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Nothing、円筒状ケースのハーフインイヤーTWS「Ear (stick)」

「Nothing Ear (stick)」

Nothing Technologyは10月26日、ハーフインイヤー型の完全ワイヤレスイヤフォン「Nothing Ear (stick)」を発表した。コスメ用品からインスパイアされたという円筒状のケースと、Nothingブランドで特徴的なスケルトンデザインを採用している。11月10日発売だが、直販サイト、Kith Tokyo、二子玉川 蔦屋家電では10月29日11時より数量限定で先行販売する。価格は16,800円。カラーは1色のみ。

発表に先立って、報道陣向けに「Nothing Ear (stick) プレブリーフィング」も行なわれ、同社のカール・ペイCEOやマーケティング統括のアキス・イワンジェリディス氏が登壇。製品に込めた思いなどを語った。

「Nothing Phone (1)」ブラック

Nothing Technologyは、2020年10月に設立された企業でイギリス・ロンドンに拠点を置く。これまでにスケルトンデザインが特徴的なノイズキャンセリング(NC)機能付き完全ワイヤレスイヤフォン「Nothing Ear (1)」と、背面のスケルトンデザインと”Glyph Interface”と呼ぶLEDライトが特徴的なスマートフォン「Nothing Phone (1)」を発売しており、2製品累計の出荷台数は100万台を突破しているという。

イヤフォンはハーフインイヤー型

発表されたNothing Ear (stick)は、同社の第1弾製品であるNothing Ear (1)と同じイヤフォンカテゴリの製品となるが、Nothing Ear (1)がカナル型(耳栓型)でNC対応だったのに対し、Nothing Ear (stick)は「究極の快適性を追求した」というハーフインイヤー型で、NCも非搭載となる。

上述したとおりハーフインイヤー型のデザインで、耳への圧迫感を軽減して自然で快適な着け心地を実現。筐体デザインは100人以上のテストユーザーと100回以上の設計変更を経て生み出された人間工学に基づいたものとなっている。重さもNothing Ear (1)より0.3g軽量な4.4gとなっているほか、アンテナ位置を見直すことで接続安定性も改善された。

独自開発の12.6mm径ダイナミックドライバーを搭載。高品質のスピーカーマグネットを採用し、強力な磁束を発生させることでパワーと感度を向上。カスタム設計の振動板により低音から高音まで一貫したクオリティを維持するという。Bluetooth 5.2準拠で、コーデックはSBC、AACをサポートする。

スマートソフトウェア「Bass Lock Technology」を採用。イヤフォン装着時に音を鳴らして低音の“抜け具合”を検知、イコライザーで最適なレベルに自動調整することで「迫力ある音の奥行きを忠実に再現する」という。装着検知機能を利用できるほか、本体はIP54の防水防塵仕様。

通話用にClear Voice Technologyと、3基の高精細マイク、最新のスマートアルゴリズムを搭載。Google Fast Pairや、Microsoft Swift Pairに対応しており、スムーズに接続できる。

ケースは特徴的な円筒状

ケースはコスメ用品、特にリップスティックにインスパイアされたという円筒状。赤いパーツが付いている部分を回転させることでケースの開閉ができる。回転方向は時計回り、反時計回りのどちらにも対応するため、右利きでも左利きでも、片手で開け閉めができるという。製品パッケージも長方形の紙製となっている。

また、この特徴的な開閉デザインにより、イワンジェリディス氏は、「万が一、ケースごと落としてしまうと多くの製品はその衝撃でケースが開き、イヤフォンが飛んでいってしまいますが、Nothing Ear (stick)では落としてもイヤフォンが飛び出すことはありません」と利点を語った。

バッテリー持続時間はイヤフォン単体で最大7時間、ケース併用時で最大29時間。10分の充電でイヤフォンは約2時間、ケースは約9時間使用できる。充電ポートはUSB Type-C。

イヤフォンはタッチ操作にも対応するがNothing Ear (1)とは異なり、押す動作で操作する“プレスコントロール”式。物理ボタンを備えているわけではないが、1回のプレスで再生/停止や通話応答/切断、2回のプレスでスキップや着信拒否といった操作ができる。

同社のスマートフォンであるNothing Phone (1)と連携させた場合、すべてのデバイス設定および機能が統合され、シームレスな体験ができる。10月27日には従来の「Ear (1)」アプリに変わる「Nothing X」アプリが登場。このアプリはVersion 1.1.4 以降の「Nothing OS」にアップデートすると、プリインストールされる仕
様となっており、クイック設定により、ジェスチャーコントロールとEQ設定(低音域、中音域、高音域など)を簡単にカスタマイズでき、自分だけのリスニング体験が構築できる。

