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新宿ドルビーシネマ開業。「8館のままではまずい。もっと増やしたい」
2022年11月30日 18:28
東京・新宿にあるシネマコンプレックス「新宿バルト9」が、日本で8館目となる上映システム「ドルビーシネマ」(Dolby Cinema)を導入。12月1日の本格開業を前に、先行内覧会を開催した。内観会に登壇したドルビージャパンの大沢社長は「(ドルビーシネマの国内数が)8館のままではまずいなと。もっともっと増やしていきたい」とコメントし、今後の更なる拡大に意欲を示した。
新宿エリア初のドルビーシネマ。2日まで旧作上映中
ドルビーシネマは、ドルビー独自の上映システムで、広色域で鮮明な色彩と幅広いコントラストを表現するDolby Visionと、立体音響技術のDolby Atmosを採用。加えて、シネマ体験に最適化されたインテリアカラー、空間デザイン、座席アレンジメントのシアターデザインも楽しめる。
新宿バルト9のドルビーシネマは、新宿エリアとしては初の導入。都内では丸の内ピカデリー(2019年10月)に次いで2館。ドルビーシネマが入るのは、11階にある「シアター6」。座席数は391席(387席+車椅子4席)。鑑賞料金は、ドルビーシネマ作品の場合は通常料金+600円、3D作品の場合は+1,000円、アトモス作品の場合は+200円となる。
1日のオープンに先駆け、11月28日から12月2日まで、過去の人気作品をリバイバル上映する特別公演(料金1,600円~)を開催中。
12月1日は、「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」「AKIRA」「劇場版 銀河鉄道999」「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」「TENET テネット」「1917 命をかけた伝令」「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の7作品、12月2日は「スパイダーマン:スパイダーバース(3D字幕)」「ゲキ×シネ 狐晴明九尾狩」の2作品を上映。
以降は「ブラックアダム」(12月2日~)、「THE FIRST SLAM DUNK」(10日~)、「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター 3D」(16日~)、「JSB3 LIVE FILM / RISING SOUND」('23年1月6日~)などを上映する予定。
「8館のままではまずいなと。もっともっと増やしていきたい」
内覧会には、ドルビージャパン代表取締役社長の大沢幸弘氏が登壇。
冒頭、カタールで現在行われているW杯の試合について、「日本以外の多くの国では、ドルビーの技術を使って臨場感あふれる試合の模様が配信・放送されている。エンターテインメントの世界で大きな技術革新がいま起こっており、アートとサイエンスを融合して、感動的な時間と空間を提供するのが我々ドルビーの役割だ」と強調。
「現在ドルビーシネマは、世界28社の興行会社に採用され、見込みも含め450以上のスクリーンに導入されている。ドルビーシネマ作品はすでに470を突破しており、前回のアカデミー賞では23部門中19部門の受賞作がドルビーの技術を採用。エミー賞の受賞作のほぼ半分も、同様の状態」と、同社の技術が広く採用されていることをアピールした。
ドルビーシネマについては「ドラマチックな映像、心揺さぶるオーディオ、究極のシアターデザインの3要素によって、シネマ体験に大きな変革をもたらした」と説明。
「2台の4Kレーザープロジェクターがドルビービジョン映像を投影。コントラストと輝度を大幅に向上させ、3Dでなくとも自然な立体感が出て、色のグラデーションまで表現できる。また、立体音響であるドルビーアトモスは世界7,500スクリーン以上に導入され、240以上の公開作品を持つ。自然と同じ立体的で動きのあるサウンドで、映画に入り込んだような感覚が味わえる。そして、映画に集中できるよう快適なデザインも特徴。エントランスに設けた横長のスクリーン(AVP:Audio Visial Pathway)もこれから始まる特別な体験を暗示している」と、他の上映システムとの違いを話した。
ドルビーシネマの今後の国内展開については、「数を増やすことを最大の目標にはしていないが、ファンの方、クリエイターの皆さん、いろいろな関係者の皆さんからも『もっと数が欲しい』『大都市にはあるが、うちのエリアにはない』などの声が届いている。8館のままではまずいなと。もっともっと増やしていきたい」と回答。
「もちろん、映画会社様とパートナーシップありきのドルビーシネマであるため、映画会社様とも相談し、また地域のバランスもあるので、ない地域、あるいは大都市でもっと欲しいぞという声があればそれも考える。定量的にいくつまで行くぞという考え方ではなく、ニーズに応じてできるだけ増やしていきたい」と語った。
会場には、邦画初のドルビーシネマ作品「轢き逃げ 最高の最悪な日」にも出演した女優の小林涼子氏も駆けつけ、「ドルビーシネマには以前からよく足を運んでいて、本物の黒や色の豊かさに毎回驚かされています。ドルビーの方が『6色の色鉛筆で絵を書いていた子供が、100色の色鉛筆を手に入れて塗り絵を塗っている』と表現していたのですが、観るとそれが実感できます」と魅力を説明。
映像についても、「『轢き逃げ』の重要なシーンで、夜の暗がりの中で乱闘するシーンがあるのですが、黒の奥行きが非常に豊かで、出演者の顔の表情までハッキリ見ることができて、とても印象的でした。黒のわずかな違いを、ドルビーシネマで初めて分かりました」と、表現力の高さに感心していた。
今後ドルビーシネマで観てみたい作品は? との質問については、「ストーリーの深さやライブの魅力が味わえる作品として、『アリー』や『ボヘミアン・ラプソディ』を是非観てみたい。『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』も是非ここで観てみたいと思っています」と語った。