オーテク、漆塗りヘッドフォンなど50周年記念モデル
-木を取り入れたイヤフォンやカートリッジも
創立50周年記念ヘッドフォン「ATH-W3000ANV」 |
オーディオテクニカは13日、創立50周年記念モデルとして、ヘッドフォンやカナル型(耳栓型)イヤフォンなど、多数の新製品を発表した。いずれも限定販売となる。ヘッドフォンはアサダ桜を使った「ATH-W3000ANV」で、価格はオープンプライス。店頭予想価格は10万円前後。イヤフォンは「ATH-CKW1000ANV」で、価格はオープン。店頭予想価格は4万円前後。
ラインナップと発売時期、店頭予想価格は下表の通り。
ジャンル | 型番 | 全世界 限定 | 特徴 | 店頭予想価格 | 発売時期 |
ヘッドフォン | ATH-W3000ANV | 2,000台 | アサダ桜ハウジング 53mm径ドライバ | 10万円前後 | 11月18日 |
ヘッドフォンアンプ | AT-HA5000ANV | 200台 | A級1,200mW×2ch アサダ桜&漆塗りパネル | 20万円前後 | 11月18日 |
カナル型イヤフォン | ATH-CKW1000ANV | 2,500台 | 14mm径ドライバ ハウジングに木製パーツ | 44,800円前後 | 11月18日 |
DJヘッドフォン | ATH-PRO700MK2ANV | 2,800台 | 黒と金のプレミアムデザイン 53mm径ドライバ | 27,000円前後 | 11月18日 |
MC型カートリッジ | AT50ANV | 500台 | 空芯型MCカートリッジ | 15万円前後 | 11月18日 |
VM型カートリッジ | AT150ANV | 500台 | サファイアパイプカンチレバー マイクロリニア針 | 5万円前後 | 11月18日 |
ヘッドシェル | AT-Ti15ANV | 350台 | 高精度純チタン削り出し | 2万円前後 | 11月18日 |
ジャンル | 型番 | 国内限定 | 特徴 | 価格 | 発売時期 |
車載用 RCAケーブル | AT-RX50A | 640本 | AIR SPACE INSULATION SYSTEM クワトロハイブリッド導体 | 1.3m:63,000円 2m :73,500円 3m :94,500円 5m :126,000円 | 11月18日 |
車載用 スピーカーケーブル | AT-RX50S | 700本 | AIR SPACE INSULATION SYSTEM クワトロハイブリッド導体 | 6m :89,250円 | 11月18日 |
車載用 同軸デジタルケーブル | AT-RX50C | 170本 | 3重シールド構造 | 2m :84,000円 4m :99,750円 6m :115,500円 | 11月18日 |
なお、イヤフォンやヘッドフォン以外にも、マイク、すしメーカーなど、同社が手がけている様々な機器で50周年記念モデルが用意される。
■ATH-W3000ANV
密閉型ヘッドフォン。ハウジングに越前漆仕上げを施した、北海道産アサダ桜の心材を使用。木製ハウジングによる、木の響きが楽しめるモデルとなる。不要な微細振動を抑制するため、フレームには剛性の高いマグネシウムを使用。
ユニットは専用設計の53mm径で、強磁力マグネットを採用。ドライバーユニットの磁気回路には磁性材料のパーメンジュールを使っている。出力音圧レベルは102dB。再生周波数帯域は5Hz~42kHz。最大入力は2,000mW。インピーダンスは40Ω。
ケーブルは左右両出しで、左右独立アース線(4芯)構造を採用。長さは3m。イヤーパッドにはスペイン産のラムスキンを使用している。ケーブルを除いた重量は約340g。入力端子は標準プラグで、50周年記念ロゴをあしらった木製プラグとなっている。
「ATH-W3000ANV」 | イヤーパッドはスペイン産のラムスキン | ケーブルは左右両出しで、左右独立アース線(4芯)構造を採用 |
50周年記念ロゴをあしらった木製プラグ | ハウジングの漆塗り工程 | 発表会場には蒔絵をほどこしたモデルも展示された |
■ファーストインプレッション
発表会場で短時間ではあるが、試聴できたので、印象をお伝えしたい。木製ハウジングを採用しているため、木の響きをメインとした、ゆったりしたサウンドを連想するが、実際に聴いてみるとトランジェントが良く、ハイスピードな極めて現代的なサウンド。同時に、ギターやヴォーカルの響きに独特の温かさがあり、木製ハウジングらしさを感じさせる一面もある。かといって、響きに中高域の細かな描写が覆い隠される事は無く、確かな描写能力と、味のある響きのキャラクターが、良好なバランスで両立されている。
■AT-HA5000ANV
北海道産アサダ桜に、越前漆塗りを施したフロントパネルを採用したヘッドフォンアンプ。A級動作のアンプで、出力は1,200mW×2ch(32Ω)。出力段にハイパワーMOS-FETを採用している。推奨負荷インピーダンスは16~600Ω。
周波数特性は5Hz~200kHzとワイドレンジで、SACDなどの超高域にも対応するという。入力はアナログライン(RCA)のみ。出力端子は標準ジャックを2系統備えている。
AT-HA5000ANVのフロント | 発表会場では内部も展示された |
トランス部分には、微細な不要振動を低減するチタンプレートを使用。アクワイエ制振材も採用し、振動を極限まで抑えたという。
