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JASRACなど9団体「AIに関する音楽団体協議会」。生成AIの利活用を検討・提言

日本音楽著作権協会(JASRAC)や日本レコード協会(RIAJ)など9団体は1月25日、「AIに関する音楽団体協議会」を設置し、「『for Creators、for Artists』の理念のもと、調和のとれた生成AIの利活用の枠組みの実現に向けて検討や提言を行なっていく」と明らかにした。

昨今、生成AIのさまざまな技術やサービスが提供され、急速に普及し始めている。同協議会は「生成AIの開発と利用は、創造のサイクルとの調和の取れたものであれば文化芸術およびコンテンツビジネスの健全な普及発展に寄与することが期待される。歴史上、音楽は新たな技術を取り入れながら発展してきた」とする一方で、「音楽制作においてもクリエイターやアーティストにとって生成AIは有効なツールとなる可能性を秘めているが、現状においてはさまざまな懸念がある」としている。

具体的には、生成AIはクリエイターやアーティストが生み出した音楽コンテンツを人間とは桁違いの規模、スピードで学習することができ、また技術自体も急速に進化していることから、大規模な学習が続けられれば、生成物の質も進歩を遂げることは疑う余地はないとしている。

その結果、「その結果、質の高い生成物が人間とは桁違いの量とスピードで低コストに大量生成されるようになれば、クリエイターやアーティストは自らが生み出したコンテンツを学習して性能を高めた生成AIによって活躍の場が狭められることも考えられる」と指摘。

しかし、現在の著作権法では第30条の4の規定により、営利目的の生成AIを開発するための学習利用に対して、権利者がその意思を反映させることはできず、またアーティストの肖像や声を再現して生成されたディープフェイクコンテンツからアーティストを保護するための実効的かつ簡便な救済制度が確立されていないという問題もあるとしている。

そのため、音楽に関わるクリエイターやアーティストを代表する9団体が「AIに関する音楽団体協議会」を設置し、「for Creators、for Artists」の理念のもとで、調和のとれた生成AIの利活用の枠組みの実現に向けて、検討や提言を行なっていく。

「AIに関する音楽団体協議会」参加団体(団体名は五十音順)

  • 一般社団法人 コンサートプロモーターズ協会(ACPC)
  • 一般社団法人 日本音楽作家団体協議会(FCA)
  • 一般社団法人 日本音楽事業者協会(JAME)
  • 一般社団法人 日本音楽出版社協会(MPA)
  • 一般社団法人 日本音楽制作者連盟(FMPJ)
  • 一般社団法人 日本音楽著作権協会(JASRAC)
  • 公益社団法人 日本芸能実演家団体協議会 実演家著作隣接権センター(CPRA)
  • 一般社団法人 日本レコード協会(RIAJ)
  • 株式会社 NexTone(ネクストーン)