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フジテレビと営電、HD回線1本で4K映像を送れる1Gbps高速伝送装置「SDI-Hyper」

 フジテレビジョンと営電は24日、HD-SDIインターフェイスを活用して約1Gbpsの高速伝送を可能にする装置「SDI-Hyper」を開発したと発表した。4K映像信号などを、既存のHD機器とHD回線を使って低コストで伝送可能になるという。

SDI-Hyper送信装置

 SDI-Hyperは、HD-SDIの有効映像領域を活用して約1Gbpsのレートを確保しつつ、エラーのない安定した伝送が行なえるというもので、送受信機間の伝送路はHD-SDIであり、汎用のDDAやMTXスイッチャなどの映像機器を利用可能。全国の放送局間を結ぶHD素材伝送網も使用でき、既存のHD設備や回線を使用して、安価にSNG信号(1トランスポンダ)や4K信号を伝送できるのが特徴。SDI-HyperにはIPのインターフェイスを備え、圧縮した4K信号を、HD回線1本で高品質/超低遅延に伝送できるという。

 SNG信号を伝送する実証実験では、1トラポン(36MHz帯域)分のRF信号を丸ごとSDI-Hyperでデジタル変換し、HD-SDI回線1本で伝送。受信信号をRF信号に再変換し、既存の衛星機器で問題なく動作したという。実験では、映像/音声信号だけでなく、制御信号や連絡音声(OW)も同時に伝送した。

 悪天候や障害などで衛星アンテナが使用できない放送局が、別の放送局のアンテナを使ってサイトダイバシティによるSNG運用も可能。降雨減衰や障害、大震災などで、自局の衛星アンテナが使用できない場合でも、SDI-Hyperを使って別の放送局との間でSNG信号を受け渡しすることで、他局のアンテナを使用して受信と送信が可能。同時に遠隔による衛星管制も行なえ、他局のアンテナを自局の設備と同等に使えるとしている。

 SDI-Hyperは、11月18日から幕張メッセで開幕する「Inter BEE 2015」の営電ブースにも展示予定。

SNG信号のサイトダイバシティ運用のイメージ

(中林暁)