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JDI、革新的な多結晶酸化物半導体「Poly-OS」開発に成功

ジャパンディスプレイと出光興産は、スマホやスVR機器、大型テレビ向けなど多様なディスプレイに適用できる、革新的な多結晶酸化物半導体「Poly-OS(Polycrystalline Oxide Semiconductor)」の開発に成功した。ディスプレイの性能向上や、製造コスト低下にも寄与するという。

出光興産が開発した多結晶酸化物(金属元素と酸素から構成される多結晶状態の薄膜)半導体材料と、JDI独自のバックプレーン(薄型ディスプレイの基礎となる微細な半導体素子が実装された回路基板)技術を融合させたもの。

第6世代量産ラインで高移動度と低オフリーク電流を両立。ディスプレイの性能向上に大きく貢献すると共に、第8世代以上の大型ラインへの適用も可能で、ディスプレイ製造の低コスト化にも大きく寄与するという。

既存の酸化物半導体(Oxide)を用いたトランジスタは、アモルファスシリコン(a-Si)と同じく大面積での製造が容易で、かつ低いオフリーク電流による低消費電力化が可能という特徴がある。一方で、現在の中小型ディスプレイで主に用いられている低温ポリシリコン(LTPS)と比較すると、移動度が低いことが課題となっていた。

多結晶酸化物半導体「Poly-OS」技術は、移動度を大幅に向上させ、LTPS同様の高性能化に成功。これにより、既存のバックプレーン技術(a-Si、Oxide、LTPS)の性能を併せ持った製品を作り上げることが可能になるという。

JDIは、独自のバックプレーン技術により、千葉県・茂原工場の第6世代量産ラインにて、世界で初めてPoly-OSの実用化に成功。従来比4倍の電界効果移動度を達成し、今年3月30日に 独自技術「HMO(High Mobility Oxide)」として発表している。

出光興産は、2006年から多結晶酸化物半導体材料IGO(Indium Gallium Oxide)の開発を開始。従来の酸化物半導体では実現できなかった低温ポリシリコン(LTPS)と同水準の高い移動度を有することが特長。さらに、第8世代以上の大型ラインにおいてもプロセス適性があり、薄膜トランジスタ(TFT)を作製することが可能。

両社は今後、Poly-OS技術を幅広い業界関係者が適用できるよう普及に取り組むとともに、ディスプレイ性能の進化と同産業の発展、ディスプレイの低消費電力化による低炭素社会の実現に取り組むとしている。