Nothing Phone (1)以外のAndroid端末やiOS端末で使用する場合は、各アプリストアから「Nothing X」アプリをダウンロード可能。同アプリでは発売中のNothing Ear (1)のペアリングにも対応する。アプリでは、Nothing Ear (1)ユーザーからのフィードバックを受けて、イコライザーにプリセットが追加されたとのこと。

なお、Nothing Ear (1)やNothing Phone (1)はブラックとホワイトの2色が用意されていたが、今回のNothing Ear (stick)はホワイトを基調とした1色のみ。これについてイワンジェリディス氏は「シンプルさを優先しました。この製品には、この色が一番ピッタリだと判断したのです。また選択肢が1つだと、誰が見ても『あの製品だな』と認知度も高まりますよね」としている。

外形寸法はイヤフォンが18.8×18.4×29.8mm(幅×奥行き×高さ)、ケースが29.8×29.8×87.1mm(同)。重さはイヤフォンが4.4g、ケースが46.3g。充電用USB Type-Cなどが付属する。

Nothingにとって日本市場は「トップ5に入る大きさ」

カール・ペイCEO

発表に先立って行なわれた「Nothing Ear (stick) プレブリーフィング」で、ペイCEOはNothing製品の出荷台数が100万台を突破したことで「以前、アップルのエコシステムに対して、それに代替するものを作りたいと語りましたが、Nothing Phone (1)を通じて、それを実現しつつあります」と語った。

「実を言うと、他のAndroid製品と比べると、iPhoneからPhone (1)に乗り換える人の割合は3~4倍多い。それだけでなく、Z世代からの関心が特に高い。ここはアップルが強い領域ですが、そこからの関心が高いのです」

またイヤフォン製品の音作りについて、ペイCEOは「特にベンチマークにしているようなブランドなどはありません。製品を設計・デザインするときに、自分たちでデザインを決めて、それを良いと思ったら発売しています」とも明かした。

「私たちの業界にはデータ主導型のブランドが多く存在するので、同じやり方をやっていては太刀打ちできませんから、違う手法で挑む必要があるのです。製品については、ふたつの軸で考えています。ひとつはNothing製品同士のコネクティビティ、もうひとつはテクノロジーでのイノベーションです」

「シームレスなコネクティビティについては、最初に考えるのは同じブランド製品でのコネクティビティをスムーズにしたいというところ。他ブランドの製品とも互換性がありますが、私たちの製品同士のコネクティビティをよりスムーズなものにしたいのです」

テクノロジーについては「ひとつはオープンデザイン。イヤフォンにゴム(イヤーピース)がないので、空間的な余裕が生まれ、それに対応するテクノロジー(Bass Lock Technology)を導入しています。ドライバーユニットについても、Nothingが設計しました。汎用品を使ってはいないのです」

なお、ペイCEOはNC付きのNothing Ear (1)と、今回のNothing Ear (stick)の棲み分けについて、「わかりやすく例えると、アップルのAirPodsとAirPods Proのように共存する製品」と表現している。

アキス・イワンジェリディス氏

アキス氏もNothing Ear (stick)に搭載した12.6mm径ドライバーについて「ハーフインイヤー型では、インイヤー型よりも大型のドライバーが必要になりますが、ドライバーを大きくしすぎると、快適性が損なわれてしまうので、そのバランスに苦労しました」と開発の苦労を語った。

最後にペイ氏は、世界情勢や経済状況を踏まえ「Ear (stick)やPhone (1)など、Nothingの製品は消費者にとって最適な選択肢だと思います。他社との違いを感じられ、喜びや楽しみをもたらす製品だと考えているからです。製品の価格も、手の届きやすいものになっています」とコメント。

日本市場についても「会社を立ち上げ、Ear (1)を発表したとき、日本市場についてはあまり知らなかったというのが正直なところです。それでも挑戦しようと考えました。そして、Ear (1)でいい結果を出すことができたので、Phone (1)についても挑戦しようと決めました」と語った。

「日本はキャリアが重要視されるマーケットで、まだ私たちは大手のキャリアと組んではいませんが、私たちにとっての日本市場は(売り上げ規模で)トップ5に入る大きさです。先日東京を訪れたとき、ユーザーや熱心なファンに会って、今後の製品展開についてワクワクしているという声も聞けました。今は、日本でキャリアパートナーとなりうる相手と話を進めているので、進捗を楽しみにしていてほしいです」