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「Apple Music Classical」24日から。ディズニー・オン・クラシックとも連携
2024年1月22日 16:22
アップルは1月22日、クラシック音楽専門のストリーミングサービス「Apple Music Classical」の日本提供開始に先駆けたプレス発表会を開催し、ディズニー・オン・クラシックのコンテンツを楽しめるなど、サービスの詳細を発表した。また指揮者の佐渡裕とギタリストの村治佳織、ピアニストの角野隼斗がアーティストアンバサダーを務めることも明かされた。
Apple Music Classicalは、500万以上の楽曲を備えた「クラシック音楽の最大級のストリーミングカタログを提供する」という音楽配信サービスで、1月24日にスタート。Apple Music契約者であれば追加料金不要で利用できる。
アプリはクラシック音楽のために特別設計したとし、通常のApple Musicとは別アプリとなっているのも特徴。iPhoneとiPadのほか、Androidでも利用でき、iPhone/iPadのApp Storeでは予約を受付中。
同サービスでは、空間オーディオも提供。「何万ものクラシックのアルバムやレコーディングを空間オーディオで聴くことができ、これには、すべての最も重要なニューリリースと、最も重要なアーティスト、オーケストラ、レーベルの過去のレコーディングも含まれる」という。
また、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ザルツブルク音楽祭、ニューヨーク・フィルハーモニック、ロンドン交響楽団、メトロポリタン歌劇場といった主要団体とも提携し、独占コンテンツも提供している。
同サービスは2023年に北米とヨーロッパでスタートしており、24日からついに日本や韓国、中国でもサービス開始となる。
プレス発表会では、まずアップルのApple Music担当バイスプレジデントであるオリバー・シュッサー氏のビデオコメントが流され「アップルのDNAには音楽がある。クラシック音楽は音楽全体の基礎であり、あらゆるジャンルのなかでもっとも偉大で、影響力があり、アーティストたちにインスピレーションを与えている」と語った。
「Apple Music Classicalでは、ストリーミングの世界で長い間、軽視され、どのサービスでも満足な体験ができなかった(クラシック音楽の)ファンのために、なにか特別なことがしたいと願っていた。そして、その結果にとても誇りを持っている」
「最適化された検索と閲覧機能、最高のオーディオ品質、何千ものアルバム、臨場感あふれる空間オーディオ、エキスパートがキュレーションしたプレイリスト、作曲家のバイオグラフィー、エディターによる何千もの作品解説を備えた世界最大級のクラシック音楽のカタログとなっている」
続いては、Apple Music Classicalを統括するジョナサン・グルーバー氏が登壇し、アプリの詳細を説明。クラシック音楽に特化した機能として、作曲家や作品の種類、作品名、通称、作品番号、時代、楽器など、ポピュラー音楽よりもはるかに多くの音楽情報、メタデータを備えており、これらを活用した検索機能を利用できることを説明した。
アプリでは、ロスレス/CDクオリティから、最大192kHz/24bitのハイレゾオーディオで楽曲を配信。さらにDolby Atmosによる空間オーディオも用意し「コンサートホールの特等席で聴いているような体験ができる」という。
また日本におけるパートナーとしては、Bunkamuraオーチャードホール、ディズニー・オン・クラシック、新日本フィルハーモニー交響楽団、サントリーホール、東京フィルハーモニー交響楽団と協力。各パートナー団体やアンバサダーアーティストによる限定コンテンツを継続的に配信するほか、ピアニストの藤田真央とフルート奏者のCocomiによる「Classical Session」も楽しめる。
アプリでは、画面下部に「今すぐ聴く」「見つける」「ライブラリ」「検索」タブがあり、「今すぐ聴く」ではローカル、グローバルのエキスパートチームがキュレーションしたコンテンツを楽しむことできる。「見つける」タブでは、作曲家、ジャンル、指揮者、時代などのジャンルごとで検索が可能。
「ライブラリ」タブには楽曲を追加可能。Apple Musicとも統合されており、Apple Music Classical側で追加した楽曲やプレイリストは、Apple Music側のライブラリでも利用できる。
「検索」タブでは、作曲家・作品名・作品番号・アルバム名などで検索可能。例えば「ベートーヴェン 5番」と検索すると、関連する楽曲候補が表示され、このなかから「ピアノ協奏曲第5番」を選ぶと作品番号「op.73」や通称名「皇帝」といった主要データや作品の解説、人気の演奏などが表示される。
初めてクラシックを聴く人へ。「なんとなく名前を聞いたことがある作曲家から始めてみては」
プレス発表会には指揮者の佐渡裕、ギタリストの村治佳織も登壇。トークセッションと村治氏によるライブパフォーマンスも行なわれた。
佐渡は「このアプリを通じて、ひとつのきっかけが縁になって、素晴らしいクラシックの世界にたくさんの人が魅了されるのではないでしょうか。クラシック音楽はすべての音楽の源みたいなところがありますが、ものすごい膨大な量と時間をかけてできあがったものですから、なかなかそこに縁がつながる機会が少なかった。(Apple Music Classicalによって)新しい時代が来るのかなと嬉しく思っています」
「“指揮者への質問コーナー”みたいなことをやると、『オーケストラの人があまり指揮者を見ていない気がしますが、指揮者によって曲に変化があるんですか?』と訊かれるんです。Apple Music Classicalでは指揮者での検索ができて、例えばベートーヴェンの交響曲第5番『運命』を(ヘルベルト・フォン)カラヤンと(レナード・)バーンスタインで聴き比べてみると、まったくテンポが違いますし、誰が聴いても違いが分かります」
「そうなると、『ほかの指揮者だと、どうなるんだろう』と思うはず。ひとつの交響曲でテンポの指定があるにもかかわらず、そういった違いが出てきます」
村治は、「コアなファンの人は演奏家の名前や、曲名がすぐに頭に浮かぶと思うので、それで検索すれば膨大な作品・レコーディングを楽しめると思います。小学校や中学校などで演奏する機会も多いので、子どもたちにどう楽しんでもらえるかという観点でも使ってみました。自分が思いついた数字、年号で入れてみると、『こんな昔からクラシック音楽ってあったんだ』といった楽しみ方ができると思います」とコメント。
さらに、このApple Music Classicalでクラシック音楽に初めて触れる人に向けて「まずは音楽の教室で(肖像画を)見たことがある人の作品を聴いてみては」と語った。
「クラシック音楽をまったく知らない人でも、なんとなく名前を聞いたことがある作曲家がいるはず。ぼんやりと覚えている人の名前を検索してみると、いろいろな候補が出てくるので、あとは直感に従って聴いてみてほしいです。私のアルバムを聴いていただいても良いんですけどね(笑)」
そのほかプレス発表会では、チェリストのヨーヨー・マ、アーティストアンバサダーの角野隼斗のビデオコメントも上映された。