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パイオニア、DSDネイティブ対応AVアンプ「SC-LX57」

ESS製DAC搭載で約18万円。12万円の「SC-2023」も

左から9.2chの「SC-LX57」、7.2chの「SC-2023」

 パイオニアは、ミドルクラスAVアンプの新製品2機種を7月下旬に発売する。価格は、9.2chの「SC-LX57」が187,000円、7.2chの「SC-2023」が120,000円。カラーはどちらもブラック。

 共通する特徴として、アンプ部に、多チャンネルハイパワー同時出力を可能にする「ダイレクト エナジーHDアンプ」を採用。使われているパワー素子「DirectPower FET」は、半導体チップを基板に直結させた独自の構造により、シンプルでクリーンな回路構成を実現している。

 新モデル開発にあたって、パーツの再選定や、それに伴う周辺回路部品/回路の再設計を実施。DirectPower FETの持ち味を活かすために、より純度の高い音声信号入力ができるようパーツを選び、出力段において悪影響を及ぼす部分でも品位をキープできるよう工夫したという。

モデル名SC-LX57SC-2023
最大出力310W×9ch310W×7ch
価格187,000円120,000円
オーディオスケーラー
(Hi-bit32 Audio Processing)
(Up-Sampling)
Digital Filter
Hi-Bit24
Audio Processing
フェイズコントロール
フルバンド
フロントUSB
からのDSD再生
2.8/5.6MHz対応
ダイレクト/PCM変換再生
2.8MHz
PCM変換再生
「SC-LX57」
「SC-2023」
「SC-LX57」に搭載されている「ダイレクト エナジーHDアンプ」

LX57はESSのDACを新搭載

 上位モデルのLX57は、カナダESS Technologyの32bit DAC「SABRE32 Ultra DAC」を全チャンネルに採用。「極めて高精度なD/A変換は、ダイレクト エナジーHDアンプの性能とも相まって、このクラスではかつてないクオリティの高音質再生を可能」という。なお、パイオニアの2chアンプ最上位モデル「A-70」にも同シリーズが採用されている。

「SC-LX57」
フロントパネルに「SABRE32 DAC」のロゴマーク
搭載されている「SABRE32 Ultra DAC」

 さらにLX57は、「オーディオスケーラー」機能も搭載。入力された音声を32bit/192kHz、または32bit/176.4kHz(CDを整数倍した場合)に拡張して処理する。好みに応じて解像度やサンプリングレート、フィルタ効果のマニュアル設定も可能。

 ビット拡張の「Hi-bit32 Audio Processing」と、サンプリングレートをアップして可聴帯域内のノイズを低減させる「Up-Sampling」、プリエコーを取り除いて音の輪郭をクッキリさせる「Digital Filter」で構成されている。なお、「オーディオスケーラー」機能をマニュアル設定で行なう場合、「Hi-bit32 Audio Processing」と「Digital Filter」機能はマルチチャンネル音声に対しても適用できる。

 AVアンプを制御できるスマートフォン向けアプリ「iControlAV 2013」にも、「オーディオスケーラー」操作機能を追加。サンプリングの切り替えなどを手軽に行なえる。また、アプリの「STATUS VIEWER」を使う事で、元データが「オーディオスケーラー」でどのように拡張され、再生されているかを確認する事も可能になった。また、アンプ付属のリモコンにも「A.SCALE」ボタンを新たに追加した。

 SC-2023は、音声信号を24bitまで拡張して処理する「Hi-bit 24 Audio Processing」を備え、CDや、24bit/48kHzまでの圧縮音楽再生時で利用できる。

「iControlAV 2013」でオーディオスケーラー機能を操作しているところ
アプリの「STATUS VIEWER」で、どのようにアップスケーリングされているかを確認できる
付属リモコンにも「A.SCALE」ボタンを追加

フロントのUSB端子からDSD再生

LX57のフロント部分

 両モデルとも、AirPlayとDLNAに対応。DLNA 1.5に準拠し、ネットワーク経由でFLAC/WAV/AIFF/Apple Lossless、MP3、AAC、WMAファイルの再生に対応。FLACとWAVは24bit/192kHzまでサポート。ギャップレス再生にも対応する。

 さらに、USB端子も備え、USBメモリなどに保存した音楽ファイルも再生可能。iPhone/iPad/iPodをUSB接続し、デジタル再生する事もできる。

 新機能として2機種とも、USBメモリなどに保存したDSDファイルを、フロントのUSB端子に接続し、直接AVアンプで再生できるようになった。フォーマットはDSDIFFとDSF、拡張子は.dffと.dsfに対応する。

SC-2023

 XL57とSC-2023で違いがあり、LX57は2.8MHzと5.6MHzの両方に対応するが、2023は2.8MHzのファイルのみをサポート。また、再生処理も、LX57はDSDのデータをDACに直接入力するダイレクト再生(ネイティブ再生)が可能だが、SC-2023はDSPでDSDをPCMに変換し、PCMデータとしてDACで変換する方式となる。

