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NHK、受信規約変更を認可申請。来年4月から未納者への2倍割増金運用へ
2022年12月7日 14:40
NHKは6日、契約の申込み期限や割増金などを定めた受信規約の変更案を議決し、総務大臣に認可申請を行なった。認可が認められれば、2023年4月から、“受信機の設置の月の翌々月の末日まで”とする申込み期限が新たに規定されるほか、悪質と判断された受信料未払い者に対し“2倍”の割増金が請求される。なお、割増金対象期間は'23年4月以降。また一律請求ではなく「個別事情を総合勘案しながら運用していく方針」という。
受信規約の変更は、“受信料の適正かつ公平な負担”を目的に行なわれた改正放送法の施行、および受信契約を規定する総務省令の改正に対応するために行なわれるもので、今年10月にNHKが規約の変更素案を公表していた。
変更案では、申込み期限や割増金のほかにも、支払い手段の多様化への対応や、個人情報保護法の改正に伴う告示の変更なども含まれている。
意見募集の総数は155件。スクランブル化は「『公共の役割』と相容れない」
受信規約の一部変更に対し、今年10月12日から11月10日まで受け付けていた、視聴者・国民からの意見募集結果も公表された。
意見総数は155件で、うち放送事業者等団体が5件、個人は150件。募集結果の資料では、寄せられた意見に対するNHKの考えも記載されている。
“スクランブル化”の意見については、「NHKには、放送法第15条に規定されている通り、公共の福祉のために、あまねく日本全国で受信できるよう、豊かで、かつ良い番組を放送することが求められており、社会のすべての人たちに、必要不可欠な情報をあまねく公平にお届けするという公共の役割を果たすために、自主的な財政基盤として受信料制度が設けられています」
「受信料は、NHKの事業を維持・運営するための特殊な負担金であり、放送の対価としていただいているものではないことから、スクランブル化し、受信料を支払わない方に放送番組を視聴できないようにする方法は、放送法でNHKに求められている『公共の役割』と相容れないものと考えています」との考えを記載。
割増金の関しては、「受信料の適正かつ公平な負担を図るための放送法の改正(2022年10月施行)により、受信規約に割増金に関する事項を新たに盛り込むよう求められています。今回の受信規約変更によって割増金が請求できるようになっても、NHKの価値や受信料制度の意義に共感していただき、納得してお手続きやお支払いをいただくという、これまでのNHKの方針に変わりはありません。割増金は、事由に該当する場合に一律に請求するのではなく、個別事情を総合勘案しながら運用してまいります」と回答。
割増金を2倍とした設定については、「鉄道営業法や電気供給約款など国内類似法制度の水準を参考として、総務省令で定める上限である所定の受信料の2倍に相当する額とすることを規定したいと考えています」との考えを示した。
また割増金は「無制限に過去に遡るのではなく、新たに受信機を設置される方については設置日の属する月の翌月分から、また、2023年4月より前に受信機を設置されている方については同年4月分からが、割増金の対象期間となることを規定する案」と回答。
割増金が2倍に至るまでの移行期間を設けるべき、との意見については「移行期間を設けるのではなく、この方針やどのような場合に割増金になるのか等について、視聴者のみなさまに対して、丁寧に周知・広報を行ってまいりたいと考えています」とした。
NHKはこれら意見に対する検討結果を発表。「視聴者・国民のみなさまからいただいたご意見等を踏まえ、今回の日本放送受信規約の一部変更の内容や割増金の取り扱い等について今後丁寧にご説明していきたい」として、説明資料を追加公表した。
具体的には、サイト「受信料の窓口」内のよくある質問集(FAQページ)において、「割増金」に関する事項を追加するほか、広報資材の充実、適切に案内できるコールセンターのオペレーターの研修充実などに取り組むという。