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ソニー、波面制御サラウンドの最高峰7.1chサウンドバー

4K時代のプレミアム機「HT-ST7」。磁性流体+S-Master

HT-ST7

 ソニーは、テレビ向けサウンドバーシステムの最上位モデル「HT-ST7」を8月31日より発売する。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は13万円前後。同時発表の「HT-ST3」とあわせて、4K対応のサウンドバー プレミアムシリーズとして展開する。

 これまでのソニー サウンドバー製品は、5万円以下の普及価格帯で展開していたが、テレビの大型化や4K対応などが進む中、より音にこだわったサウンドバーとして「HT-ST7/ST3」を市場投入する。

 ディスクリート構成の7.1ch S-Masterデジタルアンプや、独自の磁性流体スピーカー、ワイヤレスサブウーファなどを搭載し、DTS-HD Master AudioやドルビーTrueHDなどHDオーディオのHDMI入出力や4Kパススルーに対応。サラウンド技術も新開発の“波面制御”を導入した「S-FORCE PROフロントサラウンド」を採用した。NFCやBluetoothにも対応する。

HT-ST7
HT-ST7。サブウーファとサウンドバーで構成される
HT-ST7利用イメージ

7ch磁性流体ユニット+S-Master+波面制御

センターに磁性流体ユニット×5、サイドに磁性流体ユニット×2の7ch独立駆動

 新開発の65mm磁性流体フルレンジユニット×5とウーファユニット×2と、20mmソフトドームツィータ×2を搭載したシアターバー部と、出力100Wのワイヤレスサブウーファから構成される7.1chホームシアターシステム。アンプはソニー独自のデジタルアンプ「S-Master」を搭載し、出力は50W×7ch+100W。

・磁性流体ユニット搭載のサウンドバー部

 サウンド面では、Effect(効果音)、セリフ(Dialog)、音楽(Music)の3要素を活かした映画音場の再現に注力。これらの要素は、試作機を聞いたソニー・ピクチャーズ(SPE)のサウンド・エンジニアからのアドバイスを取り入れたもので、特に「セリフの聞き取り」、映画の「包み込むような情報量ある音場再現」を強化したという。

 シアターバー部には、左右両端にウーファとツィータを装備するほか、センタースピーカーとして5つのフルレンジユニットを内蔵。フルレンジ/ウーファユニットは65mmの磁性流体ユニットで、これにより音の歪みを抑えるとともに、音圧を向上。特に高音域のボーカルの伸びなどで効果を発揮するという。

 シアターバー部のアンプは、ソニー独自のデジタルアンプ「S-Master」を7ch搭載し、出力は50W×7ch。

7chのユニットを搭載
サランネットを採用

 SPEのサウンド・エンジニアから指摘されたという、セリフの聞き取りや映画の情報量ある音場再現については、サラウンド技術の強化で対応した。ソニー独自のフロントサラウンド技術「S-FORCE PRO」は、新たに「波面制御技術」を追加した新バージョンのものを搭載した。

 従来のS-FORCE PROでは音の広がりを意識していたが、新S-FORCE PROの波面制御技術では、テレビ画面から音が波面状に広がり、音の密度感とともに広がりをもたせ、迫力ある音響体験が可能となる。

 HT-ST7では、複数のスピーカーを同一直線上に配置するアレースピーカー構成を採用しているため、この構成と波面制御を組み合わせることで、空間の位置関係や音の密度感などを大幅に向上。アレー構成で波状に音を放射するため、壁の反射音は利用しない。そのため、スイートスポットが広く、視聴位置にとらわれずに音を楽しめることから、家族大勢で見る時にも空間の広がりある音を楽しめるという。

アレー構成のセンター部
上部の操作ボタン

 また、サブウーファを含む7.1chのユニットはそれぞれに独立したS-Masterアンプを搭載したディスクリート構成として、チャンネル間の干渉や音の濁りを排除。DSPにより各ユニットを高精度に制御し、ユニットをドライブする。

