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3Dプリンタで作るチタン製イヤフォン。「マッハ36」ヘッドフォンも

 4月29日~30日に中野サンプラザで開催されている「春のヘッドフォン祭2016」。ここではfinalやTop Wingなどのブースをレポートする。

final

 finalは、3Dプリンタで造形された64チタン製筐体のイヤフォン「final audio design LAB I」(FI-LAB01)を2014年に発売している(直販価格16万円)。3Dプリンタでチタンのイヤフォンを作るという挑戦的な試みの製品だが、その新作として、「LAB II」という製品の試作機が登場。試聴も可能になっている。

「LAB II」

 15mm径のダイナミック型ユニットを搭載したイヤフォンだが、最大の特徴は3Dプリンタによる金属造形で作られたチタン製ハウジングの構造。メッシュのように無数の穴が全体に空いており、まるで“籠”のようになっている。

 そのままでは音が穴から全部漏れてしまうが、「LAB II」の内部には空気室を形作るような構造があり、しかも、その構造が幾つかの層になっている。ダイナミック型ユニットから前方に放出された音は、その層を通って、リスナーの耳へと届く。層がアコースティックなイコライザのように機能し、再生音を変化させるという。ユニット背後の音は、開口率の高いメッシュ形状を活かして処理している。

 3Dプリンタで完成するのではなく、造形した後で、非常に高度な技術で磨いて仕上げるため、コストもかかり、価格は40万円ほどになるイメージだという。

MMCX端子を採用
正面から音道のノズルを見ると、内部が層になっているのがわかる

Top Wing

 香港AROMAの新製品として、ユニバーサルタイプのイヤフォン2機種を6月に発売する。バランスドアーマチュア(BA)ユニットを採用。価格は未定だが、3ウェイ5ドライバの「Witch Girl S」が12万円以下、3ウェイ6ドライバ「Witch Girl Pro」が15万円以下を予定している。

 ユニット構成は、「Witch Girl S」が低域×2、中域×2、高域×1の5ドライバ。「Witch Girl Pro」が低域×2、中域×2、高域×2の6ドライバ。

Witch Girl Pro

 iFI-Audioの新モデルとして、フォノイコライザの「iPhono2」も紹介している。外観は従来モデルと似ているが、「中身は90%違う」という新モデルで、ダイナミックレンジが大幅に拡大。独自のパーツもふんだんに採用したモデルになるという。据え置き型の最上位ヘッドフォンアンプ「pro iCAN」も、今月末~6月頃には発表される見込み。

「iPhono2」の内部基板

 他にも、機器間に挟むように接続する事で、ノイズやジッタを低減する「iPurifier2」の新バリエーションとして、SPDIFに対応したモデルを開発中。動作させるためにUSB給電を行ない、カーオーディオなどでも利用できるという。

「iPurifier2」のSPDIFバージョン

日立マクセル

 6月10日に発売する、ベリリウムコート振動板を採用したハイレゾ対応のヘッドフォン「MXH-MD5000」を参考展示している。価格はオープンプライスで、店頭予想価格は39,800円前後。

ハイレゾ対応のヘッドフォン「MXH-MD5000」

 密閉ダイナミック型で、45mmドライバを搭載。軽量かつ高剛性で、音速の約36倍の「マッハ36」という高い音伝導性を持つベリリウム合金をコーティングした振動板を使っているのが特徴。軽量CCAWボイスコイルと組みあわせ、レスポンスよく繊細な高域から安定した深みのある低域再生を可能にするという。独自のデュアルチャンバー構造も搭載。2つの空気層で、広がりある音場再生を可能としている。

AUDEZE

 AUDEZEのブースでは、カジュアルな製品ラインとなるヘッドフォン「SINE On-Ear」を参考展示。価格は54,800円前後。

 ユニークなのはケーブルで、DACを内蔵したLightningケーブルを同梱するモデルも62,800円で用意。iPhoneなどとデジタル接続しながら、外部DACなどを使わず、ケーブル1本でシンプルに接続できるのが特徴。搭載しているDACチップは非公開。

SINE On-Ear
DACはリモコン部分に搭載している

サトレックス

 サトレックスのブースでは、ハイレゾ対応ヘッドフォン「DH291-A1 Hi-Res HEADPHONE」の新色を参考展示。果物の「PLUM(プラム)」と名付けられており、発売中のCamelliaよりも、さらに落ち着いた色味になっているのが特徴。6月頃の発売を予定しており、会場では数量限定の先行販売も実施。

「DH291-A1 Hi-Res HEADPHONE」の「PLUM」

 さらに、同ヘッドフォンの特別バージョンとして、ハウジングをアルミで作ったモデルも参考展示。光沢のあるモデルと、マットなモデルの2機種を展示している。まだ製品化は決定していないが、来場者からの意見を聞き、今後の開発に活かしていくという。

アルミ製ハウジングのモデルも参考展示
デノンのブースでは、海上忍氏が手がけたRaspberry Piのオーディオ・リファレンス機と、デノンのUSB DAC「DA-10」を組み合わせた展示が。I2S信号で直接、Raspberry PiからPMA-50にデジタル伝送している
Raspberry Piのケースは、クリプトンが手掛けたもので、オーディオボードに使われている素材をケースに活用したもの
14階のヤマハブースでは、同社のヘッドフォン紹介に加え、モトGP 2016年のロレンソ選手モデルのバイクも用意。レースクイーンも参加し、「レースクイーンとヘッドフォンとYAMAHAロゴ」を1枚の写真におさめて、TwitterもしくはInstagramでハッシュタグ「#hpfes_yamaha」をつけて投稿すると、その場でヤマハのノベルティと、抽選で1人にヘッドフォン「HPH-PRO500」が当たる企画を実施中

(山崎健太郎)