台湾AUOが薄型ディスプレイ「FED」の技術資産を取得

-放送などハイエンド市場向けの製品化を目指す


左からFET長谷川社長、AUO Chen CEO、FET Japan Yamazaki社長

1月20日発表(現地時間)


 台湾の液晶パネル大手AU Optronics(AUO)は20日(現地時間)、「FED」(Field Emission Display/電界放出ディスプレイ)方式のディスプレイの技術資産を、エフ・イー・テクノロジーズ(FET)とFET Japanから取得したことを発表した。取得金額については明らかにしていない。

 FETが開発してきた「ナノスピント型FED」は、電子を蛍光体に衝突させて発光させるというブラウン管に近い自発光方式のディスプレイ。元々、ソニーが次世代ディスプレイとして'99年から開発を進めてきたが、ソニー社内で液晶と有機ELをディスプレイ事業の中心に据えることが2005年に決定。その技術継承や事業化に向けて、ソニーと投資ファンドなどが共同でエフ・イー・テクノロジーズを2006年12月に設立し、FED事業化に向けた研究開発などに取り組んでいたが、2009年に事業立ち上げを断念していた。

 AUOは、FED関連の技術や素材に関する特許やノウハウ、関連施設を取得。高速な応答性能や輝度、コントラストなどの優位性を活かした画質や、電源効率の高さを武器に将来のハイエンドディスプレイ技術と位置付け、協力に推進していく方針。AUOのL.J.Chen CEOは、「AUOは様々なディスプレイ技術を顧客に提案できるよう開発に取り組んでいる。FED技術は、医療や放送用ディスプレイなど、ハイエンドマーケットに最適だ。ソニーがFEDをリードしてきたが、今後AUO自身が新技術開発に取り組み、商品開発に取り組む」と技術取得の意義を説明している。

2007年のCEATECで展示された240fps対応FED2006年の初披露時のFED

(2010年 1月 21日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]