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Nakamichi「懐かしさではなく再誕生」、プラナーユニット搭載スピーカーとヘッドフォン開発
2025年12月16日 16:10
Signeo Design Internationalは、Nakamichiブランドの新製品として「ELITE」シリーズ製品を発表した。プラナーユニットを使ったスピーカー「Krystal SOUND STATION」を2026年3月に日本導入予定で、予定価格は248,000円。プラナーヘッドフォン「P800J」は80mmの大口径ユニットを搭載し、同年1月導入予定。予定価格は128,000円。
なお、Krystal SOUND STATIONは、2026年2月28日までクラウドファンディングを展開中。限定45名の超早割は、31% OFFの198,000円で支援購入できる。ヘッドフォン「P800J」は一般販売を1月から開始予定。日本展開にあたっては、株式会社ピクセルが協力する予定。
Nakamichi「Krystal SOUND STATION」
のクラウドファンディングプロジェクト
Signeo Designは空気清浄機やクリーナー、コーヒーメーカーなどに加え、イヤフォンも手掛けてきた。
香港で1980~90年代を過ごし、日本のものづくりと文化に強い憧れを抱いて育ったSigneo DesignのKEVIN社長は、Nakamichiブランドに対して“日本が世界に誇る本物のハイエンドオーディオ”の象徴という印象を持っており、また、「ブランドが’90年代の終わりに姿を消した後もなお、世界の多くの人々の中にNakamichi=究極の音という強い記憶が深く残っていた」という。
そこで、2023年にNakamichiブランドのオーナーと共に動き始め、「日本で“もう一度、音の伝説を動かす”チャンスを掴んだ」という。しかし、元Nakamichiのエンジニアらがいるわけではないため、過去の名機を復活させるのではなく、「懐かしさではなく再誕生」をスローガンに、新たな製品を開発する道を選択したという。
ヘッドフォンでよく利用されているプラナー(平面磁性体)技術に注目していたKEVIN社長は、0.006mmと極薄の振動板を開発。8cmに加え、15cmと大型のユニットも作り、これらを活用しながら、「透明感のある音」と「アーティストがそこに在る」実在感を持ったNakamichiの音を実現する「Krystal SOUND STATION」と「P800J」の開発に着手。
イベントに試作機を持ち込み、Nakamichiブランドを愛するユーザー達の意見も取り入れ、試行錯誤の末に完成させたという。
Krystal SOUND STATION
Signeo Design初となるスピーカーで、2.1ch構成。大きな特徴は2つあり、1つは2chのプラナースピーカー(サテライトスピーカー)が薄型振動板を活かし、筐体自体も6.5mmと非常に薄型である事。
もう1つのは、このプラナースピーカーとセンターサブウーファーがワイヤレスで接続されていること。サブウーファーの電源をONにすると、自動的にプラナースピーカーと連携される。
なお、プラナースピーカーへの給電は必要で、それはUSB-Cで行なう。プラナースピーカーは直径150mm。極薄の複合振動板と、プッシュプル構造のN48ネオジム磁石を使った磁気回路を組み合わせ、平面振動板の特性を活かした、素早いレスポンスで自然な音を再現できるとする。
帯域としては、プラナースピーカーは中高域を担当。駆動用のアンプは30W×2のクラスDを内蔵する。
120Hz以下を再生するセンターサブウーファーには、5.25インチのウーファーユニット×1、パッシブラジエーター×2を搭載。60WのClass Dアンプを搭載する。
コントロールボタンはセンターサブウーファーに搭載。入力のデフォルトはBluetoothで、その他にAUX、USB、光デジタル入力を備える。Bluetoothのコーデックは、LDACにもサポートする予定。カラーはブラックとシルバーの2色展開。
P800J
80mmと大口径のプラナードライバーを搭載したヘッドフォン。日本でサウンドデザインを行ない、部品調達や製造は中国・広州で実施。その後、日本・裾野市にてアッセンブリおよび音質・品質を管理している。「純粋なMADE IN JAPAN製品ではないが、日本チームが責任を持って最終仕上げを行なっている」とのこと。
プラナードライバーは、繊細な音質を最大限に引き出すため、ノイズを徹底的に排除。配線はすべてバランス接続を採用し、同梱ケーブルには4.4mmバランスジャックを装備。ヘッドフォン側の接続にはMini XLR端子を採用している。
付属ケーブルは3芯OFCを使用。「質感とデザインにも、あえて無骨さを残した。日本で組み上げるNakamichiらしさを表現するためのこだわり」だという。
筐体はアルミ、ハウジングは開放型。空気の流れを良くして、皮膜が心地よく振動するように設計されている。
周波数特性は10Hz~60kHz。インピーダンスは32Ω±15%。感度100±3dB(@1kHz/1mW)。重量は約710g。
将来的には低域もプラナーユニットでカバーしたい
Nakamichiブランドでは今後も、キーテクノロジーのひとつとして平面磁性体ドライバーを搭載したポータブルオーディオ製品を順次リリースしていく予定。大小さまざまな口径のドライバーを開発中という。
Krystal SOUND STATIONのサブウーファーには、通常のユニットが使われているが、KEVIN社長によれば、「将来的には低域もプラナースユニットでカバーしたいと考えている」とのこと。
サウンドのクオリティだけでなく、薄さを活かしたデザイン性の高さにもこだわり、インテリアに溶け込みやすい製品を、NakamichiブランドのELITEシリーズでは展開していきたいと、今後の抱負を語った。
音を聴いてみる
発表会場で短時間ではあるが、試聴したのでファーストインプレッションをお届けする。
Krystal SOUND STATIONでまず驚くのは、プラナースピーカーの薄さだ。イメージとしては、“写真立て”のような薄さであり、台座部分は存在するものの、これも省スペースであるため、机の上のスペースが限られた場合も設置しやすそうだ。
その場合、サブウーファーは机の下に置く事になるわけだが、プラナースピーカーとサブウーファーはワイヤレスで接続されるため、各スピーカーの設置場所の自由度の高さも魅力だ。ただ、左右のプラナースピーカーそれぞれにUSB-Cでの給電が必要なので、この点は注意をしたい。
サウンドは、まさに“プラナーヘッドフォンの高精細でクリアな音をデスクトップスピーカーにした”という印象で、女性ボーカルやピアノの響きなど、細かな音も聴き取りやすい。高解像度でスピード感のあるサウンドが、大きな魅力と言えるだろう。プラナーヘッドフォンを愛用しているという人にも、聴いて欲しいサウンドだ。
低域を担当するサブウーファーの音はパワフルで、迫力も感じられる。これはこれで良いが、プラナースピーカーの音と組み合わせて聴くと、少しスピード感の違いも感じられる。この部分に関しては、まだ開発中であり、ファームウェアの更新で調整中という。
P800Jも、プラナーユニットの特性を活かした、ハイスピードで色付けの少ない高精細なサウンドが楽しめるヘッドフォンに仕上がっている。微細な音も表現できるため、駆動するDAPやヘッドフォンアンプなどのクオリティが上がれば、それにキッチリ応えてくれるポテンシャルがありそうだ。
いい意味で無骨なデザインではあるが、アルミ製の筐体は手に触れると質感も高く、高級感もある。コストパフォーマンス面でも、注目のヘッドフォンだ。















