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ソニー、NABで“空間コンテンツ作り”に活用できるVENICEエクステンションシステム

「NAB Show 2025」ソニーブース

ソニーは、米ラスベガスで現地時間の9日まで開催されている国際放送機器展「NAB Show 2025」に出展している。そのブース写真が到着。効率的なライブ制作を実現する「Networked Live」におけるシステムカメラソリューションや、クラウド制作プラットフォーム「Creators' Cloud」に加え、空間コンテンツ制作にも活用可能なVENICEエクステンションシステム Miniやカメラトラッキングシステム「OCELLUS(オセラス)」を含むバーチャルプロダクション技術などを展示している。

Networked Live

右がNetworked Liveの展示

Networked Liveは、オンプレミス/クラウドの環境を選ばず、制作機器や人などのリソースをハイブリッドに活用することで、より効率的なライブ制作を実現するというソリューション。ライブ制作向けのシステムカメラソリューションや機能拡充されたリモート制作機能を展示している。

マルチフォーマットポータブルカメラ「HDC-F5500V」

マルチフォーマットポータブルカメラ「HDC-F5500V」を2025年7月に発売予定(参考システム価格税抜約17,500,000円)で、システムカメラとしての優れた操作性と、スーパー35mm CMOSイメージセンサーならではの印象的なぼけ描写を実現。

HDC-F5500の機能を踏襲しながら、新開発した光学式可変NDフィルターを搭載しており、フィルター透過率の変更時に物理的な枠の映り込みが発生しないため、オンエア中でもNDフィルターの透過率を自由に調整できる。

ゲイン・アイリス・可変NDフィルターが連動した露出制御を実現するバーチャルアイリス機能や、可変NDフィルターとレンズアイリスの連動制御による被写界深度コントロール機能も搭載している。

ソニーの子会社であるNevion社は、映像および音声の効率的なリアルタイム伝送技術や、ネットワークとリソース統合管理の最新技術を展示。同社のソフトウェアベースIPメディアノード「Virtuoso」では、様々な形式の音声データ(AES、アナログ、MADI)を多チャンネル同時に処理・変換することが可能で、2025年4月末に対応予定。

また、低遅延・低ビットレートを実現するHEVCでの伝送デモを実施。メディアオーケストレーションプラットフォーム「VideoIPath」は、5Gやクラウドシステムとの連携強化により、制作現場で高品質な映像・音声を、より効率的かつ柔軟に扱えるようになる。

ライブ制作向けスイッチャーも、新たなファームウェアアップデートにより機能を向上。

「MLS-X1」(Ver2.3:2025年4月予定)は、予め設定した条件に基づき自動的にアクションが選択される「Conditional Action」機能を搭載し、制作効率を向上。また、「M2L-X」(Ver1.1:2024年12月提供済)は、クラウド環境に加え、汎用機器(COTSサーバー)等での運用を可能としている。

Creators' Cloud

Creators' Cloudは、クラウド技術と多様なカメラ、通信技術、AI、メタデータなどを組み合わせることで、新たな映像表現や効率的な制作を実現するもの。法人・個人向けに様々なサービスを提供しており、個別利用も、複数のサービス連携もできる。ブースでは、各サービスの使い勝手をさらに向上させる機能アップデートを展示中。

Creators' Cloudで提供するクラウドメディアストレージ「Ci Media Cloud」は、ポストプロダクションのワークフローをシンプル化、および自動化するアップデートを実施。

カメラとクラウドを繋げる「Creators' App」で設定することで、「FX3」、「FX30」、「α7S III」からCi Media Cloudへ静止画・動画を直接アップロード可能になる。

これにより、撮影終了を待たずにカメラからCi Media Cloudに軽量なプロキシデータを転送でき、撮影クルーや編集関係者のいる場所を問わず、レビューやコメントができるようになる。

さらに、Ci Media Cloudは「DaVinci Resolve Studio」と直接連携できるプラグインを、2025年2月より提供開始。これにより、Ci Media Cloudに保存している映像素材の編集、検索、プレビュー、新しいカットの共有など様々な操作をノンリニアビデオ編集ソフトウェアから直接できるようになる。

個人向けのCreators' Cloudでは、動画クリエイターの撮影から制作全般をサポートする最新のクラウドサービスを展示。ワイヤレス映像モニタリング・リモートコントロールができる「Monitor & Control」では、最新のソフトウェアアップデート(Ver2.3)で電子切り出しフレーミング機能(対応機種:PXW-Z200、HXR-NX800)や、モバイル端末上のフォーカスマップの解像度向上などの機能拡充を実施する。

VENICEエクステンションシステム Mini

VENICEエクステンションシステム Mini

デジタルシネマカメラの最上位モデルであるCineAltaカメラ「VENICE 2」のカメラヘッド延長システムが「VENICEエクステンションシステム Mini」。VENICE 2(8K)と同等の8.6KフルサイズCMOSセンサーを内蔵しながら、既存モデルに比べ約70%小型化を実現。新開発の脱着式ケーブルも備え、VENICEエクステンションシステム MiniとVENICE 2を複数台使用する事で、人の瞳孔間距離に近い自然な立体映像や、VFX背景等の空間コンテンツ制作が可能になる。

PTZカメラの「BRC-AM7」は、ファームウェアアップデートVer. 2.00(2025年7月提供予定)によりPTZ オートフレーミングを用いたAI自動撮影で、新たな機能を追加。被写体の視線方向に余白を設ける目線空け効果や、最大8人までの被写体を自動認識する複数人オートフレーミング機能を搭載。また、特定の人物の顔登録や追尾範囲指定機能に加え、リモート制作用にCNA-2にも対応し、より柔軟な撮影が可能になる。

この他「BRC-AM7」と「FR7」はリモートでのカメラ操作と撮影設定の変更が可能なソフトウェアの開発キット群「Camera Remote Toolkit」の新バージョンに、2025年初夏に対応予定。

マスターモニターが進化し、異なるモニター間で設定コピーが可能に

マスターモニター

フラッグシップモデルの31型4K液晶マスターモニター「BVM-HX3110」は、ファームウェアアップデートVer2.0により、運用効率を大幅に向上する無償の機能強化を6月末に予定している。

昨年9月に発表し、2025年夏に発売予定の17型4K液晶マスターモニター「BVM-HX1710」と「BVM-HX1710N」にも同様の機能強化を実施予定。サイドバイサイド表示機能を強化し、4K信号同士もしくは4KとHDの映像を比較することが可能になる。

BVM-HX3110、BVM-HX1710、BVM-HX1710Nの異なるモニター間で設定コピーが可能になり、複数台のモニター間の設定効率を向上。最大輝度設定についても、4,000nitsから400nitsまでの8段階に細分化される。

さらに、伝送性能と音質を強化したというデジタルワイヤレスマイクロフォン「DWM-30」を展示。こちらは既に発売している。

バーチャルプロダクションなどの制作を効率化する新たなカメラトラッキングシステムや、「Virtual Production Tool Set」の次期バージョンも展示。新たなカメラトラッキングシステム「OCELLUS」も用意。複数センサーにより安定したマーカーレストラッキングを屋内外で実現し、バーチャルプロダクションなどの空間コンテンツ制作を効率化する。

「Virtual Production Tool Set」の次期バージョンを先行展示。Crystal LED撮影時の視野角による色シフトをカメラトラッキングデータを元に、リアルタイムで補正する機能では、L字型のLEDウォール撮影時でも適切な色再現が可能になる。。「即時性が求められるバーチャルプロダクションにおいて、新開発のレイトレーシング高速化技術により高品質・低コストなCG背景描画を実現する」という。