電源ケーブルはインレットタイプ。金メッキ線と6NのOFC、OFC線を組み合わせた、専用設計のトリプルハイブリッド電源ケーブルを同梱する。全高調波歪率は0.006%。SN比は117dB。消費電力は30W。外形寸法は270×240×93mm(幅×奥行き×高さ)。重量は4.9kg。
■ATH-CKW1000ANV
ダイナミック型ユニットを採用したカナル型イヤフォン。同日に発表された「ATH-CKM1000」をベースにした特別モデルで、ハウジングのロゴマークがある部分にウッドを、その周囲をとりまくような筐体部分にチタンも使った、ハイブリッドハウジングを採用している。不要振動を抑えると共に、「小さなボディだが、豊かな森の響きが楽しめる」という。
ATH-CKW1000ANV | ハウジングのロゴマークの部分にウッドを使っている | 筐体の形状は「ATH-CKM1000と同じ |
ユニットは14mm径。磁気回路には高磁性材パーメンジュールを採用。ケーブルにはスタッカード撚り線を使い、ノイズの少ない信号伝達を実現したという。
出力音圧レベルは103dB/mW。再生周波数帯域は5Hz~30kHz。最大入力は200mW。インピーダンスは17Ω。ケーブルはY型で、長さは60cm。60cmの延長ケーブルも同梱する。入力はステレオミニで金メッキ仕上げ。ケーブルを除いた重量は約11g。
イヤーピースはシリコンで、サイズはXS/S/M/L。専用ポーチ、クリーニングクロスも同梱する。
■ファーストインプレッション
音の傾向は同日発表された「ATH-CKM1000」と似ているが、響きに違いがあり、CKW1000ANVには木を使うことで、響きに温かみが加味される。だが、高域がナローになったり、分解能が低下することはなく、情報量の多さは維持されている。基本能力が高く、なおかつ個性も併せ持ったモデルと言えるだろう。
■ATH-PRO700MK2ANV
ATH-PRO700MK2ANV |
既発売のATH-PRO700MK2に、特別なデザインを施した限定モデル。黒をベースに、ゴールドのロゴマークなどを採用している。
ヘッドフォンとしての仕様は既発売のモデルとほぼ同じ。DJプレイのための音質や装着感を突き詰めたというモデルで、専用設計の高耐入力、高音質の53mm径ドライバユニットを搭載。DJ用の機能として、ハウジングが50度/90度に回転する機構を備えている。
ハウジングは密閉型。出力音圧レベルは107dB/mW。最大入力は3,500mW。再生周波数帯域は5Hz~35kHz。インピーダンスは40Ω。
ケーブルを除いた重量は約340g。ケーブルをネジ留めの着脱式としており、DJプレイ時にはカールコード、ポータブルヘッドフォンとして使う場合はストレートケーブルといった、使い分けができるようになっている。ケーブルは片出し。
製品には1.2mのカールコードと、1.2mのストレートケーブルの2本を同梱。キャリングポーチなども付属する。接続プラグはステレオミニで、標準プラグへの変換コネクタも同梱する。
■カートリッジとヘッドシェル、ケーブル、その他
「AT50ANV」は、コイル巻枠に非磁性のチタンアーマチュアを採用した、同社初の空芯型MCカートリッジ。「空芯型特有の透明感のある音質と、立体的な音場表現が特徴」としている。従来モデルとの体積比で2倍となる強力なネオジウムマグネットと、新開発の磁気回路により、中低域を豊かに再生できるという。
「AT150ANV」は、0.4φサファイアパイプカンチレバーと、マイクロリニア針を採用したVM型カートリッジ。独自のカッターヘッドと相似形動作のVM型で、バランスが良く、優れたチャンネルセパレーションを実現したという。
ヘッドシェルの「AT-Ti15ANV」は、ヘッドシェル本体に高精度純チタン削り出し材を使用。リード線には金クラッド、7NのOFC、PCOCC、OFCを配合したAT6106を使っている。
AT50ANV | AT150ANV | AT-Ti15ANV |
ケーブルはいずれも車載用。RCAケーブル「AT-RX50A」と、スピーカーケーブル「AT-RX50S」は、AIR SPACE INSULATION SYSTEMを採用し、クリアでヌケの良い音質を実現したという製品。金クラッド線と6N-OFC、PC-OCC、OFCを組み合わせたクワトロハイブリッド導体を使用している。
同軸デジタルケーブル「AT-RX50C」は、金メッキOFC導体線を信号ラインの芯線全てに使用。ノイズに強いアルミシールドに、OFC導体の二重シールドも使用した三重構造としている。
RCAケーブル「AT-RX50A」 | スピーカーケーブル「AT-RX50S」 | 同軸デジタルケーブル「AT-RX50C」 |
マイクにも50周年記念モデルを用意。写真はコンデンサ型マイクに、漆塗りと加賀蒔絵を施した「AT4050URUSHI」(12月発売) | 海外限定で販売されるプロ用モニターヘッドフォンも50周年記念モデルとして用意。型番は「ATH-M50s/LE」。2012年1月の発売を予定している |
カラオケ用マイク(左)や、会議用マイク(右)にも50周年記念モデルが | すしメーカー(業務用シャリ玉成形機)も同社が得意とする製品。そのすしメーカーにも50周年記念モデルが用意される |
(2011年 10月 13日)
[AV Watch編集部 山崎健太郎]