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「空中ディスプレイ」や「反射型IGZOディスプレイ」などCEATEC展示
2022年10月18日 12:03
幕張メッセにて10月18日から21日までの期間で開催中の「CEATEC 2022」。ここでは空中に映像が浮き出して見える「空中ディスプレイ」を展示している京セラや、外光の反射を利用する「反射型IGZOディスプレイ」などを展示しているシャープのブースを紹介する。
京セラ
京セラブースでは、空中に高精細な映像を浮かび上がらせる「空中ディスプレイ」を展示。人の手の動きに反応する魚が空中を泳ぐデモ、指の動きに合わせて360度の回転と拡大縮小ができる指輪のデモ、テーブルの表面から案内を表示するデモの3パターンが用意されている。
独自設計のミラーを組み合わせることで、光源となるディスプレイの光を制御し、空中に浮かび上がるような映像を実現している。今回の技術では、そのシステムの小型化と高精細、高画質を両立し、低消費電力での高輝度化も実現したという。各種センサーと組み合わせて、非接触操作を可能とした。
魚の映像デモでは、空中に表示された魚が人の手に反応し、指に近寄ってきたり、手を避けたりする様子が楽しめる。空中ディスプレイとは別に、魚の映像と人の手を感知して影を映すディスプレイも用意されており、実物に触れているかのような感覚を体験できる。
指輪のディスプレイでは、手前でピンチイン/ピンチアウトのような動作を行なうことで指輪の映像の大きさを操作、指を近づけることで、指輪を360度好きな方向に動かして全体を見ることもできる。
テーブルの表面に映像を表示する展示では、レストランでの案内を想定した動画を投影。目の前の人のバイタルを確認してお勧めのメニューを提示するといった内容となっている。最後に会計時を想定したQRコードが表示されるのだが、その映像内のQRコードは実際にスマホで認識できるようになっており、読み込むと京セラのWebページが表示される。
この空中ディスプレイの技術は、高精細な映像表示が求められる医療分野をはじめ、映像没入感のあるアミューズメント、美術館・店舗などの展示ディスプレイ、自動車のダッシュボードでの活用など、様々な用途で活躍できるという。
音に関連する展示も実施。小型センサーを搭載したイヤフォンで血流量を計測する仮眠起床AIシステム「sNAPout」では、入眠時間を短縮する効果のある音を再生して入眠をサポートし、仮眠時に最適な起床タイミングを感知してアラームを鳴らして起床を促すシステム。
仕組みとしては、入眠を促進するのに効果があったという左右に周波数の異なる音を再生し、入眠をサポート。センサーで睡眠がやや深くなったタイミングを検知して、起床タイミングをAIが判定するという。
人の睡眠は一般的に約90分で深い睡眠と浅い睡眠のスパンを繰り替えしているとされているが、個人差やそのときの体調にも左右されるため、センサーとAIがひとりひとりのそのときの状況に合わせた最適なタイミングで起床を促せることが特徴だという。
そのほか、聴き逃してしまった音に気づかせる/聞き返せる聴覚拡張ヒアラブルデバイス「舞」や、歩行センシング技術や車載ナイトビジョンシステム、自動配送ロボットなど様々な実物が見られる展示も行なっている。
シャープ
シャープのブースでは、外光の反射を利用する「反射型IGZOディスプレイ」や、IGZOバックプレーンを採用して表示の更新速度を速めた電子ペーパー、「CEATEC AWARD 2022」で経済産業大臣賞を受賞した屋内光発電デバイス「LC-LH」などを展示している。
反射型IGZOディスプレイはLEDなどのバックライト光源を使わず、太陽光などの外光を光源とする低消費電力ディスプレイ。ディスプレイの明るさが外光の明るさに連動するため屋外での視認性が高く、バックライト光源がいらないため低消費電力で、バッテリーやソーラーパネルなどで駆動できるのが特徴。フルカラー表示、動画表示もできる。
屋外サイネージとしての利用が想定されており、高輝度のバックライト不要で発熱も少ない特徴を活かし、すでにユニカがIP56準拠の密閉構造を採用した屋外サイネージ「タフ&エコ インフォパネル」として販売も予定。夜間や天気の悪い日でも使用できるよう、低輝度、低消費電力のバックライトも備える。ブースでは、このタフ&エコ インフォパネルの参考出品も行なわれている。
IGZOバックプレーン(ディスプレイの表示信号を制御するための基盤回路)を採用した電子ペーパーは、シャープディスプレイテクノロジー(SDTC)とE Inkの協業によるもので、IGZOを採用したことで電子ペーパーのネックとも言える表示画面の更新時間を短縮することに成功した。シャープによれば更新時間は白黒で0.35秒、カラーで0.5~1.5秒。
屋内光発電デバイス「LC-LH」は、屋内光を電気に高効率で変換できる色素増感太陽電池と、同社が長年培ってきた液晶ディスプレイ製造技術を融合させたもの。腕時計や電卓などに使われている一般的な太陽電池に対して、屋内環境下で約2倍となる約20%の変換効率を持つ。液晶ディスプレイの工場で生産できるため、高品質かつ低コストという。
電源コード不要で、電池交換の手間もなくなるため、電子棚札やIoT製品、各種リモコンやモバイルバッテリーにも適しているという。2023年度から液晶工場の設備を活用した生産を予定。
そのほかブースでは、米粒よりも小さいバイタルセンシング用超小型センサも参考出品。業界最小クラスでイヤフォンや指輪、メガネなどの小型機器に搭載でき、独自アルゴリズムと組み合わせることで、脈拍数や血圧、興奮度など、さまざまなバイタル指標に対応する。