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NHK、受信契約が21.7万件減。4月開始の割増金は「一律請求しない」

受信契約の状況
2022年度 第3四半期業務報告より

NHKは25日、2022年10月1日から同12月31日までの活動内容を取りまとめた「2022年度 第3四半期業務報告」を公表した。12月末時点での契約総数は、年間目標10万件の減少に対して21.7万件減少の4,133万件。また衛星契約は、年間目標4万件の増加に対して8.5万件減少の2,194万件。受信料収入は、前年から61億円減の5,043億円となった。

契約状況に関して報告書では、「世帯の移動が多い大都市圏から取次数をいかに確保していくかが課題」と指摘。

「今期は、不動産会社への働きかけを重点的に行い、首都圏を中心に新たに協力関係を構築したことなどにより、不動産会社からの新規契約取次が前期より0.3万件増加して、1.1万件となった。『特別あて所配達郵便』は、前期に実施した検索連動型のインターネット広告や、視聴者リレーション活動との組み合わせ、地域ごとの特性を把握することなどにより相乗効果が高まることが確認できた。引き続き、課題となっている大都市圏対策を進めていく」とした。

受信料の状況
2022年度 第3四半期業務報告より

放送サービスの面では、昨年11~12月に放送した「FIFAワールドカップ カタール 2022」や、大晦日に放送した「第73回NHK紅白歌合戦」がよく視聴された、と分析。

特に紅白歌合戦においては、世帯視聴率が前回に比べ、前半で同水準、後半では1.0ポイント上昇。一人当たりの視聴分数も、前半で6.5分、後半で7.3分増加した。中でも若年層(男女10-30代)でのリアルタイム視聴率が前回から最大4.1ポイント増加した点が今回の特徴という。

インターネットサービスの「NHKプラス」では、年明け後も紅白歌合戦の視聴UB数が伸び、見逃し視聴が同時視聴を初めて上回ったほか、視聴UB数もサービス開始以来、過去最高となる約120万を記録。またBS4Kにおいては、BS4K開始以来、紅白歌合戦が最大のライブ視聴量(視聴人数×視聴分数)を記録するなど、4K視聴の拡大に貢献した。

インターネットサービスの状況
2022年度 第3四半期業務報告より

稲葉新会長が会見。割増金は「一律に請求するわけではない」

NHKは25日、稲葉延雄新会長の就任会見を開催した。会長職の任期は、2023年1月25日から3年間。

稲葉会長は会見で、前田前会長が取り組んだ改革を継承しつつ、その改革の「検証と発展が自身の役割」だと説明。「実際、かなり大胆な改革であり、若干のほころびやマイナス面が生じている場合もあるかも知れない。もしそうであれば、丁寧に手当てをしながらベストな姿に持っていきたい」と話した。

稲葉延雄会長 会見より

人事制度改革については、「私の目から見て、検証・見直しを行なっていきたい。一人一人が能力を最大限発揮してもらうために、多様なキャリアパスを示して、安心して職務に専念できる温かみのある人事制度にしたい。その際には、現場の職員、社員の皆さんの声に耳を傾けて、しっかり対話しながら手当を進めていきたい」と語った。

番組制作の見直しについては、経営改革の第二弾であり“本丸”として改革の道筋を探っていくと表明。

「デジタル技術を活用して、数量ともに豊富に提供していく。例えば、メタバース技術の活用による新しい画像表現の探求や、デジタルアーカイブの更なる事業展開、あるいは番組の制作から発信まで生産プロセスにおける職人芸的な部分をデジタル的に抜本改革するなどを進めていきたい。これまで以上に高品質なコンテンツを効率的なコストで生み出していけるよう、NHKを前進させていきたい」と抱負を述べた。

また所信表明の最後には、NHKとしての想いをコメント。

「日々の報道面では、真実の探求のため、時間をかけてもしっかり取材し、NHKらしい真摯な姿勢で、公正公平で確かな情報を間断なくお届けしたい。多様な情報が錯綜している中で、皆さまの日々の判断の拠り所になりたいと念じている。またエンターテイメントの制作面では、様々な新しい試みに挑戦しながら、世界に通ずる質の高い番組を提供するよう心掛ける。皆さまの日常がより豊かで文化的なものになるよう、精一杯努力したい」と話した。

稲葉延雄会長 会見より

なお、2023年4月から導入される“割増金”制度についての考えを、記者から問われると「割増金については、受信料の公平性を確保する、という見地から導入されたものだと思っている。もちろん、割増金の制度が導入されても、受信料契約の締結や受信料の支払いについて、NHKの活動や受信料制度の意義などをしっかり理解いただいて、納得していただく、それで手続きや支払いを頂く、というNHKの方針には全く変わりはない」と回答。

割増金の請求についても「一律に条件に該当するからといって請求するわけではなく、お客様の個別の事情を総合勘案しながら運用していく」と述べた。