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HDMI2.1a対応ディスプレイは'23年発売。“正規品判別”がウェブでも可能に
2022年12月16日 16:46
HDMI LAは16日、HDMI規格の設立20周年に合わせて、都内で会見を実施。規格動向や今後のビジネス戦略について説明を行なった。会見では、「SBTM」機能を実装したHDMI 2.1a対応ディスプレイが2023年に発売する予定であることや、年明けのCES 2023にて、偽造品のネット販売抑止策となるウェブベースでの検証制度を披露する考えを示した。
会見を行なったHDMI LA(HDMI Licensing Administrator, Inc.)は、HDMIのマーケティングやプロモーション、ライセンス供与、管理を行なう組織。似た名前にHDMI Forumが存在するが、HDMI Forumは規格の策定や開発を担当する。
会見には、HDMI LAのCEOを務めるロブ・トバイアス氏が登壇。
ロブ氏は、「HDMIは、2002年12月9日に最初の規格である“HDMI1.0”がリリースされ、今年で20周年を迎えます。現在までに約110億個のHDMI機器が出荷され、2022年に出荷されたテレビの100%にHDMIが採用されています。そしてHDMIを採用する2,000社が、HDMI製品メーカー/ブランドである約10万社向けに製品を製造しています」とコメント。
「HDMIは、さまざまな消費者向けAV機器、PC、モバイル端末、自動車、そして商業用の機器まで、映像と音声、データを伝送するためのインターフェイスとして、トップの座を堅持しています」と、市場からの高い支持を示した。
さらに「新型の高性能テレビのほとんどが、HDMI 2.1で出荷されている」とアピール。2.1で加わった4K/120Hz、ダイナミックHDR、VRR(可変リフレッシュレート)、ALLM(自動レイテンシーモード)、eARC(エンハンストオーディオリターンチャンネル)などの主要機能が搭載されている、という。
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好調な要因は、2.1機能搭載の大型テレビ/ディスプレイの販売が世界的に続伸している事。特に65型が人気を集めているそうで、「日本を含め、世界の多くの国で“費用対効果”が最も得られるサイズ」と分析する。
現在の、HDMIの最新バージョンは「HDMI2.1a」。2.1aでは新たに、ゲーム機などのソース機器がディスプレイ性能に合わせて映像調整する「SBTM(Source-Based Tone Mapping)」がオプション機能として追加されている。
ロブ氏は「SBTMを実現化する最初の半導体が既に発表されており、2023年にもSBTM機能を搭載したセットトップボックス、およびディスプレイが発売される予定だ」と話す。
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今後の展開としては、2023年にも追加のマイナーアップデートを計画。コロナ禍でリアル開催できていなかった「トレードショー」や「開発者会議」、「講習会」、各メーカーが機器を持ち寄って数日間かけてランダムに接続テストを行なう「プラグフェスト」など、対面式の行事も再開するという。
また、2023年1月に開催される「CES 2023」では、“ウェブベースでの検証制度”を発表する予定。
これは、横行する偽造品(HDMIライセンス認証を受けていない機器)の拡大を防ぐための処置で、例えば、オンラインショップでHDMI関連製品を購入する際、その製品がきちんと認証、ライセンスを受けている製品か否かどうかが判断できるような仕組みになるという。早ければ2023年にも制度を運用させるとのことだ。
「一番速いものはウルトラだから、ウルトラを選んで欲しい」
HDMI LAのロブ・トバイアスCEOに話を聞いた。
――HDMIの次の進化は、どのようなものになりますか?
ロブ氏(以下敬称略):残念ながらHDMI規格の策定や開発を行なうHDMI Forumでは、フォーラム内での活動が機密になっており、お話しする事はできません。Forumでは、パネルやチップメーカーなどとも話し合いをして規格を定めます。
日本のNHKでは、8K/120pを目指していると聞いています。公式なものではなく、これはあくまで個人的な考えですが、これまでのHDMIの過程を考えれば、そうした信号にも対応するのが自然な進化の流れになるのではないかと思っています。
――ライセンスのないHDMI製品(偽造品)の差押えが増えているとお話ししていましたが、押収されている偽造品とは、どのようなものなのですか?
ロブ:主にHDMIケーブルやアダプターです。延長アダプターであったり、USB-C - HDMIアダプターのような変換アダプターになります。
――HDMIケーブルは「スタンダード」「ハイスピード」「プレミアム」「ウルトラ」と、カテゴリーが多く、非常に分かりにくいという声も聞きます。先日USBケーブルの速度表記が分かりやすいものに改められましたが、HDMIケーブルでは表記の変更等を考えていますか?
ロブ:今はまだ複数のケーブルカテゴリーが混在している状況であるため、どれが良いのか迷わせてしまっているかもしれませんが、いずれ「ウルトラ」にすべて入れ替わっていくと思います。
我々としては、できるだけ今回のようなセッションの機会を設け、メディアの方々にカテゴリーの違いを理解していただき、それがひいては消費者の方にも正しく情報が伝わるように努力していきたいと思います。そして可能であれば「一番速いものはウルトラだから、ウルトラを選んで欲しい」という旨を、読者の方々にも伝えてください。
――一部にHDMI2.1bを謳う製品がありますが、最新規格はHDMI2.1aなのですか? それともHDMI2.1bなのですか?
ロブ:HDMI2.1bは、正しくありません。私たちの方で確認できれば、訂正をするように伝えます。製品であれば対応する機能を、ケーブルであれば、「プレミアム」や「ウルトラ」などと書くべきで、そもそもバージョンナンバーを製品で謳うのは正しくありません。
――ウェブベースの検証制度とは、どのようなものなのか、もう少し具体的に教えてください。
ロブ:店頭でHDMIケーブルを購入する場合は、パッケージにラベルが付与されているため、ライセンス製品か否か、すぐに判別できると思います。ところが、ネットショッピングの場合は、商品の説明に記載があっても、本当かどうかを判断するのは難しいと思います。
イメージとしては、あるグラフィックの画像をクリックすると、その該当の製品が認証を正しく受けているか否かが明示される仕組みになります。実際のUIがどのようなものになるかは、是非CES 2023で確かめて頂ければと思います。