ミニレビュー

Nothing Ear (stick)開封してみた。EQで低音“マシマシ”がオススメ

円筒状ケースが特徴的な「Nothing Ear (stick)」。後ろは同社のスマートフォン「Nothing Phone (1)」

10月29日11時からKith Tokyoと二子玉川 蔦屋家電で先行販売がスタートするNothingブランドのハーフインイヤー型完全ワイヤレスイヤフォン「Nothing Ear (stick)」の使用感をレポートする。Nothing製品の代名詞とも言えるスケルトンデザインと、コスメ用品からインスパイアされたという円筒状のケースが特徴的なモデルで、イヤフォンの着け心地はもちろん、ケースの開閉方法、パッケージの開け方も他と一線を画す、Nothingならではの体験が用意されている。

Nothingブランドを展開するNothing Technologyはイギリス・ロンドンに拠点を構える企業で、2020年10月に設立。これまでにノイズキャンセリング機能付き完全ワイヤレスイヤフォン「Nothing Ear (1)」とスマートフォン「Nothing Phone (1)」を販売しており、今回のEar (stick)が3製品目となる。価格は16,800円。発売日は11月10日だが、上述した2店舗では28日から数量限定で先行販売される。

イヤフォン製品とは思えない製品パッケージ

スケルトンデザインや円筒状ケースなども特徴的なEar (stick)だが、本体が入っているパッケージも特徴的。こちらもコスメ用品を思わせる長方形で、上下に引き手があり、ここを引っ張ってビリビリとパッケージを破いて開けていく。開けると片方にイヤフォン本体、もう片方には充電ケーブルなどが収納されている。

一度パッケージを開けると元の状態に戻すことはできなくなるので、開封の体験はまさに1度きりなので、いわゆる“開封動画”などとのマッチングは良さそう。というわけで、開封している様子を動画に収めてみた。

Nothing Ear (stick)開封してみた

充電ケースの開け方も独特で、リップスティックをイメージしたという赤いパーツが付いている部分を時計回り・反時計回りのどちらかに回転させるとケースが開く仕組み。回転方向はどちらでもOKなので、利き手を選ばずに片手で開閉できる。赤いパーツ部を持って、イヤフォンが収納されている側のクリア部を回すという開け方もできる。

また他社製品ではケースを落としてしまうと、その衝撃でフタが開いて、イヤフォンが飛び出してしまうこともよくあるが、Ear (stick)は回転式のため、落とした衝撃でフタが開いてしまう心配もない。

アクセントになっている赤いパーツ部にはUSB-Cポートを搭載

目を引く赤いパーツ部分には、充電用のUSB Type-Cポートが備えられている。その隣の銀色のパーツはペアリングボタン。ケースの「Nothing」と刻印されている部分はザラザラとした質感で滑り止め効果も期待できる。

Ear (stick)をアップル製イヤフォンと並べたところ。左はAirPods(第1世代)、右はAirPods Pro(第2世代)
Ear (stick)とAirPods Pro(第2世代)。どちらも手のひらサイズ

ケースのサイズ感は、Ear (stick)が円筒状なこともあり、アップルのAirPods(第1世代)やAirPods Pro(第2世代)と比べると背は高めだが、ポケットへの収まりはいい。

Ear (stick)のイヤフォン

イヤフォンは同じカナル型の第1世代AirPodsと比べると、耳から下に伸びる“うどん”部分は短く、AirPods Proと近い見た目になっている。

iOS版「Nothing X」アプリ。アプリでは操作方法やバッテリー残量も確認できる

スマートフォンとのペアリングは、一般的な完全ワイヤレスイヤフォンと手順は同じだが、専用アプリ「Nothing X」を使えば、イコライザー調整や操作のカスタマイズなどが可能。アプリはAndroid向け/iOS向けの両方が用意されている。このアプリではNC付きモデルのEar (1)もコントロールできる。

実際に装着してみると、ハーフインイヤー型ということもあり、装着時の圧迫感はほとんどなく、耳穴に入れているというよりも、耳に引っ掛けて乗せているという感覚に近い。同じくカナル型のAirPodsや有線のEarPodsと比べても“耳に入れている感”はかなり薄く、すぐ簡単に落ちてしまうのではと思ってしまうほど。

しかし、頭を激しく左右に振ったり、軽く飛び跳ねたりした程度では耳から外れてしまうことはなかったので、軽いジョギング程度であれば落ちてしまうことはなさそうだった。

「Nothing Ear (1)」(左)と並べたところ
「Nothing Ear (1)」イヤフォン(左)との比較。イヤーピース以外のデザインは非常に似ている

装着すると「ピロロッ」という音が鳴ったあと、スマートフォンと接続される。この検知音はハーフインイヤー型デザインによる音漏れを防ぐというスマートソフトウェア「Bass Lock Technology」に活用されており、自動で最適な音質に補正される。

デフォルトの音質は、高域がシャリシャリとしていて全体的に軽め。女性ボーカルなど楽曲によっては少し耳に刺さるような感覚もあった。低域も抜けがちなので、楽曲のジャンルや映像コンテンツによっては物足りなさを感じることもあるが、“ながら聴き”にはちょうどいいバランスで、軽い装着感も相まって長時間の使用でも聴き疲れしにくい印象だった。

上述した専用アプリを使えば、イコライザーも利用できるので、自分好みの音質にカスタマイズもできる。イコライザーは「BASS」「中音」「TREBLE」の3項目を±6段階で調整できるほか、プリセットとして「BALANCED」「MORE BASS」「MORE TREBLE」「VOICE」が用意されている。

イコライザーには4種のプリセットが用意されている
BASS」「中音」「TREBLE」の3項目を個別に調整することもできる

筆者は“低域もりもり”なサウンドは好みではないのだが、このEar (stick)に関してはプリセットで「MORE BASS」、もしくは個別調整でBASSを+6にするなど、低域を“増し増し”にすると十分な迫力があるサウンドを楽しめた。低域に物足りなさを感じたら、イコライザーでいつもよりも多めに低域を調整したほうがいいかもしれない。

Ear (stick)は、ディスプレイ下に置いておくだけでも“映える”気がしてしまう

Ear (stick)は、円筒状のケースとスケルトンデザイン、快適な装着感など、他社製品とは一味違った特徴を持つ製品に仕上げられていた。“ながら聴き”用としてはもちろん、「人とはちょっと違うイヤフォンを使いたい」という人にピッタリな1台だった。

同じNothingブランドのNothing Phone (1)との連携が強化されている

ちなみにNothing製品は、同じブランド製品での連携が強化されているのも特徴。スマホのPhone (1)では、従来の「Ear (1)」アプリに代わって、新デザインされた「Nothing X」が用意されており、その他のAndroid端末やiOS端末よりも、シームレスな接続ができる。

このPhone (1)用のアプリは、スマホ側のOSを最新版(Version 1.1.4以上)にするとプリインストールされる仕様で、別途アプリをダウンロードする必要はない。Ear (stick)とNothing Phone (1)をペアリング後は、クイック設定のBluetoothボタン長押し、または設定の接続機器を開いて、歯車アイコンをタップすれば、イコライザー調整やタッチ操作のマッピングなど、全機能にアクセスできる。

Nothing Phone (1)では設定画面からイコライザー調整などができる
Nothing Phone (1)は900個のLEDを背面に使った「Glyph Interface(グリフインターフェイス)」が特徴
酒井隆文