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Brise Works卓上ヘッドフォンアンプ、DUNU新イヤフォン、MADOO「Typ930」、中国人気7ブランド登場
2025年11月1日 18:54
「秋のヘッドフォン祭 2025」が11月1日に東京・丸の内のステーションコンファレンス東京で開催。ここでは、Brise Audioやサウンドアース、完実電気などのブースをレポートする。
Brise Audio
Brise Audioブースの注目は、より手に届きやすいBrise Worksブランドから2026年4月以降に発売予定の、コンパクトなデスクトップ用ヘッドフォンアンプの試作機。価格は20万円未満を予定しているという。
同社のエレクトロニクス製品で、即納・コストと量産効率を最大限に高めた初の製品であり、Brise Audioで培ったアンプ回路や新規の電源回路を採用。究極のポータブルオーディオシステム「FUGAKU」や、次世代ポータブルアンプ「WATATSUMI」の技術も取り入れられている。
ユニークな点は、USB-Cによる給電で動作する事。内部にキャパシターも搭載し、小型ながら本格的な低音再生を可能にしたという。また、機械的なリレーを排除。5極4.4mm入出力のみを備えている。電子ボリュームは「MUSES72320」を採用している。
なお、これはBrise Worksブランドのヘッドフォンアンプだが、Brise Audioからも今後卓上ヘッドフォンアンプを発売予定。こちらも鋭意開発中だという。
さらに、finalの最上位イヤフォン「A10000」のために専用チューニングしたリケーブル「BSEP for A10000」も登場。価格はオープンで、市場想定価格は280,000円前後。プラグタイプは全4種類。
A10000は、finalの有線イヤフォン最上位モデルに位置づけられており、ブランド初となる「トゥルーダイヤモンド振動板」を採用したイヤフォン。Brise Audioのケーブルは、そんなA10000の繊細な再現性と高い透明感を最大限に引き出すために開発された。
また、Brise Worksブランドのケーブル「MIKAGE」(MMCX接続タイプ)において、Sennheiser製イヤフォンとの接続時に音が途切れるといった相性問題を解決したバージョンも出展されている。
サウンドアース
サウンドアースのブースでは、QoA、DUNU、Kinera Imperial、Melody Wings、UCOTECHの新製品を出展している。
QoAの「Misty Blue」は、ダイナミック型×2、バランスドアーマチュア(BA)×2を搭載。アーティストの藍井エイルとコラボしたイヤフォンで、自身も音作りやデザイン決めに参加している。藍色の砂を封じ込めたようなデザインも特徴で、1つずつ専任のペインターが手描きしたハンドペイントのフェイスプレートを採用している。
さらにQoAから、サウンドサンプルとして1BA + 1DD + 1BC仕様の「bijou」が登場。名称未定だが2DD + 4BAのイヤフォンも出展している。bijouは、チューニングの異なる2モデルを用意し、どちらが好みか、来場者からの意見を募っていた。
DUNUからは、300台限定、Effect Audioとのコラボイヤフォン「DK3001BD EA」が登場。Effect Audioのケーブルを採用した限定イヤフォンで、日本への割り当てが何台になるかはまだわからないという。
さらに「DN242」、「DN142」の最終版、「DUNU ITO」、ハイエンドCDプレーヤー「CONCEPT-R」も登場。
Melody Wingsのイヤフォン「Venus」は、バーチ材の木製フェイスプレートを採用。内部にダイナミックドライバー×1、バランスド・アーマチュア(BA)×3を搭載。10mmのダイナミック型の振動板は、ベリリウムメッキダイアフラムを採用している。
イヤフォンとケーブルは着脱可能で、0.78mm 2Pinを採用。付属ケーブルは4芯銀メッキOCC。入力プラグは交換可能で、3.5mm、4.4mmバランス、USB-Cの3つのプラグが付属するのも特徴だ。
Melody Wingsの新モデル「Jupiter」も登場。外観はまだ最終ではないプロトタイプ。大きな特徴として、デフォルトでUSB-Cプラグのボリュームコントロール付きマイクケーブル(2pin)を採用している。ドライバーはダイナミック型×1基だ。
中国電子オーディオ協会ブースが登場
