ビクター横浜工場売却。Everio国内生産を終了

-JVCケンウッド中期経営計画。ファブレス化を推進


5月28日発表


 JVC・ケンウッド・ホールディングスは、同社と日本ビクターが本社をおく横浜工場を売却することを発表した。JVCケンウッドの中期経営計画策定とともに発表された。 


■ ビクター横浜工場を売却

 JVCケンウッドとビクターが本社をおく横浜工場(横浜市神奈川区守屋町三丁目12番地)を佐川急便系の不動産会社「SGリアルティ」に譲渡。譲渡価格は63億3,300万円。これにより、JVCケンウッドは有利子負債の圧縮を図るとともに。老朽化が進んでいる同工場内の建物から移転する。

ビクター横浜工場

 そのため、今後建物を継続した場合に見込まれる耐震、防水対策等の費用が大幅に軽減されることに加え、これまで同工場内の複数建物に分散していた、JVCケンウッドとビクターの本社関連部門、事業部門の管理部門などを最適配置させ、効率化を図るとする。移転は2010年12月末までに完了予定だが、移転先については未定としている。

 なお。今回の譲渡には隣接するビクター入江工場と勤労会館は含まれていない。 


■ 中期経営計画発表。カムコーダ国内生産終息。ディスプレイはタイに本社移転

 2010年~2012年度までの中期経営計画も発表し、ビデオカメラ「Everio」の国内生産終息や、ディスプレイ事業のファブレス化推進などが明らかにされた。

 経営基盤を再構築し、「AV専業メーカーとして、新たなポジションを確立し、成長を実現するため、事業の選択と集中およびビジネスモデルの転換を行なう」としており、日本ビクターとケンウッドの共通事業(カー/ホームエレクトロニクス)だけでなく、非共通事業や新商品開発でのシナジー創出を図っていくとする。

 不採算事業については、Everioなどのカムコーダ分野、ディスプレイ分野、ビジネスソリューション分野で改革を行なう。

 カムコーダについては、横須賀工場における生産を2010年度上期で終息し、国内生産を終了。下期からは全面的に海外生産に移行するとともに、外部委託生産を拡大する。なお、横須賀工場はビジネスソリューションとプロジェクタの生産工場となる。

 カムコーダの海外生産のため、ビクターマレーシア工場をカメラ系専用工場と位置づけ。カムコーダのほか、セキュリティカメラなどを製造する。従来マレーシア工場で生産していたホームオーディオ製品はファブレス化を推進する。

 こうした生産体制の改革に加え、欧州を中心に販売網を再編。カムコーダの製品戦略では、新開発プロセッサを新しいプラットフォームとしてコスト競争力と商品競争力の強化を図り、スチルカメラを含む新カテゴリ商品の開発により、世界第2位のプレゼンス強化を図るとする。

 ディスプレイ分野は、ファブレス化を推進。一極集中生産拠点としてタイ工場に事業本社機能を分社、移管し、競争力強化を図ったうえで、他社との連携を含むパートナー戦略を推進する。ビジネスソリューション分野では、ケンウッドの業務用無線とビクターのビジネスソリューションを統合運営し、新しいソリューション展開を図るとする。

 人員体制においても、グループ全体で千数百名程度の人員再配置、グループ外転出、削減を行なう。

 中期戦略としては、カーエレクトロニクスと業務システムを強化。両事業の合算売上構成比を経営統合時の40%から60%までひき上げ、営業利益130億円を目指す。コンシューマエレクトロニクスについては、ファブレス化推進により、マーケティング、商品企画、開発、販売へ集中。早期の採算化を図るとする。さらに「カタ破りをカタチに。」の企業ビジョンを具現化する新製品を市場投入し、新規開発を推進するとしている。

 こうした中期経営計画に基づき、2010年度の経常利益黒字化、2011年度の純利益黒字化、2012年度の売上高4,500億円、営業利益145億円、純利益45億円を目指す。


(2010年 5月 28日)

[AV Watch編集部 臼田勤哉]