薄型TV・レコーダは台数/金額とも前年比増。BCN調査

-単価下落が需要底上げ。PCなど不調で「明暗わかれた」


BCNアナリストの道越一郎氏

4月8日発表


 株式会社BCNは8日、家電量販店など全国22社、2,319店舗(2009年3月時点)のPOSデータを集計した「BCNランキング」のデータを基に、薄型テレビとBD/DVDレコーダ、パソコン、デジタルカメラのデジタル製品の市場分析結果を発表した。

 同社アナリストの道越一郎氏は、不況といわれている昨今の状況の中で、デジタル製品の販売動向について、「製品ジャンル別に好調/不調とバラツキがある。“明暗”がわかれた」とした。

 デジタル家電やパソコン関連など116品目の実売データから、平均販売単価と販売価格の前年同月比をまとめた「BCN指数」の推移から、デジタル家電全体に関しては、復調傾向にあるとし、「マイナス幅は着実に縮小し、単価下落も一服感。明るい兆しが見える」と説明。

 また、GDPの主要内訳別前年同期比伸び率を引き合いに出し、「消費者支出の落ち込みはまだそれほどでもない。この個人消費の影響がデジタル家電の足元を支えている」と述べた。ただ「今年の夏あたりから、個人消費に対して不況の影響があるのではないか」とも語り、見通しとしてはこの状況は今後は続かないとしている。

製品ジャンル別に“明暗”分かれたというBCN指数でみるデジタル家電の販売動向GDPの主要内訳。個人消費はまだ落ち込んでいないと説明

■薄型テレビとBDレコーダは“明”

 薄型テレビは2008年12月を底に、2009年3月には台数ベースで134.9%(前年同月比)まで急速的に回復。金額ベースでも117.1%(同)と伸長した。平均単価を見てみると、2008年の11月より下落傾向が続き、'09年3月では98,000円と10万円を割った。道越氏は「テレビの低価格化により単価が下がり、その影響が薄型テレビの需要の底上げに繋がってきている」と分析している。

 液晶テレビを見てみると、'09年3月に台数ベースで134.6%(前年同月比)、金額ベースで115%(同)とプラス伸長が続いている。平均単価は下がってきているが、この影響で台数も金額も伸びているとしている。

 プラズマテレビも今年に入り、好調を維持。'09年3月は台数、金額ともに前年同月より3割増の実績となった。また昨年より落ち込んでいた平均単価も'09年2~3月度にかけて上昇。2月に約15万円だった単価が、3月度には約167,000円まで増加した。これは主要販売サイズがより大型にシフトし、価格が上がったことが要因だとしている。

薄型テレビの全体の販売台数/金額と平均単価液晶テレビの全体の販売台数/金額と平均単価プラズマテレビの全体の販売台数/金額と平均単価

 薄型テレビ全体の価格帯別販売台数では、6万円未満がシェアを拡大。'08年3月に13.6%のシェアだったのが、'09年3月には33.2%と、1年で約20ポイント上昇し、全体の3割超を占めるまでになった。

 サイズ別構成比では、30~40型が引き続きシェア1位を獲得。新生活シーズンの影響で20~30型のシェアも伸びてきており、'09年3月は32.6%と1年ぶりに3割を占めた。

 メーカーシェアを見てみると、シャープが独走を維持。しかし、昨年まで40%以上を保っていたシェアが、今年に入ってから微減。'09年3月には39.8%と4割を切っている。2位争いはソニーとパナソニック。さらに、この2番手グループの一角を占めるまでに伸びてきている東芝が、この後に続いている。

薄型テレビ全体の価格帯別販売台数構成比

サイズ別の構成比

メーカーシェア


レコーダの販売台数/金額と平均単価

 BDやDVD、HDDなどを含むレコーダも薄型テレビと同様に、'08年12月をボトムに回復傾向が続いている。'09年3月を見てみると、台数が129.6%(前年同月比)、金額が127.9%(同)と、3割近い伸びを上げた。

 このジャンルを牽引しているBDレコーダは、平均単価が9万円前後まで下落。このことが、ほかのレコーダからの買い替え需要を押し上げているとしている。BDレコーダの'09年3月の売上構成比を見ると、金額でレコーダ全体の約75%、台数で約60%と順調に拡大。同社では「市場はBDに切り替わった」と分析している。

 メーカー別のBDレコーダの販売台数シェアを見てみると、'09年3月の実績ではパナソニックが35.2%、シャープが33.9%で、この2社がトップを争っている。そのあとに28.4%でソニーが続く。

レコーダの販売台数構成比

メーカーシェア


■ デジカメとPCは“暗”

PCについて説明する森英二氏

 デジタルカメラはここ1年、金額の前年割れが続いていたが、'09年3月には台数も98%(前年同月比)と前年割れとなり、苦戦が続いている。なかでもコンパクトデジタルカメラの不調がこの落ち込みに大きく影響している。ただこの春、ハイスピード撮影などの新機能を投入する新製品が発売されることで、買い替え需要を引き起こすことが期待できるとしている。

 デジタル一眼は08年11月から金額の前年割れが続いていたが、09年3月には105.9%(同)とプラスに転じた。これはキャッシュバックキャンペーンなどの年度末の拡販策が功を奏した結果だとしている。

 PCも苦戦が続いている。台数ベースでは前年を超えているものの、伸び率は縮小傾向。09年1月に134.4%(同)だったのが、3月には119%(同)まで落ち込んできている。また金額ベースではマイナスが拡大。3月の金額実績は対前年で88.9%。これはノートPCの減速が全体に影響したとみている。

デジタルカメラの販売台数/金額と平均単価PCの販売台数/金額と平均単価

(2009年 4月 8日)

[AV Watch編集部 大類洋輔]