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Astell&Kernのハイレゾプレーヤー「AK Jr」、69,800円で29日発売。音質もチェック
(2015/5/13 11:00)
アユートは、iriver Astell&Kernのハイレゾ対応ポータブルプレーヤーの新機種「AK Jr」(エーケージュニア)の発売日と直販価格を発表。発売日は5月29日、価格はオープンプライスで、直販価格は69,800円(税込)となる。64GBの内蔵メモリを備え、カラーリングはスリークシルバー(SLV)。
詳しい仕様は既報の通り。「Astell&Kernのサウンドをより身近に、よりスマートに楽しむ」をコンセプトに開発されたモデルで、AKシリーズとしては価格を抑えているほか、外形寸法約117×52×8.9mm(縦×横×厚さ)、重量約98gの薄型・軽量筐体を採用している。
再生対応ファイルはWAV、FLAC、MP3(CBR)、WMA、OGG、APE、AAC、ALAC(Apple Lossless)、AIFF、DFF、DSF。PCMは192kHz/32bit(Float/Integer)まで対応するが、ネイティブ再生は24bitまでで、32bitデータは24bitへダウンコンバートしながらの再生となる。DSDは2.8MHzまでの再生が可能だが、PCM 88.2kHz/24bitへの変換再生となる。
DACはWolfson製「WM8740」。USB DAC機能も搭載する。内蔵メモリは64GB。microSDXC対応のカードスロットも装備し、最大64GBまでのカードが利用可能。
ヘッドフォン出力はステレオミニ×1系統で、上位機種のようなバランス出力機能は備えていない。スリムなプレーヤーだが、出力レベルは1.95Vrms×2ch、出力インピーダンス2Ωの高出力仕様となっている。
音を聴いてみる
手にするとまず驚くのが“薄さ”だ。横から見るとディスプレイ部分から下部に向けて、ゆるやかな傾斜を描いて薄くなっているため、ディスプレイの下部を持つと数値よりも薄く感じる。持つというより“つまむ”に近い感覚だ。ワイシャツの胸ポケットにも難なく収納できる。背面はGorilla Glassが使われている。
金属筐体の質感は高く、AKシリーズではエントリーに位置付けられているが、安っぽさは感じられない。側面のボリュームダイヤルの操作性も良好だ。
UIはAK100II/120II/240とは若干デザインが異なるが、大まかな操作方法は同じであり、AKシリーズのユーザーはもちろん、そうでない人も迷わず使えるだろう。
注目はDAC。上位モデルがシーラス・ロジックの「CS4398」を採用しているが、AK JrはWolfsonの「WM8740」を搭載しているところ。DAC自体は第1世代のAK100/120と同じだが、使いこなしのノウハウを駆使して高音質化を図っている。このあたりが、上位機種のサウンドとの傾向の違いになりそうだ。短時間ではあるが試聴してみたのでファーストインプレッションをお届けしたい。
一聴して驚くのが、第1世代のAK100/120と音が大きく異なる点。AK100は繊細なサウンドが持ち味だが、線が細く、悪く言うと“弱々しい音”だった。一方で、AK Jrは音圧が高く、メリハリも効いた躍動感のある音に仕上がっている。出力レベル1.95Vrms×2ch、出力インピーダンス2Ωの高出力仕様が効いているようだ。
AK100IIはAK100と比べると音圧や低域のパワフルさは増している。AK100IIとAK Jrを比較すると、AK100IIの方が分解能重視のスッキリとしたサウンド、AK Jrは中低域の厚みをしっかりと出す“旨味のあるサウンド”という印象。ロックやポップスなどはAK Jrの方がノリ良く楽しめて好みだと感じる人もいるだろう。
音圧という面ではAK120も優れているが、AK JrはAK120ほど音の張り出しは強くはない。AK120の音がパワフル過ぎると感じる人は、逆にAK Jrの方が気に入るはずだ。個人的には音場の見通しが良いため、AK Jrの方がAK120よりバランス面で優れていると感じた。
価格的なライバルは、ウォークマンの「NW-ZX1」やiBassoの「DX90j」になるだろうか。ハイレゾプレーヤーに興味はあるが、10万円を超えるようなモデルはちょっと……という人には、要注目モデルの登場だ。