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B&W、自社開発・製造ユニットで高音質化したワイヤレススピーカー「Zeppelin Pro Edition」
2024年10月7日 17:00
Bowers & Wilkinsは、一体型のワイヤレススピーカー新製品「Zeppelin Pro Edition」を10月下旬に発売する。価格は136,400円。カラーはSpace GreyとSolar Gold。
2007年に登場した初代モデルから17年、制約のないワイヤレスハイレゾストリーミングの時代が到来した事に合わせて開発されたZeppelin Pro Editionは、より音楽ソースに忠実な音作りに進化したという。
なお“Pro Edition”というモデル名だが、プロフェッショナル向けという意味ではなく、Bowers & Wilkinsを創立したジョン・バウワース氏が、市場にあるスピーカーに満足せず、高忠実度再現を目指して開発したB&W初のスピーカーがP1(Professional-1)という名称だった事に由来する。
ユニークな飛行船型のデザインは従来モデルを踏襲しており、サイズやフォルムに変更は無いが、内部が大幅にブラッシュアップされている。外形寸法は650×194×210mm(幅×奥行き×高さ)。重量は6.6kg。
具体的には、従来モデルのツイーターとミッドレンジは、社外のサプライヤーに依存していたが、Zeppelin Pro EditionはB&Wの中国工場で設計生産したものを新たに採用している。
2基搭載している25mmチタンドーム・ツイーターは、B&Wの600 S3シリーズで採用しているものと同じユニットで、磁気回路にはネオジウムマグネットを採用。アルミドームと比べ、振動板の素材として2倍ほど強度があるが、重い素材であるため、チタンドームの振動板は極めて薄く作っている。それを補強するために、周囲にチタンを重ねたダブルドームタイプを採用。
ミッドレンジは90mmのFSTミッドレンジ・ドライバーで、こちらも2基搭載。このFSTミッドレンジも内製化したユニットで、B&Wでお馴染みのコンティニアム・コーンと同じ製造手法で作られているのが特徴。
コーンの素材はグラスファイバーで、特殊な折り方によってコーン形状にしている。コンティニアム・コーンとの違いはその密度で、コンティニアム・コーンは繊維の密度が非常に少ないのが特徴だが、Zeppelin Pro EditionのFSTミッドレンジ・ドライバーはそこまで密度が少なくないため、製造手法は同じだが、コンティニュアムとは呼ばれていない。
エッジレス構造も特徴。振動板が振幅する時に、揺れないようにウレタンで支えている。このウレタンは、できるだけ内部に隙間を多くとることで、ミッドレンジ周辺からのエアーリークを抑えながら、振動板の動きをできるだけ阻害しないようになっている。
ユニットは横並びに配置しており、両端にツイーター、その内側にミッドレンジ、そして中央には150mmサブウーファーを1基搭載する。全部で5ch(240W)のアンプ搭載しており、サブウーファー用アンプはBTL仕様。
サブウーファーは、磁路を伸ばした磁気回路によってロングストロークを実現。ワイヤレススピーカーとしては珍しい35Hzまで低域再生が可能になっている。
内蔵DSPによる信号処理も行なっているが、特性を熟知した内製のドライバーを使用することにより、最小限の補正で済むようになっており、より細かな音響特性の調整と最適化を実現したという。
フロントバッフルに取り付けているファブリックは、音響的に影響を抑えるだけでなく、なめらかな手触りのものを採用。汚れにも強いという。
ユニットを保護するフロントカバーにもこだわっており、音を透過するため、ハニカム構造で穴が空いているが、サブウーファーの前にくる中央部分は穴を大きくし、また強度を稼ぐために穴が深くなっている。
一方で、中高域の音が通過する部分は、指向性が生じないように穴を浅くしている。こうした細かな工夫により、フロントカバーによる音質の低下を防いでいる。なお、グリルは外すことはできない。
筐体上部の背面側に操作ボタンを搭載。新モデルではアレクサ非対応になっており、従来アレクサの起動ボタンがあったところが、Bluetoothペアリングボタンに変更されている。
Bluetooth接続はaptX Adaptive(最大48kHz/24bit)まで対応。AirPlay 2もサポートする。
音楽配信サービスはAmazon Music(最大96kHz/24bit)、Deezer、Tune In、SoundCloud、Spotify(Spotify Connect)に対応。
Bowers & Wilkins Musicアプリから、セットアップや低音、高音のイコライジングが可能。筐体の下面にアンビエントライトを備えており、アプリから調光や色の変更もできる。
前モデルと聴き比べる
Amazon Musicを使い、従来モデルとZeppelin Pro Editionを聴き比べたが、進化がすぐにわかるほど、クオリティは高くなっている。
付帯音が少なくなり、解像感がアップ。人の声やアコースティックな楽器の音もより自然で、クリアになっている。内製化されたユニットの再生能力の高さを実感すると共に、それらのユニットを採用した事で、DSPによる処理が最低限で済むようになった事で、サウンド自体の鮮度感が高まってもいるのだろう。
サウンドがよりクリアに、抜けも良くなった事で、音の広がりもアップしたように感じられる。もともと一体型でも、広がりのあるサウンドを実現するため、ユニットは角度をつけて取り付けられているスピーカーであり、形状も音の広がりを阻害しないようなデザインになっているが、そうした特徴が、Pro Editionになったことでより伝わるようになった。