中国のオーディオ業界の主要企業の大半、約400社が加盟しているという社団法人のような組織、中国電子オーディオ協会(CAIA)の“ヘッドフォン分科会”が、ヘッドフォン祭にブースを出展した。
ご存知の通り、各国のオーディオブランドの製品において、中国で製造しているモデルは多い。こうした中国のOEM/ODM企業が、技術力を高め、独自ブランドを立ち上げるケースも増加。FIIOやqdcなどの人気ブランドも増えているが、まだ知名度の低いブランドも多い状況だ。
そこで、日本のヘッドフォン業界を勉強し、日本のヘッドフォンファンと交流したり、日本の代理店やメーカーと交流する機会を作り、自社ブランドの製品改良にも活かすため、須山歯研やフジヤエービックのサポートのもと、ヘッドフォン祭へ参加する事になった。
出展にあたっては、30社ほどが挙手したそうだが、今回は厳選された7社の出展が実現。いずれも日本での代理店はまだついていないため、気軽に試聴できない製品ばかりが並べられた貴重なブースとなっていた。
出展ブランドは以下の通り。
- 【EPZ】 業界トップクラスの3Dプリンティング技術を駆使し、複雑な音響構造と自由なデザイン、高いコストパフォーマンスを実現。元は軍事用ヘッドフォン開発から始まり、Hi-Fiやeスポーツ市場で成長
- 【GOLDPLANER】 2019年設立の平面駆動型ヘッドフォン専門ブランド 。材料学の博士である創設者が開発したナノメートルスケールの薄膜振動板技術が強み 。OEM/ODMも主要事業とし、世界中の愛好家から支持される
- 【Matrix Audio】 2006年に創設された高品質ストリーミングオーディオ製品のリーディングブランド 。ハードウェアから独自のデジタルプレイヤーシステム「MA Player」まで一貫開発 。製品は現在40カ国以上で販売されている
- 【QIGOM】 「優れた音質を合理的な価格で」を信念に設立されたブランド 。元は2004年設立のヘッドフォンユニット生産会社から転換
- 【QLS】 オーディオプレーヤー、DACなどを開発 。「シンプルを至上」とし、莫大な広告費をかけず、製品開発と顧客サービスに再投資する姿勢
- 【Temperament】 「シンプルなデザイン」と「本物の音の再現」を掲げ、中国で唯一、先進的なオープン型平面駆動イヤフォンを一貫開発する
- 【DAART】 2009年設立のYULONG AUDIOが、ベテランミュージシャンと立ち上げた新ブランド 。親会社の豊富な経験と高品質なハードウェア開発力を背景に、手頃な価格で、若く、スタイリッシュなオーディオ製品」を目標にしている
ピクセル
MADOOブランドの新イヤフォン「Typ930」が注目を集めている。11月7日発売で、価格はオープン、市場想定価格は388,000円前後。
イヤフォン「Typ821」に採用した、プッシュプル型マイクロプラナードライバー”Ortho”を12mm径に大口径化し、バランスドアーマチュア(BA)ドライバーとのハイブリッド構成とした。
搭載するドライバー「Ortho Dual Motion」は、大口径化に加え、より強力なマグネットを採用し、磁気回路の改善を実施。加えて、初の技術であるパッシブラジエーター”Dual Motion”を搭載。パッシブラジエーターが圧力を調整することで、耳道内の圧力をうまくいなし、閉塞感や嫌な共振が軽減されて音場が広く聴こえるという。
KOTORI Audioからは「H02」と「H03」というイヤフォンが登場。「H02B」は、インパクトのある低音と、高めの中高域・高域が特徴。ダイナミック型×1基搭載のエントリーと位置付けられている。価格は未定だが、1.5万円ほどのイメージだという。
「H03」は5~7万円程度の価格帯を目指したモデル。豊かで力強い低音、広がりや雰囲気のある低音に注力している。
さらに、今後ピクセルが取り扱いを検討しているという Nakamichiブランドの製品も出展。平面駆動型のヘッドフォンや、その技術を活用して開発された、超薄型のデスクトップスピーカーなどを展示。デスクトップスピーカーは薄型だが、ウーファーやボリュームなどを内蔵したユニットと接続して使用する、2.1chスピーカーとなっている。
完実電気
完実電気のブースでは、完実電気が12月から取り扱う事になったBurson AudioのDAC内蔵ヘッドフォンアンプを参考展示している。ディスクリート構成のオペアンプや、独自方式のパワーサプライ方式を開発しているのが特徴。
DACにES9039を採用、30Wアイドリングバイアスで駆動し、クラスAアンプとして1chあたり3W出力の「Playmate 3」が189,200円。