 DSD以外にも、フロントのUSB端子、もしくはネットワーク経由で様々な音楽ファイルが再生可能。AIFF/WAV/FLACは24bit/192kHz、Apple Losslessは24bit/96kHzまでのファイルが再生できる。

 また、2機種とも、SACDプレーヤーからHDMI入力された、2ch、および5.1ch音声の再生が可能。その際、PCMに変換して処理するだけでなく、LX57では新たに、DSDダイレクトの処理が可能になった。ただし、2chのみとなる。

4K表示でもオーバーレイ可能

LX57の内部

 最大出力は、LX57が310W×9ch(4Ω)、SC-2023が310W×7ch(4Ω)。バーチャルワイド/ハイト/サラウンドバック、という3つの仮想スピーカーを自動的に設定する事もでき、5.2chスピーカーの環境で、最大11.2chの仮想音場が作れる「バーチャルスピーカーズ」機能を搭載。3Dコンテンツでは、奥行き感に合わせた「バーチャルデプス」も利用可能。各仮想スピーカーを個別にマニュアル設定する事もできる。スピーカーは、4Ω~16Ωまでに対応可能。

 ユニットから出る音の位相を揃える「フェイズコントロールプラス」機能も進化。強くなった低域成分をユーザーがスマートフォンのアプリから調整できるほか、自動で設定する機能を利用した場合でも、どの程度調整されたのか調整値をチェックできるようになった。LX57は、スピーカー内で発生する低音と高音の時間的なズレや、チャンネル間で異なる位相特性をアンプ側で測定し、接続スピーカーの位相を全て揃える「フルバンドフェイズコントロール」も利用可能。

 HDMIは、LX57が入力×9、出力×3(同時出力可能)、2023が入力×8、出力×2。どちらも4Kのパススルー表示や、1080pや720p映像の4Kへのアップスケーリングも可能。

 表示している映像に、設定などをオーバーレイ表示する「シンプル オーバーレイ」も改善。新モデルでは、従来は非対応だった4Kアップスケーリング映像にも表示ができるようになったほか、各解像度に合わせて表示サイズも最適化された。

オーバーレイ表示のイメージ。下段のように改善された

 また、従来はHDMI出力の内、HDMI 1のみオーバーレイ表示が可能だったが、LX57では3系統の出力の中で、HDMI 1と2の2系統で表示が可能になった。新たにオーバーレイ表示が可能になったSC-2023では、HDMI 1のみとなる。なお、2機種とも、4Kパススルー表示や3D映像を出力する際、オーバーレイ表示はできない。

 フロントのHDMI端子は、MHL 2.0に対応。対応するAndroid端末などを接続し、ケーブル1本でフルHD動画などをスマートフォンから表示できる。

 メインルームとは異なる部屋で、メインルームとは異なるコンテンツが再生できる「ゾーン」機能も用意。LX57は9chの入力、2023は8chの入力を使用。サブルームでも、HDMIで入力した4Kや3Dの映像表示、マルチチャンネル音声再生が可能。

ゾーン機能のまとめ

Macユーザー対応強化。ECO機能も

 デコーダはHDオーディオに対応し、ドルビーTrueHD、DTS-HD MasterAudioなどに対応。DTS Neo:X(SC-2023はDTS Neo:X 7.1)にも対応する。

 Windows用に、初期セットアップなどが可能なソフト「AVNavigator 2013」を提供しているが、新たにMac向けの「AVNavigator for Mac」が追加。さらに、既に提供しているiPad版「AVNavigator」がフル機能版に進化。連動取説、説明動画が利用できるようになる。

 ECOモードも搭載。ピークボリュームを抑制して、使用時の消費電力を抑える「インテリジェントECOモード」や、スタンバイ時の消費電力削減も実施。「インテリジェントECOモード」は、音楽やネットラジオなど、平均音量レベルの高いコンテンツ向け、映画やライヴなどダイナミックレンジの高いコンテンツ向けと、2つのモードから選べる。

LX57の背面
LX57付属のリモコン
SC-2023の背面
SC-2023付属のリモコン
モデル名SC-LX57SC-2023
最大出力310W×9ch310W×7ch
HDMI入力×9 出力×3入力×8 出力×2
音声入力アナログ(オーディオ)×1
アナログ(AV)×4
光デジタル×2
同軸デジタル×2
映像入力コンポジット×4、コンポーネント×2
出力端子9.2chプリアウト×1
アナログ音声×1
光デジタル音声

マルチゾーン用音声×2
マルチゾーン用サブウーファ×1
マルチゾーン用コンポジット×1
マルチゾーン用
HDMI(HDZONE)×1
など
7.1chプリアウト×1
アナログ音声×1
マルチゾーン用音声×2
マルチゾーン用サブウーファ×1
マルチゾーン用コンポジット×1
マルチゾーン用
HDMI(HDZONE)×1
など
その他の端子USB、Ethernet、12Vトリガー、RS232C、IR
消費電力330W
(待機時0.1W)
290W
(待機時0.1W)
外形寸法
(幅×奥行き×高さ)
435×441×185mm
重量15.3kg14.7kg

(山崎健太郎)