ソニー、USB DAC機能付き9.1ch AVアンプ「TA-DA5800ES」

-仮想フロントハイ対応。7.1chの「STR-DN2030」も


9.1chの「TA-DA5800ES」

 ソニーは、AVアンプの新モデルとして、9.1chの「TA-DA5800ES」と、7.1chの「STR-DN2030」を発売する。発売日と価格は、「TA-DA5800ES」が11月10日で273,000円、「STR-DN2030」が10月25日で84,000円。




■9.1ch「TA-DA5800ES」のみの新機能

 「TA-DA5800ES」は「TA-DA5700ES」の後継モデル。従来は7.1chアンプだったが、9.1ch化されたのが特徴。第4世代の新設計「広帯域パワーアンプ」となり、帯域特性や信号回路を見直したという。

 9.1chアンプになった事で、従来はどちらかを選択する必要があったフロントハイスピーカーとサラウンドバックスピーカーが同時に利用できるようになった。これにより、ソニー独自の音場モード「HD-D.C.S.」やフロントハイスピーカーを活用した最新のサウンドフィールドが活用できるようになったという。

 さらに、フロントハイスピーカーが設置されていない場合に、仮想的に生成する「バーチャル・フロントハイ」機能も装備している。

 フロントハイスピーカーや、バーチャルのフロントハイスピーカーを用いて、様々な機能が利用可能。「ムービーハイトモード」、「ボーカルハイトモード」、ドルビーTrue HDなどのHDサラウンドなどで、フロントハイスピーカーが受け持つ音声を、バーチャルスピーカーから再生する事ができる。

 「ムービーハイト」は、センター、フロントL/Rチャンネルの音を高く、広い位置に再配置。サラウンドチャンネルとの融合性も高め、映像と音声の一体感や包囲感に優れるというモード。残響を付加しないで、大きな空間に存在する反射音成分を再現することで構成されており、映画だけでなく、ドラマやニュースなど、普通のテレビ放送でも効果が得られるという。実際にフロントハイスピーカーが無くても、バーチャル・フロントハイスピーカーを用いて使う事ができる。

 ボーカルハイト機能は、音楽ソフトを臨場感豊かに再現するモード。歌手の声を、スクリーンなど、映像の位置と同じ所から自然に出すことで、リアルな音場が再現できるという

 また、TA-DA5800ES/STR-DN2030の両モデルに搭載する機能として、「センタースピーカーリフトアップ」を用意。センタースピーカーの音を持ち上げ、プロジェクタを利用している場合は、スクリーンの真ん中などから音を出すことができるもの。高さは10段階で調整でき、「A.P.M(オートマチック・フェーズ・マッチング)」機能と組み合わせ、各スピーカー間のつながりも向上させている。

 さらに「TA-DA5800ES」のみ、USB DAC機能を搭載。PCとAVアンプをUSB接続する事で、PCなどに保存されている音楽を、AVアンプから高音質で再生できる。最高で24bit/192kHzまで対応する。なお、そのために専用のドライバソフトをインストールする必要がある。



■「TA-DA5800ES」と「STR-DN2030」に共通する特長

7.1chの「STR-DN2030」

 両モデルで、コンサートホールモードを搭載。世界的に有名なホールの臨場感を再現する機能で、具体的には「Berlin Philharmonic Hall」、「Concertgebouw Amsterdam」、「Musikverein Vienna」のホールモードを装備。いずれも8ポイントマイクによる測定、残響、反射成分の分析を行ない、ホールの音場を再現したもので、2chのステレオ音源を、マルチチャンネル音場に変えて再生できる。

 例えば、2ch音声でストリーミング配信されているベルリン・フィルの番組を、ベルリン・フィル・ハーモニックホールの残響特性を付与してマルチチャンネル再生する事も可能。効果はLOW/MID/HIGHから調整可能。

 他にも、聴感補正技術の「サウンド・オプティマイザー」を搭載。家庭での映画鑑賞時の再生音量は、映画制作時の音量と比べて小さくなるのが一般的だが、人間の耳は、音量が小さくなると低音・高音が聴こえにくくなる一方、中域の音は若干聴こえ方がよくなる。この特性に着目したのが、聴感補正技術のサウンド・オプティマイザー。

 映画制作時の基準音量と、現在出力されている音量との違いが原因で発生する聴感上の違いを補正する技術で、同社の音場補正技術「D.C.A.C.EX」の測定値をもとに、アンプのボリューム値に応じて常に最適な聴感補正を行ない、小音量で映画鑑賞をしても制作者が意図した広がりや迫力に近いサラウンド音場が楽しめるという。




