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NHK、“2倍割増金”で東京3世帯を提訴。「やむを得ず最後の手段」

NHK(日本放送協会)は6日、東京都内の3世帯を対象に、受信契約の締結と受信料および割増金の支払いを求める民事訴訟を東京簡易裁判所に提起した。NHKはこれまでも受信料の未払い者に対し未契約訴訟を起こしているが、2倍の割増金を求めるのは今回が初。

既報の通り、放送法の改正により、今年4月から「正当な理由がなく期限までに受信契約の申込みをしなかった場合」等に限り、NHKは(通常の受信料に加え)2倍の割増金を請求できる制度が導入されている。

割増金制度の概要

NHKの説明によれば、「今回の3世帯は、契約締結をお願いする文書の送付や電話・訪問などにより誠心誠意説明し、丁寧な対応を重ねてきたが、応じていただけなかったため、やむを得ず最後の手段として、割増金の請求を含む民事訴訟の提起に至った」とのこと。

また、割増金の運用については「国会の附帯決議でも、受信契約についての理解を得るため最大限努力しつつ、個別事情に配慮し、適切な対応を行なうこととされている。こうしたことから、今後も対象となる事由に該当する場合に一律に請求するのではなく、個別事情を総合勘案しながら運用していく」としている。

運用方針について

なおNHKでは現在、受信設備を設置していながらNHKの受信契約を締結できていない世帯数をおよそ900万件と推定しているが、その900万件に対して訴訟や割増金を課すことは「全く考えていない」と説明。

「割増金制度の運用以降も、NHKの公共的価値や受信料制度の意義に共感していただき、納得して受信契約の手続きや受信料を支払いいただくという、これまでの方針に変わりはない。今後も公平負担の実現に向けた取り組みを進めていく」とした。

なお、今回の3世帯について、年齢や性別、衛星や地上波、未払い期間などの詳細について「詳細は話せない」と回答。支払いを求める具体的な金額については、「裁判所が下す判決の時期や個別の事例でも異なってくるが、受信機設置後の未払い期間の受信料は全額。割増金については2023年4月から判決が出た月の前月までの期間の金額が制度上請求できる」としている。

また東京以外の未払い者に対する(割増金を含む)未契約訴訟について、「全国にもやっていく可能性はある」とコメントした。