライトは直下型LEDで、表面処理はグレア。BT.2020色域85%カバーの色再現性能を備える。展示していたプロトタイプの輝度は、600cd/m2で、フレームレートは最大60Hz。「製品時には800~1,000cd/m2の輝度が出せるようにする」という。

31.5型の業務用8Kディスプレイ

主なユーザーは「8K動画の制作や編集、確認などに携わるプロのクリエイター」を想定。8K映像を限られたスペースで、なるべく手軽に確認できる簡易モニター的な位置付けをターゲットとしており、「測定器のようなマスターモニターの市場を狙うものではない」とのこと。

インターフェイスは4系統のHDMI 2.0ほか、HDMI 2.1やDisplayPortを搭載予定。BNCなどの同軸入力は備えない。

機能としては、経年使用による色ズレを補正するハードウェアキャリブレーションや、色むら・輝度ムラを軽減するユニフォーミティ補正を搭載。ほかにも、映像内の輝度潰れをアラートする輝度警告や、規定色域を超えるエリアをアラートする色域外警告、画面中心のセンターマーカーやアスペクトなどのガイドを表示するマーカー表示などを備える。

搭載予定の機能。ハードウェアキャリブレーションでは、x-rite社製センサ(i1 Pro)をサポート。キャリブレツールは自社製のものを用意するという

説明員は「8K31.5型ディスプレイは画素密度が高く、超高精細な映像が特徴。色再現に優れ、IPS方式のため視野角性能も高い。放送・映像分野での活用はもちろん、医療や研究、検査、観察など様々な用途に展開していきたい」と話す。

スマホで8K撮影→アクオス8K再生の「コンテンツダウンローダー」

スマートフォンで撮影した8K動画を、アクオス8Kで手軽に再生するソリューションが、今年9月30日から提供を開始したアクオス向けアプリ「コンテンツダウンローダー」。

アクオス向けアプリ「コンテンツダウンローダー」

「AQUOS R5G」などで撮影した8K動画を「Googleドライブ」にアップロード。アプリをインストールしたアクオス8Kに外部ストレージ(USBメモリなど)を接続しておくことで、8K解像度のまま動画をダウンロード・再生することができる。

「8K動画/1分のデータ量がおよそ1GB前後。5G回線の対象エリアであれば、短時間でアップロードできる。コロナ禍で気軽な外出は難しいが、旅先などで撮影した動画の共有などに活用して欲しい」という。

「AQUOS R5G」で撮影した8K動画をアクオス8Kで再生

2.1chのオーディオシステム「8A-C22CX1」は、8K放送のMPEG-4 AAC/22.2ch音声入力に業界で初めて対応したサウンドバー。店頭予想価格は8万円。

最新アクオスCX1シリーズと組み合わせたとき、テレビで受信した8K放送の22.2ch音声を、ARCで受け取ることが可能で、22.2chの信号を活かした立体音響を実現するという。

オーディオシステム「8A-C22CX1」。左右上面に見えるユニットはウーファー。天井に音声成分を放射しているわけではないという
スピーカー部とサブウーファーはワイヤレス(Bluetooth)で接続

視聴者の前方にスピーカーを設置するだけで、前後・左右・上下を含む360度の立体音響を創出するという「OPSODIS(オプソーディス)」技術を使用している。

美術品を自在に操作できる「8Kインタラクティブミュージアム」

「8Kインタラクティブミュージアム」は、間近で見たり、直接手に取ったりすることが難しい貴重な美術品や工芸品などの高精細画像を、70型8Kの超高精細ディスプレイに表示、鑑賞できるソリューション。現在は、奈良県の法隆寺や石川県の国立工芸館に採用され、来館者が体験できるようになっている。

「8Kインタラクティブミュージアムでは、従来では実現できなかった鑑賞体験が味わえるのが大きな魅力。体験者の反応も上々と聞いている。今後も博物館や美術館などに協力を仰ぎながら、来館者に美術品や工芸品の新しい鑑賞体験を提供できる場を用意していきたい」としている。

普段近付いてみることができない美術品を8K高精細ディスプレイで鑑賞できる
タッチ操作に対応
8K編集が可能なdynabook。IGZOパネルを採用した15.6型4K UHD液晶を採用する
外付けGPU BOXの側面。グラボ「NVIDIA Quadro RTX4000」が見える
アストロデザインとシャープが共同開発した8Kカムコーダー「8C-B60A」。PLマウントで、最大周波数は60fps。8K出力は12G-SDI×4。想定売価は880万円
8C-B60Aをベースにインタフェースなどを大幅に変更し、機動性や操作性を向上させた、アストロデザイン製の新型8Kカムコーダー「AA-4814-B」。想定売価は1080万円