7chをS-Masterで独立駆動
リモコン

 小音量再生時でも、聞き取りやすさと迫力を向上させる「サウンドオプティマイザー」を搭載。また、リモコンには「VOICE」ボタンを装備し、セリフ(センター成分)の聞こえ方を3段階で調整できる。

・ワイヤレスサブウーファにDSP内蔵

 サブウーファは2.4GHzワイヤレス方式で、自由な設置が可能。通信距離は10m。密閉型のエンクロージャを採用し、前面に180mmのメインユニットを、下面に200×300mmのパッシブラジエータを装備。密閉型の特徴を活かした素直な低音やキレと、パッシブラジエータによる低音の豊かな量感を両立させたという。

ワイヤレスサブウーファを採用
下面にパッシブラジエータ

 また、サブウーファ本体内ユニットの振動を制御するためのDSPを内蔵。映画の爆破シーンなどの大音量出力時には、サブウーファのユニットが大きく振動するが、その振動エネルギーはすぐに収まらないため、ユニット内の不要振動が歪みとなる。これを抑えるために、内蔵のDSPを利用。振動発生直後に、DSPの演算能力を活かしてユニットの振動を抑える処理を行ない、高精度に制御することで、歪みを抑える。

 サブウーファにDSPを内蔵したことで、ボリュームだけでなく、響きや音色の調整も可能となった。サブウーファトーン機能で、リモコンのSW TONEボタンから、TONE1(低音歪みをキャンセル=キレの良い低音)、TONE 2(標準的な低音)、TONE 3(低音を振幅を増幅し、映画などでダイナミックな低音を実現)の3種類が選択できる

NFCやBluetoothに対応。HDMIは4Kパススルー

側面にNFC

 サウンドバー側に、HDMI入力×3、光デジタル音声入力×2、同軸デジタル音声入力×1、アナログ音声入力(RCA)×1、HDMI出力×1を装備。HDMI入力はドルビーTrueHDやDTS-HD Master Audioなどのロスレスオーディオに対応し、サウンドバーとしては初めてDTSのDTS-HD Master Audioロゴを取得している。

 HDMI入力は4K(24p/30p)や3Dのパススルーに対応する他、HDMI CECやDeepColor、ソニーの広色域規格「TRILUMINOS COLOR」などをサポート。ただし、60pの4K信号については、現状HDMIの規格化が完了していないため、対応できない。

 サウンドモードは、TV VOICE(サラウンド)、SURROUND(サラウンド)、PURE AUDIO(2ch)、SOCCER(サラウンド)などが選択できる。

 Bluetoothを搭載し、AACとaptXコーデックにも対応。また、NFCも備えており、NFC搭載のスマートフォンなどのペアリングや接続/切断、接続切り替えなどをワンタッチで行なえる。Bluetooth経由の圧縮された音源で、圧縮時に失われる信号などを補間してオリジナル音源に近い形に復元する「ハーモニックイコライザー」も搭載している。

 設置時にテレビのリモコン受光部を妨げてしまう場合などに利用するIRリピーター機能に搭載。15度上向きに設置できるスタンドも付属する。スピーカーカバーは着脱式。

HDMI入出力を装備
IRリピーター
サランネットを取り外し可能
大型サウンドバーのため、設置性には注意

 HT-ST7では、大型ユニット搭載やラインアレー構成など音質を最優先として、設計したため、サウンドバー部の外形寸法は1,080×110×109mm(幅×奥行き×高さ)とかなり大型となっている。最近のテレビでは、スタンドから画面最下部までの高さがかなり短いため、画面の一部を妨げたり、リモコンの受光部を塞いでしまうケースも想定される。そのため、購入前に設置シミュレーションが必要な場合もあるだろう。同社では「振り切ったプレミアムモデルとして、音を最優先して提案したい」としている。サウンドバー部の重量は約7.9kg。

 一方で、サブウーファ部はワイヤレスとなっており、設置の自由度は高い。外形寸法は241×411×391mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約11.2kg。消費電力はサウンドバー約50W(待機時0.5W)、サブウーファ30W(待機時0.5W)。新デザインのリモコン「RM-ANU165」や、AVマウス、スタンドなどが付属する。

(臼田勤哉)