■ネットワークオーディオ機能も搭載

 前面に備えたUSB端子に、ウォークマンやiPhone/iPod touchを接続することで、デジタル伝送し、AVアンプ側で高音質再生が可能。USBメモリなどに保存したWAV/MP3/WMA/AACに対応するが、DRM付き楽曲には非対応。フロントUSBからの再生は、24bit/96kHzまでの対応となる。

 ネットワークオーディオ機能も備え、DLNAサーバーなどに保存されたコンテンツを再生できる。再生対応フォーマットは、FLAC/WAV/MP3/WMA/AACで、FLACとWAVは24bit/192kHzまで対応。5.1chで24bit/192kHzのFLAC/WAVも再生できる。さらに、スイッチングハブ機能を搭載し、音源となるネットワークHDDやPCをAVアンプと直結して再生する事も可能。

 使わないEthernet端子をOFFにしてノイズを低減する「LANポートアクチベーション」も利用できる。また、DA5800ESのネットワークエンジンには、大型のヒートシンクを採用。ファンに頼らずに温度上昇を抑え、振動が原因で発生する音への影響を排除した。

 YouTubeやgoo映画、日本経済新聞電子版の映像ニュースなど、ネットワーク動画の再生も可能。有料の配信サービスでは、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の楽曲を楽しめる「デジタル・コンサートホール」や「Sony Entertainment Network(SEN)の映像配信サービス「Video Unlimited」などの再生機能も備える。



■スマホからの操作も

 iOS/Android端末向け無償アプリ「ES Remote」も用意。アンプ本体と共通のデザインを採用したアプリで、AVアンプの基本操作やサウンドフィールドの切替、ネットワーク経由で再生するコンテンツ操作なども行なえる。



■その他

 HDMI高速切替機能「fast View」を搭載。これは、HDMIの認証を事前に済ませる事で、HDMIのソース切替が瞬時にできるようになるもの。さらに、シリコンイメージのInstaPrevueにも対応し、HDMIプレビューが利用可能。画面の隅に表示される個画面に、HDMI接続されている機器の再生映像を表示できるもので、どのような映像が出力されているかまとめて確認してから、入力ソースを選択できるもの。入力のファンクション名は最大8文字まで設定できる。

 HDMI入力は、4Kのパススルーに対応。4K対応のビデオソースからAVアンプにHDMI入力された映像を、4Kのまま、4K対応テレビ/プロジェクタなどに受け渡す事ができる。また、480i/480p/720p/1080iで入力された、アナログのコンポジット/コンポーネント入力を、4KにアップスケールしてHDMI出力する事もできる。

 ゾーン機能もサポート。AVアンプから、メインルームに音や映像を出す以外に、セカンドルームもまなかおうという機能で、従来はセカンドルーム用に、アナログ音声/映像の出力を備えていたが、新モデルではHDMにも対応。IHDMI経由で、高精細な映像と、最大24bit/192kHzまでの音楽データが伝送できるようになる。

 セカンドルームに別のAVアンプがある場合、そのアンプに対してHDMI出力する事で、セカンドルームでも本格的なシアターが構築できる。

モデル名TA-DA5800ESSTR-DN2030
価格273,000円84,000円
最大出力160W×9ch150W×7ch
USB DAC
24bit/192kHz対応
バーチャルフロントハイ
ムービーハイト
ボーカルハイト
センターSPリフトアップ
iPod/iPhoneデジタル再生
USBメモリ再生

(USBメモリ内音楽は
24bit/96kHz対応)

(USBメモリ内音楽は
24bit/96kHz対応)
スピーカー適合
インピーダンス
4Ω、またはそれ以上6Ω、またはそれ以上
HDMI入力×9、出力×2
Zone出力×1
入力×8、出力×2
Zone出力×1
入力端子コンポーネント×2
コンポジット×5
光デジタル×3
同軸デジタル×3
アナログ×4
Phono(MM)×1
7.1chアナログ×1
コンポーネント×2
コンポジット×3
光デジタル×2
同軸デジタル×1
アナログ×2
出力端子映像モニター×1
コンポーネント×1
コンポジット×1
レックアウト×1
ヘッドフォン×1
映像モニター×1
コンポーネント×1
コンポジット×1
ヘッドフォン×1
Ethernet端子4系統4系統
消費電力約230W約200W
外形寸法
(幅×奥行き×高さ)
430×420×187.5mm430×383×162mm
重量約18.5kg約12.2kg

(2012年 9月 3日)

[AV Watch編集部 山崎健太郎]