デュアルDAC搭載で、Burson V7オペアンプなどを採用した「Conductor GT4」が588,500円。ESSの9039PRO DACやクラスAアンプを採用した「Conductor Voyager」が770,000円。
さらに、スピーカーアンプで知られるPASS Laboratoriesから、ヘッドフォンアンプ「HPA-1c」が登場。こちらは販売時期・価格は未定だ。
Meze Audioからは、定番モデル「99 Classics」が約10年を経て進化した「99 Classics 2nd Gen」が登場。12月上旬に発売予定。サウンド面では、バランスが良く、自然なサウンドを目指してチューニング。さらに、オリジナルのような表情豊かなサウンドが楽しめる、アコースティック・アブソーバーを同梱し、曲や使用機材の傾向に合わせてサウンドを切り替えられる。
さらに、バッフルやイヤーカップ、クッション内の体積を増やし、ハウジング上にバッフルを設けるなど、気流を大きく、能率的にコントロールできる構造にしている。また、USB-Cアダプター、デュアルツイスト構造を採用したOFCヘッドフォンケーブルを同梱。メイド・イン・ルーマニアに変更されている。
フォステクスのブースでは、新製品の藍染ヘッドフォン「TH1000RPmk2/TH1100RPmk2」や「T60RPmk2ai」、プレミアムヘッドフォン「TH910/TH919」といった新モデルや、現行モデルを聴くことができた。
ミックスウェーブ
ミックスウェーブのブースでは、新たに取り扱い予定のハイエンドヘッドフォンブランド・ABYSSの製品を展示している。いずれのモデルも価格、発売時期は未定。
「AB1266 TC」は、66mm平面磁界ドライバーを搭載し、圧倒的な低域と立体的な音場表現を可能にしたというハイエンドモデル。アルミ削り出しフレームを採用している。
Diana MRは、63mm平面磁界ドライバーを搭載。ボーカルと中域表現を重視したフルレンジ設計で、自然で滑らかな高域と豊かな低域を両立したという。
JOALは、ABYSSの最新作エントリーモデル。63mm平面磁界ドライバーを採用、深く伸びる低域と高解像度の中高域を実現。30Ω仕様でポータブル機器にも最適という。
beyerdynamic
beyerdynamicのブースでは、2024年に数量限定で発売された100周年記念モデル「DT 770 PRO X Limited Edition」の成功を受け、さらなる改良を加えた上でレギュラーラインナップとして登場した、スタジオ定番ヘッドフォンの最新作「DT 770 PRO X」と「DT 990 PRO X」が登場。DT 770 PRO Xは密閉型で36,960円、DT 990 PRO Xは開放型で36,960円。
beyerdynamicが培ってきた「正確なモニターサウンド」と「快適な装着性」をベースに、最新のSTELLAR.45ドライバーを搭載。48Ωという柔軟なインピーダンス設計により、スタジオ機器だけでなく、オーディオインターフェースやノートPC、ポータブル機器でもスタジオクオリティの再生が可能という。
Erzetich
タイムロードのブースが扱っている、スロベニアのブランド「Erzetich(エルゼティッチ)」のヘッドフォンも注目を集めている。Charybdis(カリュブディス)、Phobos(フォボス)、Mania(マニア)、Thalia(タリア)をラインナップ。
Erzetich Audioは、スロベニアを拠点に、ハンドメイドによる高性能ヘッドフォンとヘッドフォンアンプを製造しているブランド。平面磁界技術を専門とするErzetichは、明瞭さ、正確さ、そして没入感に優れたサウンドを追求したパーソナルオーディオソリューションを提供している。
ブースではハイエンドモデルCharybdisの限定モデルとして、「Charybdis Gold limited」を参考出品。残念ながら日本での発売予定は無いが、ハウジングがゴールドカラーの仕上げになり、スリッドのデザインも少し異なっているほか、採用しているケーブルも特別なものになっている。
その他
NUARLブースでは、イヤカフ型の完全ワイヤレスイヤフォンも参考展示。今回のイベントでは、試聴可能なモデルも用意されている。耳に挟むように装着し、ながら聴きができるイヤフォンだが、MEMSドライバーとダイナミック型ドライバーを搭載し、さらにLDACコーデックもサポートするなど、音質にこだわっているのが特徴だ。
また、耳に当たる部分を柔らかい素材で構成する事で、装着時のストレスをより低減している。
















































