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Hulu、Apple TV用画面を刷新。検索/続き再生しやすいUIに

「ユーザー体験」と「画質」へのこだわりとは

Apple TVと、Huluの新UI画面

 フール―ジャパンは、Apple TVで動画配信のHuluを視聴するためのユーザーインターフェイス(UI)を3月20日よりリニューアル。動画の探しやすさを向上させるアップデートを行なった。なお、新UIへの対応にApple TV側のアップデートなどは不要で、Huluアイコンをクリックすれば起動する。

 これまでは、Apple TVの「ムービー」アプリに近いレイアウトだったが、新UIは、HuluのWebサイトやWii U、Android版アプリのように、多くのコンテンツが表示されるUIに変更し、作品を探しやすくなったことが大きな特徴。

 トップには、「ナビゲーションバー」を追加。そこから「テレビ番組」、「映画」、「マイリスト」、「視聴履歴」、「設定」などのページへ移動できるようになった。また、最上段の「マストヘッド」と呼ぶ位置には、PC用のサイトと同様に、話題の新作や注目作品などを並べて表示している。

 これまでは作品を見るまでに多くの階層を移動しなければならなかったが、新UIでは、上のナビゲーションバーから「テレビ」や「映画」などを選ぶと、そこから「人気順」、「新着順」にコンテンツを表示して素早く選べるようになった。観たい作品にカーソルを合わせてApple TVのリモコンの再生ボタンを押すだけで(作品情報などのページをスキップして)ダイレクトに再生を開始できる。Hulu対応端末のうち、このようにメニューからダイレクトに再生できるのは、現時点でApple TVのみだという。

 また、ドラマなど話数の多い番組では、ユーザーがどの回まで観終わったかが一目で分かるように、エピソード一覧の上に「番組を再開」の項目を設け、直前に再生を止めた部分から再開できるようになった。

 従来と同様に「おすすめ」機能も利用でき、映画の続編など同じシリーズの作品や、ジャンルが同じ作品などをおすすめとして表示。そのほか、後で観たい作品を「マイリスト」に入れておくこともできる。他のデバイスと共通のリストを使えるため、スマートフォンで探した番組をテレビで観ることも可能。キーワード検索も利用できる。

新UIのトップ画面。上にナビゲーションバーを表示
新UIでは、画面の右中央部にある「番組を再開」に、前回視聴途中だったエピソードが表示される
マイリストの画面。赤い丸で囲まれた数字は、エピソードの数を表す
選んだ作品の下には「おすすめ作品」を表示
視聴履歴の一覧
キーワード検索画面

Huluの「UI+体験」、「画質」へのこだわり

フール―ジャパン プロダクト部の福田剛部長

 今回のApple TV向け新UI提供開始に際し、フール―ジャパンのプロダクト部 部長を務める福田剛氏が特徴などを説明。今回のリニューアルを含め、Huluが重視する「UI + ユーザー体験」、「画質へのこだわり」などを聞いた。

 福田氏は日本国内において、今回のApple TVのようなデバイスごとのサービス開発や、新規デバイスへの対応開始などに携わるだけでなく、新たな決済方法の導入などまで、日本でのサービス全般に渡るとりまとめを行なっている。

旧UIのトップ画面は、文字のメニューが画面の半分近くを占め、作品を表示する部分が少なかった

 Apple TV向けの新UIは、従来に比べてトップページのコンテンツの表示に大きなスペースを割いており、観たい番組が決まっていなくても、サムネイルを見ながら何となく選べるようなスタイルになっている。なお、この変更は日米同時にスタートするという。

 例えば、Android/iOS版のHuluアプリには、自分の観ている番組を友人にシェアするという機能も用意されているが、Apple TV画面については「リビングのテレビでじっくり見るときの画面にフォーカスしている」とのこと。「各デバイスで同じようなサービスを展開するのであれば、同じWeb UIで提供するのは簡単だが、それではベストなユーザー体験にならない。Huluのプラットフォームは、いつでもどこでも観られて、続きからの再生やマイリスト共有などがシームレスに行なえ、UIは各デバイスに合わせてデザインしている」とし、他社サービスとの違いをアピールしている。

 画質については、モバイルでの視聴も含めて、デバイスや帯域の環境に合わせて最適な画質に調整して視聴できることも特徴とする。Apple TVで視聴する場合、映像のビットレートはコンテンツによって異なるが、HD(720p)などを用意している。

 特にモバイルでは使う場所によって通信速度などの環境が変わるが、配信用の動画エンコードは自社で行なっており、“エンコーディング職人”と呼ばれるフランス人の担当者がいるという。どの端末でもベストな環境で視聴できるように、動画は複数のビットレートのものを分けて用意。配信プラットフォームによって異なるファイルコンテナ、エンコーダ、DRMなどを適用する。エンコーディング職人は、ビットレートが低いながらも良い画質で、高速にエンコードできることを追求しており、「同じビットレートで、同じ端末で観ても、他社(の配信サービス)と比べて違う」とのこと。

 さらに、ロサンゼルスには日本人の「クオリティマイスター」が存在し、音声と動画のズレや、字幕のズレなどを含めた問題を配信する前にチェック。問題がある場合は各者の権限でリジェクト(不合格)するという。

 福田氏は、「観たお客さんが(画質の悪さで)コンテンツそのものにネガティブな印象を持ってしまうと、誰にとっても幸せではなくなってしまう。スタートアップから始めた会社なので、問題があってもすぐ解決するし、見ている方向が一緒なので、他の大きな会社と比べても(対応の)スピードが速い」とした。

 そのほか、作品数の増加に伴って重要度が増す「どうやって自分に合うコンテンツと出会うか」についても工夫がなされており、例えばPCサービスでは、3月15日から劇場上映が始まった「クラウド アトラス」のメイキング映像などをHuluだけで観られる特集を展開。同じトム・ハンクス出演、ウォシャウスキー監督の他作品などをおすすめ作品として観られる。「ただ作品を並べるのではなく、今後も、旬な作品などを“特集”や、(雑誌のように)編集した見せ方で提案していく」(江原槙子PRマネージャー)としている。

(中林暁)